食品安全情報blog過去記事

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論文

  • メディアと医学雑誌のコラボレーションはしばしば間違った情報提供とヒステリーにつながる

Collaboration between media and medical journals often leads to misinformation and hysteria
8-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/bumc-cbm120816.php
EMBO Reportsに発表されたボストン大学医学センターの研究者らによるレビュー。
欠陥のある臨床研究が誇張とセンセーショナリズムでメディアで報道されると、患者や医師、科学コミュニティ、そして最終的には社会全体に壊滅的な影響を与える可能性がある。著者らは如何にして議論のあるあるいは根拠薄弱な研究が、しばしば虚偽または科学的根拠のほとんど無い体験談と一緒になってメディアで報道されるかについて検討した。一般の人々に誤解を与えた責任はジャーナリスト、科学者、雑誌の編集者、研究機関の全てに均等にある。
例えばホルモン補充療法についての医者の態度や実施状況はWomen's Health Initiative研究の大々的報道の後で変わったことを説明する。2002年にメディアがこの大規模研究が脳卒中、死亡、浸潤性の乳がんリスクのため予定より早く中止されたことを報道した。医師らが直ちにHRTの使用中止を訴え処方が80%以上低下ししばらく低レベルに留まった。しかし2013年のフォローアップ研究ではHRTとプラセボの間に死亡率やその他の有害事象に有意さはなかった。それにも関わらず医療の専門家でも今でもこの研究がHRTの危険性を示したものだと引用され続けている。
「メディアと科学雑誌がコラボして科学や医学の進歩を宣伝する時、間違った情報提供や歪曲がおこると我々は信じる。残念ながらこのようなコラボはしばしば誇張を含み間違った科学がシェアされ拡散される。メディアはしばしばこれらの議論の多い研究に惹きつけられ、体験談と共にそれらを宣伝し、それが間違っていた場合でも変更は困難である」と主著者のAbdulmaged M. Traish生化学泌尿器学教授は言う。Traishらは歪められた研究を一般人が受け入れることがないようにするいくつかの戦略があるという。医学雑誌とのコラボを認識する、治療や薬物の臨床経験のなさそうな人の意見には注意する、どんな研究でも70%は再現性がないのでたったひとつの研究から言えることには限界があることを認識する、など。
Traishはメディアと医学雑誌がどうやって疑問のある研究を宣伝するのかを批判的に解析することは人々や学会、政策決定者、研究機関にとって非常に重要であると信じる。「この問題は議論され医学生に教えられるべきである」

  • 乳がん死亡率は多くの国で減っている

Breast cancer mortality rates decline in many countries
9-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/aafc-bcm120216.php
例外は韓国とラテンアメリカ
2016サンアントニオ乳がんシンポジウムでの発表。
乳がんは女性で最も多いがんで、女性の全てのがんの1/4を占める。1987-2013年の各国の年齢調整死亡率を検討したところ、47ヶ国中39ヶ国で減少していた。そのうち46%が検出と治療の進歩によると推定される。死亡率が増えたのはブラジル、コロンビアで韓国は最も大きく増加して83%増加、ただしそれでも米国より少ない(米国は10万人中14で韓国は5.3)

  • 科学者が、魚がどうやって有害な汚染物質に適応するのかを明らかにする

Scientists reveal how fish adapt to toxic levels of pollution
9-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/uob-srh120916.php
Scienceに発表された、Atlantic killifish(メダカの仲間)の各種集団のゲノムを解析した研究。アリール炭化水素受容体(AHR)信号伝達経路に関与する遺伝子を同定

  • 大麻販売スタッフは十分な訓練を受けているか?

Do cannabis dispensary staff receive sufficient training?
9-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/mali-dcd120916.php
Cannabis and Cannabinoid Researchに発表された米国の研究によると、大麻を販売している人たちのうち何らかの公式の訓練を受けているのはたった55%。医学や科学の訓練は20%しか受けていないが94%が患者に助言をしている。

  • メタン排出の急増が気候変動を遅くする努力を脅かす

Surge in methane emissions threatens efforts to slow climate change
11-Dec-2016
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2016-12/fe-sim120916.php
世界メタン会計発表
Environmental Research Lettersに国際科学者チームが発表。急増原因は不明だが農業、特に水田と牛の農場由来であろう
(水田と和牛は環境負荷が高い。これは日本にとって非常に都合が悪い事実)