食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

  • 喘息の症状と加工肉についての研究への専門家の反応

expert reaction to research on asthma symptoms and processed meats
December 20, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-research-on-asthma-symptoms-and-processed-meats/
Thoraxに発表された新しい研究が加工肉摂取量の多さと喘息症状の長期悪化に関連するかどうかを検討した。
エジンバラ大学Asthma UK応用研究センターBright Nwaru博士
Liらの研究は塩漬け肉を食べることが成人の喘息症状の悪化につながる可能性を示し、喘息における食事の役割についての文献を増やした。結果は興味深いものの、推定されるリスクは全体としては弱い。多くの参加者が時間と共に脱落し、重要な要因の一部(社会経済的地位、ストレス、屋内空気汚染)が考慮されていない。重要なことはこのトピックはまだ初期の段階で明確になるにはさらなる研究が必要であろう
英国栄養士会広報Catherine Collins RD FBDA
食品に含まれる亜硝酸は面白い物質である。ハムやソーセージなどの加工肉の保存料として使われる(E249 / E250)が、ビートの根や緑の葉の野菜のような硝酸の多い、あるいは硝酸保存料E251および E252を含む食品を食べると我々の口内細菌でも作られる。食事由来の硝酸は吸収されて血流に入り、唾液に分泌され、口内細菌で亜硝酸になる。これら新たに生じた亜硝酸は一旦飲み込まれたら食品由来の亜硝酸と同じように代謝される。血中硝酸および亜硝酸は食事からの摂取量の近似指標として測定される。
したがってこの喘息と加工肉の研究は興味深いものの、同じグループの先の研究で加工肉摂取と血中硝酸および亜硝酸濃度に関連がないが緑の葉の野菜と汚染とは関連したことを考える必要がある。この論文は加工肉だけに集中し緑の葉の野菜の摂取による交絡を排除している。提供された食事情報には二つの懸念がある。一見加工肉摂取量が多いと総カロリーが多く総飽和脂肪と塩も多い。しかしよく見るとその増加割合は加工肉に比例せず、他にも飽和脂肪や脂肪の摂取源があることを示唆する。これは解析に含まれていない乳製品の摂取量の違いによるのではないかと思う。二つ目は加工肉摂取量の多い喘息患者群はカロリー摂取量が多く最も肥満の多い集団でもある。肥満と喘息には関連があるためこれは重要である。
食事は喘息の管理や予防に大きな役割を果たすが、食事の一つの側面との関連は因果関係を意味しない。喘息であろうとなかろうと、多様な食品からなる、地中海スタイルの食事が至適であることに変わりはない。

expert reaction to study looking at sugar intake guidelines and quality of evidence
December 19, 2016
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-sugar-intake-guidelines-and-quality-of-evidence/
Annals of Internal Medicineに発表された砂糖摂取ガイドラインの系統的レビューについて
PHEの主任栄養士Alison Tedstone博士
英国の現行の砂糖摂取助言は膨大な根拠の独立した評価と厳密なプロセスによるものである。一方この研究は世界最大の砂糖入り製品製造業者の一部が資金を提供したものであり結論の取り扱いには注意が必要である
砂糖摂取量は多すぎで、現在の肥満危機に重要な寄与をしている。
(専門家の意見というか役所からの反論。)