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論文

Facts, beliefs, and identity: The seeds of science skepticism
21-Jan-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-01/sfpa-fba011317.php
パーソナリティと社会心理学学会での発表。
科学を疑う人の驚くべき特徴の一つは、しばしば教育レベルが高く他の人同様に科学に関心があるということである。問題は情報への暴露ではなく、その情報をどうバランス良く処理するか、である。クイーンズランド大学のMatthew Hornseyがそれを「法律家のように考えるthinking like a lawyer」と説明するやりかたで表れる。「彼らがそうあって欲しいという結論になるように」情報の断片の都合の良い部分だけを集める。
オレゴン大学のTroy Campbellは「我々は人々が、宗教的信仰、政治的信念、あるいはどのウェブブラウザを選ぶのか上手といったような単純な個人的信念を含む全ての種類の信念(belief)を守るために、事実から遠ざかることを発見した」という。
Yale大学のDan Kahanは合意する、彼らの研究で「事実に従って、ではなく、アイデンティティに一致するように根拠を構築する、政治的スペクトルと極めて釣り合った形で。」ということがわかった。
マインドを変える
単に「根拠」や「データ」について語るだけでは、気候変動や遺伝子組換えやワクチンなどの特定のトピックについて疑っている人のマインドを変えることは通常ない。人々は特定の意見をサポートするために科学や事実を使い、それに一致しないものについては軽視する。
「社会的リスクを巡って争いがあるとき−気候変動や原子力安全性、銃規制の影響など−どちらの側も科学を飾りに使う」とKahanは言う。「我々の研究では、人々は自分の意見を支持する事実をより重要なものだとする」とCampbellは言う。「事実が意見と違うとき、必ずしも事実を否定するわけではないがその事実の妥当性が小さいという」
科学への疑いを取り扱う一つのアプローチは、その背景にある動機あるいは「態度の根源」を同定することであるとHornseyは最近の研究で説明している。
「人々の表面的態度を額面通りに受け取るより、彼らの動機に従ってメッセージを作り替える。例えば気候変動懐疑派に対してなら、彼らの合意できることを探してそれに従うように気候についてのメッセージを変える」
Kahanの最近の研究では科学的好奇心のレベルはより胸襟を開いた参加を促進するのに役立つことを示す。驚くような知見を喜ぶ人は、それが政治的信念と違う場合でも、新しい情報に対してよりオープンである。
(リスコミへの心理学的アプローチって効果はあるのだろうけれど、何か洗脳みたいでイヤなんだよね。だから負けるのだろうとは思うけれど。)