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食品添加物としてのβ-シクロデキストリン(E 459)の再評価

Re-evaluation of β-cyclodextrin (E 459) as a food additive
EFSA Journal 2016;14(12):4628 [44 pp.]. 7 December 2016
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4628
EFSAの食品添加物及び食品に添加される栄養源に関する科学パネル(ANS)は食品添加物としてのβ-シクロデキストリン(E 459)の安全性を評価する科学的意見を提出した。β-シクロデキストリンは7つのα-1,4-結合 d-グルコピラシノルユニットを含む非還元環状オリゴ糖類である。食品科学委員会(SCF)は1996年にβ-シクロデキストリン(E 459)の許容一日摂取量(ADI)を5 mg/kg体重(bw)/日と定めた。β-シクロデキストリンは動物とヒトの経口投与で吸収されにくい。結腸で腸内細菌叢と内在性アミラーゼにより麦芽糖ブドウ糖加水分解され、それゆえ組織と血清中のβ-シクロデキストリン濃度は低い(< 1%)。β-シクロデキストリンの急性経口毒性は低い。短期及び亜慢性毒性試験はラットとイヌで行われている。ラットで報告された主な影響は、消化されにくい炭水化物の摂取による盲腸の適応的肥大だった。ラットの6か月試験から無毒性量(NOAEL) 600 mg/kg体重/日が同定され、イヌの52週間試験による無毒性量は、オスとメスそれぞれ466 と 476 mg/kg体重/日だった。β-シクロデキストリンに遺伝毒性の兆候はない。ラットの慢性毒性試験から無毒性量はオスとメスそれぞれ654 と864 mg/kg体重/日と同定された。マウスとラットの発がん性試験から発がん性の証拠は見つからなかった。入手可能な毒性データベースに基づき、β-シクロデキストリンの現在のADI 5 mg/kg体重/日を改訂する理由はない。入手可能な報告された使用と使用量に基づき、平均で乳児を除くすべての人口集団で、また95パーセンタイルではすべての人口集団で、精細化ブランドロイヤル(同じブランドだけ使う)シナリオ(最も関連すると考えられるシナリオ)でADIが超過するとも結論した。