食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 研究者らは正しい大麻を使っているか?

Do Researchers Have the Right Marijuana?
October 26, 2016
http://www.berkeleywellness.com/healthy-community/environmental-health/article/do-researchers-have-right-marijuana
大麻受動喫煙について研究しているカリフォルニア大学医学部のMatt Springer博士に聞く。麻薬取締局が最近研究用の大麻の栽培規制を解除したことの意味について語った。
DEAの発表はあなたの研究にどんな影響がある?
あなたが思うほど大きな影響はない。私がしたい研究はできないだろう。私は現実世界で実際に人々が使っている大麻を研究したい。UCSFでは実際に使われているタバコを使って研究してきたが大麻についてはそれができない。DEAが研究用大麻を他のところで栽培することを認めたとしてもそれは実際に販売されている大麻ではなく研究用大麻である。研究用大麻はストリートで販売されているものとは違うことを私は知っている。もちろん研究用大麻の煙はタバコの煙よりはストリートで販売されている大麻の煙に似ているだろう。だから合法的にはこれで研究するが確信はできない。
研究用大麻と普通に吸われている大麻はどう違う?
ブティックなどで販売されている大麻は蕾がほとんどで、新鮮でねばねばしている。研究用大麻はほとんどが葉で乾燥している。湿度が高いと植物微生物による分解が進むからだ。このことは燃焼温度を変える。我々は燃焼産物の研究をしていて、THCが存在しない場合でもおこる影響を調べている
公衆衛生の観点から我々は大麻の何を調べるべきなのか?
我々は大麻を喫煙したときの空気中の汚染物質について知らない。タバコについては知っている。この実験が大麻では行われていない。
これまでのあなたの研究から、読者への最も重要な助言は?
どんな煙でも避けるべきだ。最初我々が2014年に大麻受動喫煙について報告したとき、「煙は煙だろう」といわれた。しかしその後の結果では同じ量でもタバコの煙より大麻の煙のほうが長期にわたる影響があることを示した。意図的に煙を吸うのは自然なことではない。もしバーべーキューなどで煙が自分のほうに来たら避けるだろう。煙の成分はものによって違うし影響の詳細も異なるが、避けるのがベストである。

  • 搾取的オープンアクセスジャーナルがさらに低レベルに

Predatory Open-Access Journals Sink To A New Low
By Julianna LeMieux — October 19, 2016
http://www.acsh.org/news/2016/10/19/predatory-open-access-journals-sink-new-low-10323
Alexandre Martin博士は若い経験のない大学院生達がオンラインジャーナルからの電子メールによる投稿勧誘に騙されることが絶えないのを見てきた。そのためわざわざ時間を割いてケンタッキー工科大学の研究者初心者向け授業でそのことを教えている。Martinは学生達にそのようなメールが実際には嘘であることを明確に教えたい。そこで彼の7才の息子のTristanが単独著者である論文「コウモリの生活習慣」を無作為に選んだオープンアクセスジャーナルであるInternational Journal of Comprehensive Research in Biological Sciences (IJCRBS)に投稿した。この論文はTristanが書いたもので、153の単語からなりイントロはこうである
「コウモリは本当にかっこいい動物だ。ほ乳類で飛べるのはコウモリだけ。昼に眠って夜に飛ぶ。周囲をみるのにはエコーロケーションを使う・・」
Martinは1週間以内に返事をもらった。「この論文は検討されるが少し改訂が必要で最低5つの引用文献が必要である」。修正して提出すると受理されたというメールが来て60ドルを請求された。Martinは受理されたことに非常に驚いた。彼はこのプロセスを最後まで見届けたかったが、息子の名誉を傷つけるのではないかと悩んだ。結局妻がそんなのはお金の無駄だと言って終わりにした。そして彼女は正しかった。
Martin博士が雑誌からのメールを無視していると数週間後にさらに60ドル請求され、校正刷りが添付されていた。その校正刷りをみてMartin博士は驚愕した。なぜなら投稿したものと似ても似つかないものだったから。タイトルと著者と図だけが同じで他は誰かが書いたものだった(多分子どもではない)。
しばらく考えて、その文章のいくつかをコピペしてGoogleで検索したところ、論文の全部が過去に発表された論文2つから盗用したものであることがわかった。このままでは息子が剽窃の犯罪者になってしまうことに気がついたMartinは、あわてて雑誌社に論文の取り下げを通知した。雑誌社の返事は、変更はただの「示唆」で、もしオリジナルの論文を出したかったらそれもまだできるというもので、Martin博士は拒否した。
Martin博士が投稿した雑誌の他の論文をチェックしたところ、彼のチェックした全てが剽窃あるいは複数の雑誌への多重投稿だった(何?ショック!)
Martin博士は「この事例からの大きな教訓のひとつは、大学はこの問題をもっと周知する必要があるということである。」という。そして適切に注意する。論文発表率はパフォーマンスを評価するのに重要な指標で、彼の学部では学位を得るには論文一報が必要である。どこに発表してもいいのなら搾取的オープンアクセスジャーナル(pOA)は大学院生にとっては学位と職への切符となる。もちろんこれらの広範な科学への影響は言及しないわけにはいかない。
Martin博士と話した後、私は自分の記事のリンクを彼に送ると言った。彼は発表前原稿をみせてくれるほうがいいと言った。もちろん、誰が彼を非難できる?
注:問題の雑誌は閉鎖されている。Martin博士はこの経験をまともな雑誌であるLearned Publishingに症例研究として書いている
投稿したものと送られてきた原稿を比較した画像有り

Scienceニュース
Ecologists raise alarm over releases of mosquito-killing guppies
By Kelly ServickOct. 25, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/10/ecologists-raise-alarm-over-releases-mosquito-killing-guppies
小さなグッピーPoecilia reticulataは蚊対策としてよく使われ、池や水たまりにぼうふらを食べるために投入されている。しかしその旺盛な生殖と拡散能力のため外来侵入生物としても有名である。
現在ジカのような蚊の媒介するウイルスに直面している地域の保健当局がこの魚の使用を拡大しようとしていて、生態学者は再考を強く求めている。グッピーやその他の魚が蚊対策として有効かどうかは証明されていないが生態学的リスクがあることはわかっている、という主張が生態学者のグループからBiology Lettersに発表された。支持派も反論する。
ブラジルSão Paulo 州立大学の魚類学者Valter Azevedo-Santosは殺虫剤や衛生対策、遺伝子組換え蚊の放出のような他の管理対策にリソースを割くべきだとしてグッピー放出には反対する。

  • 自閉症研究が早期介入は効果が持続することを発見

Natureニュース
Autism study finds early intervention has lasting effects
Heidi Ledford 25 October 2016
http://www.nature.com/news/autism-study-finds-early-intervention-has-lasting-effects-1.20862
親がコミュニケーションの訓練を受けると6年後の子どもの一部の症状が軽減する
自閉症の子どもとのコミュニケーションの取り方について親に教えることが子どもにとって利益がある。The Lancetに10月25日に発表された過去最大規模最長期間の研究。
「治癒ではないが重症度が軽減され、それは家族にとって重要である」
ただし改善の程度はがっかりするようなもので治療の影響は時間とともに小さくなるようだ。コミュニケーションスキルと反復行動減少の役には立つが子どもの不安は軽減されない。

  • プレイボーイモデルのKatie Mayはカイロプラクターが首の動脈を破裂させた後死亡したと検視官がいう

Playboy Model Katie May Died After Chiropractor Ruptured an Artery in Her Neck, Coroner Says
By Char Adams
October 19, 2016
http://people.com/bodies/playboy-model-katie-may-died-after-chiropractor-ruptured-an-artery-in-her-neck-coroner-says/
カイロプラクターが首をひねり、左椎骨動脈を破り、そのため脳への血流が阻害され脳卒中を引き起こした
(この疑いが確認されたということらしい
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20160209#p8

謎は解けた:カイロプラクティックの首の施術がKatie Mayの脳卒中での死亡を引き起こした
Mystery solved: Chiropractic manipulation of the neck did cause Katie May’s death from stroke
http://scienceblogs.com/insolence/2016/10/20/mystery-solved-chiropractic-manipulation-of-the-neck-did-cause-katie-mays-death-from-stroke/
Katie Mayが自撮り写真をしばしばアップしていたので事故前後の状況が推測できるようだ。1月に転んで首を痛めて病院に行ったと書いているが家族によると実際には病院ではなくカイロプラクターのところに行って病院には一度も行っていない。カイロプラクターが首を「アジャストメント」したがそれが痛くてその後もあまりに痛いので数日後またカイロプラクターに行った。その夜倒れて病院に運ばれ次の日の夜死亡している
このサイトに首の血管の様子のイラストとカイロプラクターが首をどんなふうに扱うのかの動画が掲載されている。まともな解剖学を学んだ人なら絶対やらないようなことをやるのがカイロ。