食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 米国の公衆は食品科学について分裂している

US public divided over food science
1-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/prc-upd112816.php
Pew研究センターの新しい調査によると、アメリカ人の食べ方が、個人の食べ方が食品と健康の関連についての信仰を反映するため、社会的、経済的、政治的摩擦の種になった。
新しい食品に関する分断は、オーガニックと遺伝子組換え食品の健康影響をどう評価するかに象徴される。1480人のアメリカ成人を調査したところ55%はオーガニック栽培された製品のほうが慣行栽培より健康的だと信じていて、両者に差はないと言う人は41%だった。
一方アメリカ人の39%はGM食品が他の食品より健康に悪いと考えていてGMと非GMに差がないという人は48%で、10%はGMのほうが健康によいという。
GM食品問題を深刻に考えている人は16%程度で、そのように感じる人はGM食品が健康に悪いと考えている可能性が高い。
さらに米国成人の18%は健康的で栄養のある食生活に特に注意しているという。この人達はオーガニック製品の方が慣行栽培された製品より健康的だとみなしている可能性が高い。
さらに若い人の方がオーガニックの方が健康によいと考える傾向が高い。GMが健康に悪いと考えるのも若い人の方が多い。
アメリカ人の31%ほどが社会的集まりのホストをするときにゲストが特別な種類の食品を要求することは少なくとも幾分かは迷惑だと言う。こうした感覚は健康的な食だろうとGMが心配だろうと関係ない。
多くのアメリカ人は健康長寿には健康的食生活と運動が重要だと信じているが実際の行動はそれとは一致しない。
健康と食事に関する矛盾するニュースが溢れていることについては、61%が常に新しい研究が理解を深めるから、と答えたが37%は食品と健康に関する研究は信用できないと答えた。
矛盾する研究についての報道への対応はその人の科学知識のレベルに依存する。科学知識のレベルが低い人は約47%が矛盾する研究から健康的な食生活が何かを知るのは難しいと回答したが科学知識の高い人は8%だけで、92%は健康的食生活の中核は変わっていないし良くわかっている、と回答した。
GM食品の研究をしている科学者への信頼は限定的である。科学知識の多い人は科学者を信頼している率が高い。

Alcohol intake associated with increased risk of melanoma
1-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/aafc-aia112916.php
Cancer Epidemiology, Biomarkers & Preventionに発表された研究によると、アルコール摂取は白人男女の侵襲性悪性黒色腫リスクの高さと関連する。全アルコールの摂取は1日1杯あたり14%の悪性黒色腫リスクの高さと関連した。白ワインが1日1杯あたり13%のリスクの高さと関連しビール、赤ワイン、リキュールは有意な影響はなかった。

  • ボディービルダーのナチュラルオイル注射に懸念

Concerns over bodybuilders injecting natural oils
1-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/b-cob113016.php
BMJ Case Reportsに報告された症例。25才の男性が数ヶ月間右腕が痛く動かないため来院した。超音波で調べたところ若い人には珍しい三頭筋破裂と、腕の筋肉に多数の嚢胞があった。彼はこれまでボディービルを4年間やっていてジムに週三回通っていた。彼は筋肉の見た目を良くするためにココナツオイルの注射などを行っていた。処方されたものではないインスリンビタミンB12注射、ステロイドプロテインサプリメントを自分で摂っていた。これらの結果、発作や感染などの多数の有害反応をおこし一部は手術を必要とした。三頭筋破裂の修復手術は成功したが、彼は理想のボディイメージを達成するために安全でない行為を続けた。
ボディービルダーのステロイド使用はよく知られている。他にごま油やクルミ油、パラフィンなどのナチュラルオイルの使用も可能性がある。アラブや中東ではインターネットでナチュラルオイルをそのような目的で使うことはよく見られるが医学文献には情報がない。
ナチュラルオイルを自分で注射する事例の公式の報告は氷山の一角であろう、と医師は説明している。
(ボディービル業界は変なモノが流行るなぁ)

  • 調子が悪い時には「たくさん水分をとる」という助言にはあまり根拠がない

Not much evidence behind advice to 'drink plenty of fluids' when unwell
1-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/b-nme113016.php
BMJ Case Reports。59才女性が再発する尿路感染を治そうとして水を飲みすぎて低ナトリウム血症になった症例。

Mix-up over homemade herbal tea puts woman in life-threatening condition
1-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/b-moh113016.php
BMJ Case Reports。ハーブティーを作るのにコンフリーの葉と間違えてキツネノテブクロを使い、嘔吐、動悸、頭のふらつきで救急に来た63才の女性。友人から不眠にはコンフリーハーブティーがいいと薦められ、地元の市場でコンフリーの葉を買ってお茶にして飲んだ。その数時間後から症状が出はじめた。不整脈だったが標準血液検査は正常だった。
特に春はコンフリーとキツネノテブクロは間違えやすい
論文に写真有り、pptスライドでダウンロードできる
Comfrey herbal remedy causing second-degree heart block: do not be outfoxed by digitalis
http://casereports.bmj.com/content/2016/bcr-2016-216995.full
コンフリーも発がん性のピロリジジンアルカロイドを含むので薦められない)

  • プラズマザッピング工程でトランス脂肪のない大豆油製品ができる

Plasma-zapping process could yield trans fat-free soybean oil product
1-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/pu-ppc120116.php
Purdue大学の研究者らがトランス脂肪を作ることなく大豆油を水素添加して固化する工程を開発した。