食品安全情報blog過去記事

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その他

  • Woody Guthrieが我々の科学のための戦いをどう助けるか

Natureニュース
How Woody Guthrie can help us fight for science
20 December 2016
http://www.nature.com/news/how-woody-guthrie-can-help-us-fight-for-science-1.21210
Donald Trump の選出後、Jacqueline M. Vadjunecが米国キリスト教篤信地帯からのレジスタンスと希望のメッセージを提供する
(Woody Guthrieは1930年代のレジスタンスのシンボルである反体制歌手。)

  • 批判者ががんワクチンによる有害影響を主張する論文を激しく批判

Scienceニュース
Critics assail paper claiming harm from cancer vaccine
By Dennis NormileDec. 21, 2016
http://www.sciencemag.org/news/2016/12/critics-assail-paper-claiming-harm-cancer-vaccine
二つの研究グループが「壊滅的」健康影響をもたらす可能性のある「疑似科学」に危機感を募らせScientific ReportsにHPVワクチンへの信頼を損なう論文を取り下げるよう求めた。11月11日に発表された論文はHPAワクチンを投与されたマウスでの脳障害と運動能力の障害を記述したもので、マウスはヒトに投与される量の1000倍量を、血液脳関門を漏れやすくする毒素と一緒に与えられている。この実験方法は人体でおこることと似ていない。デトロイトのBarbara Ann Karmanosがん研究所のがん外科医David Gorskiは「基本的にこれは貴重な動物を無駄にする、価値のない論文である」という。この論文の責任著者である東京医科大学のToshihiro Nakajima はScienceへのメールに対してこの仕事はScientific Reportsの編集委員が査読して公式に発表されたものだと擁護する。
この戦いはHPVワクチンを巡る世界的闘争の最新の爆発である。(略)
日本は主戦場である(略)
批判者はScientific Reportsへの2通のレターでこの研究を激しく批判する。一つはベルギーのアントワープ大学のHPV予防管理委員会の20人の署名がある。二つ目はメルボルン大学のウイルス学者David Hawkesと二人の同僚によるものである。
ワクチンの推進者はこの論文が反ワクチンの活動を活発にするだろうと心配している。約200のツイートで言及されていてそのうちいくつかはNatureに発表されたと間違って言及している。Scienceからのメールに対して雑誌の広報担当者は取り下げを求める手紙を受け取ったことを確認し、「提示された懸念について調査し適切に対応する」と書いている。
HPVワクチン反対が盛り上がっていても有効であるという根拠は積み上がっている。しかし日本についてはワクチン接種率の低さから、毎年のがん患者や死者は減らないだろう。さらに悪いことに、日本が予防接種する助言に従わないことが他国の反ワクチン活動家に特に称賛されていることである。医療インフラの貧弱なアジアの女性達にとってはワクチンだけが予防の希望なのに。
Murine hypothalamic destruction with vascular cell apoptosis subsequent to combined administration of human papilloma virus vaccine and pertussis toxin
Satoko Aratani et al.,
Scientific Reports 6, Article number: 36943 (2016)
http://www.nature.com/articles/srep36943
(コメント欄にもいろいろ書かれている。女性で最もよく見られるがんが子宮頸がん、と書いているがそれは乳がんだとか、ペニシリンを発見したのはWalther Flemingだと書いているがそれはAlexander Flemingであるとか。こういうことは科学的厳密さの欠如とピアレビューが十分でないことの兆候、とか。)

  • 委員会はグリホサートの証言を聞く

Panel Hears Glyphosate Testimony
12/15/2016
https://www.dtnpf.com/agriculture/web/ag/news/farm-life/article/2016/12/15/epa-makes-case-glyphosate-unlikely
今週バージニアのアーリントンでEPAが科学助言委員会(SAP)にグリホサートについての科学的データを提示した。コンセンサスはグリホサートはヒト発がん性はありそうにないということである。2日間の会議の間、EPAEPAの決定の科学的根拠を提示し水曜日に委員会は意見を募集し始めた。
グリホサートはモンサントが開発したものであるが既に特許は切れ多くの企業が販売している。販売開始は1974年である。
水曜日のSAPの注目点は議論の中心にいる科学者Christopher Portierの研究に疑問を提示する証人が呼ばれたことである。2015年7月、IARCの報告の共著者の一人であるPortierは、ロンドンでの記者発表でグリホサートは遺伝毒性がありヒトにがんをおこすと確信していると語った。多くの科学者がそれに直ちに疑問を提示した。
今週証言した証人はPortierが彼のグリホサートとがんの関連についての研究のいくつかは正しくないことを認めたという。証人はPortierの使った方法は希な腫瘍の有意差を10倍も拡大する傾向があると言う。Portierは国際疫学研究所の生物統計部長Robert E. Taroneによる批判に応えた文書で彼の結論に問題があると言っている。
そして2016年には米国議会科学委員会がPortierとEPAの関係に疑問を提示した。PortierはEPAのトップ職員とEPAのがん評価レビュー委員会報告書についてメールをやりとりしている。EPAは一旦その報告書をウェブに掲載してそれから取り下げた。また科学委員会はPortierがEFSAにもIARCの知見に批判的な評価をした件について手紙を書いていることも指摘している。Portierの件を複雑にしているのは彼の兄弟Kenneth Portierが米国がん学会の副会長でSAPのグリホサート研究に参加していることである。
Kenneth Portierと Eric S. Johnson教授が水曜日のSAPで化学企業がグリホサートの職業暴露データ共有に十分努力していないと懸念を表明した。
水曜日の後半、たくさんの農家や農業企業の証人が証言した。いずれもグリホサートの安全性と使用を支持した。

EPA
FIFRA Scientific Advisory Panel Meetings
https://www.epa.gov/sap/fifra-scientific-advisory-panel-meetings

FEDERAL INSECTICIDE, FUNGICIDE, AND RODENTICIDE ACT
SCIENTIFIC ADVISORY PANEL OPEN MEETING
DECEMBER 13-16, 2016
https://www.epa.gov/sites/production/files/2016-12/documents/dec_13_thru_16_2016_fifra_sap_meeting_final_agenda_12_08_2016.pdf