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加工係数に関するBfRデータ収集

BfR Data Collection on Processing Factors
Updated BfR Communication No. 033/2016 of 10 November 2016
http://www.bfr.bund.de/cm/349/bfr-data-collection-on-processing-factors.pdf
農作物はしばしばその後加工され生では食べないので、含まれる残留農薬の量は変わることがある。未加工製品に対する加工製品の残留物の割合は、加工係数として知られている。それは加工中に残留物が増減するかどうかを示している。加工係数は実験室で模擬実験された加工状態で決定される。認可工程の範囲内で農薬製造者が提出しなければならないこの種の研究の詳細は、一般市民には入手できない。
このため、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、2007年以降ホームページ上で加工係数を編集して提供してきたが今回完全改訂した。この集積データは当初専門的な読者に向けたものだった。中でも、加工食品に使用されるもとの製品が法の規定に従っているかどうかを評価する公的な食品監視とリスク管理団体を支援し、また、リスク評価機関が加工食品と飼料についての消費者と家畜の詳細暴露評価をするのに役立っている。
BfRは加工研究で得たあらゆる加工係数をチェックする透明性のある品質基準を用いた。研究結果の頑健性と信頼性についてコメントを加えた。初期版と比べて改訂したBfRデータベースでは、より多数の研究を考慮し、それぞれについて詳細情報を提供している。基になる加工研究の最も重要なパラメーターについての関連情報が出されたので、使用者がよりよく妥当性を見積もることのできる研究から得られた6500以上の加工係数を特定した。
データベースの編集の際、最大の配慮と注意を払っているにもかかわらず、BfRはその情報の正しさの保証や、その利用から生じた法的帰結を受け入れない。集積データに含まれる加工係数は法的拘束力がない。
1.加工係数の予備知識
加工研究は農作物の残留農薬への加工の影響を調べるために実施された。洗う、皮をむく、ゆがく、混ぜる、油をたっぷり使って揚げる、ジュース、ワイン、ビールの製造、植物油、シリアル製品の製造など、企業や家庭での加工工程に関する最も重要な行為に集中している。特定の加工条件や物質の物理化学的特性によって、加工により残留物が増減する可能性がある[1]。
加工係数は二つの主な目的に役立つ重要なツールである:一つは加工中に残留量が変化しうる程度についての情報を公的食品監視機関に提供している。この種の情報は基本的に、加工食品が法的最大残留量(MRL)を守っている原料から生産されたかどうかを評価するためである。二つ目は、加工試験による情報はリスク評価者が加工食品と飼料に関する消費者と家畜の詳細暴露推定をするのに役立つことである。
加工試験の実験詳細は通常、公開されず、農薬の認可従事機関だけが利用できる。データは公的利用できない小売や食品企業が実施する内部品質管理でも収集される。
加工係数は加工試験から導き出される。それらは相当する未加工製品と加工製品の残留物の割合を示している。残留農薬の濃縮は1以上の加工係数で表示され、一方加工製品の残留濃度の減少は1未満の係数で表現される。
EUの最大残留物量(MRL) は、加工あるいは合成製品にはなく、リンゴ、トマト、小麦粉のような未加工製品にのみEC規則No. 396/2005の添付書類?と?で設定されている [2]。FAO/WHOが設定した国際食品規格は、世界的に移動する商品の最大残留物量を設定している[3]。主に未加工製品に関連しているが、濃縮される場合には特定の加工製品にも設定されている。
加工試験は通常OECD検査ガイドラインNo. 508「加工商品の残留農薬の程度」[4]とOECD加工商品の残留農薬の程度に関するガイダンス文書[5]に従って実施されているが、これらの説明書は実験室の試験で考慮しなければならない特定の加工パラメーターを指定していない。通常、食品加工業界で行われる典型的な加工を反映した状態を模倣するよう助言されている。これが試験条件の多様性につながり、そのため加工係数の解釈に考慮されなければならない結果の多様性にもなっている。

2.データの由来と品質
加工係数に関するBfRデータベースの以前のバージョンは、ほとんどが公的利用できる情報源由来係数のみが含まれた。FAO/WHO合同残留農薬専門家会議(JMPR)による農薬活性物質の残留物の評価についての報告、EFSAの結論、欧州レビューの範囲内で準備される物質の理由付き意見、欧州MRL設定工程などである。これに対し、1400以上の評価された加工試験に基づくBfRデータベースの新バージョンは、加工係数だけでなく、導出された試験の質についての追加詳細情報も提供する。さらに、国家監視計画[6]で収集された情報と、取引会社[7]の内部品質管理で得られた情報などが、BfRに入手できるようになり、柑橘類の果実の皮と果肉の間の残留物の分布に関する情報が考慮された。
分析方法の妥当性、サンプルの保管状態などの側面に関する大量の追加情報とともに、その結果それぞれの加工係数の妥当性が評価できる、全190物質の6500以上の加工係数が最新BfRデータベースに含まれている。各種個別試験によりいくつかの加工係数が特定の加工食品の試験で報告された場合には、個別の値の範囲とともに、中央値が示されている。データベースの構造と内容に関するさらなる詳細とデータの説明は最新の出版物から得られる[8]。
データベースは以下のリンクでBfRのホームページでアクセス可能:
http://www.bfr.bund.de/cm/349/bfr-compilation-of-processing-factors.xlsx
データベースの定期的な更新が計画されている。

3.典型的な加工手順の絵による表示
BfRのウェブサイトでは、データベースの使用者が当該製品や加工手順の中間生成物の概略を素早く得られ、より簡単に加工工程を割り当てられるよう、フローチャートの形で典型的な35の加工手順の図説も提供している。
フローチャートは以下のリンクでBfRのホームページでアクセス可能。
http://www.bfr.bund.de/cm/349/bfr-compilation-of-processing-factors-flow-charts.pdf

4.参照
文献略