食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • うさんくさいもの:あなたのエビの背景にある詐欺

Something's Phishy: The Scam Behind Your Scampi
By Julianna LeMieux — October 16, 2016
http://www.acsh.org/news/2016/10/16/somethings-phishy-scam-behind-your-scampi-10308
最近外で寿司を食べたのだが、どれがどの魚なのか見た目でも味でもわからなかった。同僚が最近マグロ一匹は百万ドル以上で売れると言ったので私は固まってしまった。嘘だと思ったけれど彼は正しかった。2013年に築地で売られた初物は176万ドルだった。この信じられない値段にはいくつもの理由がある。築地で売られた魚は世界中に運ばれ我々消費者はその値段を財布で感じる。実際NYCの有名寿司レストランKurumazushiでは夕食の値段は最低100ドルでお任せ(omikaseってあるけど)は一人分300ドルである。そして300ドルの寿司について、あなたが支払っているのはその高価なマグロに対してなのかどうかどうやって知ることができるだろうか?実際にもっと安価なものに変えられていないかどうかを知ることのできる人はどのくらいいるだろうか?
値段にかかわらず、高価な魚が実はそうではないことがよくある。
この問題、シーフード偽装について取り組んでいる団体がOceanaで、2012年にレストランや小売店寿司店で多くの魚が安価な魚で代用されていることを報告している。
科学的にはPCRにより魚の種類を判別できる。

この中で言及されているOceanaの調査について、数字が欺瞞だと指摘するのが以下の記事
Getting to the bottom of the ‘mislabelling’ issue
11 Feb 2016
http://www.worldfishing.net/news101/Comment/analysis/getting-to-the-bottom-of-the-mislabelling-issue

(魚の「誤表示」は確かにある、しかしそれを告発する側の発表にも偽装率を誇大に宣伝する「偽装」が行われている、という状況。
普通のアメリカ人からは寿司の値段やご祝儀相場のような日本の風習がどう見えるか、というのが垣間見える。高級寿司屋でお任せなんて日本でも普通の人は恐ろしくて頼めないけど。値段が明示されている分アメリカ向けなんだろう。築地は不透明で理不尽な日本の象徴?寿司一つ一つにDNAバーコードで魚の表示の真正性を証明せよとか言われるようになったら大変そう。それでも産地はまだ不確実で生育歴まで示せとなるとお金がいくらかかるんだろう?情報が欲しいという人はそれなりの対価を払えばいいけれど、別にいいと思う人にまで費用負担を強制するのが表示義務。)

  • がんを「治す」GcMAFが健康食品店で違法に販売されていた

BBC
Cancer 'cure' GcMAF being sold illegally in health food shop
15 October 2016
http://www.bbc.co.uk/programmes/p04c1l88
BBCの番組による調査
GcMAFは血液から作られる注射製品で1ヶ月600ポンドを6-12ヶ月という値段で売っているようだ。
番組でも言及されているCancer Research UKによる警告は以下
“Cancer cured for good?” – Gc-MAF and the miracle cure
December 3, 2008
http://scienceblog.cancerresearchuk.org/2008/12/03/cancer-cured-for-good-gc-maf-and-the-miracle-cure/
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20150722#p9
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20140930#p8

  • 保健団体が英国政府に対し石炭火力発電の段階的禁止を始めるよう強く要請する

BMJ
Health bodies urge UK government to begin phasing out coal power
BMJ 2016;355:i5621
http://www.bmj.com/content/355/bmj.i5621
10月18日、BMJもメンバーである英国気候変動健康同盟UK Health Alliance on Climate Changeが新しい報告書を発表し、政府に対して2025年までに石炭を燃やすことを止めるよう法を作ることを強く求めた。
インフォグラフィクスあり
http://www.bmj.com/content/bmj/suppl/2016/10/18/bmj.i5621.DC1/airpollution2210.ww1_default.pdf

  • 偏頭痛に苦しむ人は口の中の硝酸還元微生物が多い

Migraine sufferers have more nitrate-reducing microbes in their mouths
October 18, 2016
https://www.sciencedaily.com/releases/2016/10/161018132608.htm
カリフォルニア大学のmSystemsに発表された研究
チョコレートやワインなど硝酸を含む食品が偏頭痛のきっかけになる場合があり、それが口の中の硝酸還元微生物による硝酸の一酸化窒素への還元によるのではないかという説。

  • ゴーストペッパー(ブート・ジョロキア、激辛唐辛子)チャレンジは食道に穴を開けて人を殺すところだった

A ghost pepper challenge nearly killed a man by tearing a hole in his esophagus
http://www.businessinsider.com/ghost-pepper-challenge-dangerous-hospital-esophagus-2016-10
47才の男性がゴーストペッパーチャレンジ(YouTubeでよく見られるようなチャレンジシリーズの一種)をして食道に穴があいてサンフランシスコの救急に行き、幸運にも治療を受けることができた。Clinical Communicationsに発表された症例報告。23日後に退院したもののまだ胃の管からしか食べられない。この食道破裂はブールハーフェ症候群といって嘔吐による傷害。

  • 2ドルの違法密造酒で3人が死亡した件の審問

Daily Telegraph
Inquest hears three killed by drinking $2 illegal moonshine
October 19, 2016
http://www.dailytelegraph.com.au/news/nsw/inquest-hears-three-killed-by-drinking-2-illegal-moonshine/news-story/75ec0b10b01329feecb97efb0ea6a683
近所の人の家で違法に蒸留した密造酒を飲んでたった15分で3人が死亡したという。オークションで1本2ドルで購入したワインを使って密造ウイスキーを作った。この密造酒は100mL以下で致死量になるメタノールが含まれていた。
オーストラリアでは許可無くアルコールを蒸留するのは違法である。

  • ビクトリアのサッカー選手Riki Stephensが薬物過剰使用で昏睡、選手にはカウンセリング

Victorian footballer Riki Stephens in coma after drug overdose, players offered counselling
http://www.abc.net.au/news/2016-10-19/victorian-footballer-in-coma-after-overdose-of-unknown-drug/7945454
金曜日にHeathcoteサッカークラブのチームメイトと一緒にゴールドコーストに旅行し未知の薬物を使用して16人が不調になりRiki Stephensは重体、他14人が入院。何の薬物かはまだ不明。StephensのコーチのPaul KennedyはStephensが薬物常習者ではないと信じている

Natureニュース
The scientists who support Donald Trump
Sara Reardon 18 October 2016
http://www.nature.com/news/the-scientists-who-support-donald-trump-1.20827
Yale 大学の構造生物学者Kaylee(匿名)は米国大統領にDonald Trumpを支持する。しかし大学では彼女の意見は歓迎されないため政治や信仰の話題では常に沈黙している。
社会学者のNeil Grossの調査によると米国の大学では保守派はマイノリティであるがその割合は分野により異なる
(大統領選挙の話なのだが分野ごとの政治的見解の調査結果が興味深い。天文学はリベラル一極集中、工学のみが中道が最も多く、社会学は他の分野に比べて極左がダントツ。なんか納得)