食品安全情報blog過去記事

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食品サプリメント―リスクのないトレンド?

Food supplements - a trend without risks?
03/2017, 30.01.2017
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2017/03/food_supplements___a_trend_without_risks_-199764.html
国際緑の週間のBfRフォーラム
朝食用カルシウム発泡錠剤、ランチタイムのビタミンDカプセル、夕食時の葉酸イソフラボン―健康の観点から、どんな食品サプリメントがいつ誰に望ましいのか?BfRフォーラム「食品サプリメント―リスクのないトレンド?」で、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は食品サプリメントの利益と隠れたリスクや様々な末端利用者グループの摂取習慣についての情報を提供した。「リスクコミュニケーションには知識が重要である、多すぎるビタミンやミネラルは特定の状況下で健康に有害となりうる」とBfR長官Dr. Andreas Hensel教授は述べた。「消費者がバランスのとれた食事をとれば、体は通常必要なすべての栄養素を受け取っている。少しの例外はある:例えば子供を望む女性と妊婦の葉酸である。2017年1月26日(木)午後1時から4時まで、ベルリンのホール3.2(アドベンチャーファーム)での国際緑の週間2017の一部として開催されたBfRフォーラムは、食品サプリメントについて参加者に多角的な視点を提供した。議論は食品サプリメントの規制の枠組み、ビタミンDの評価、ハーブ食品サプリメント(植物)、リスクコミュニケーション関連に及んだ。
原則として、食品サプリメントは多様でバランスのとれた食事をとる健康的な人には過剰である。バランスのとれた食事をとっているならば、体には必要な栄養素すべてが供給されている。反対に、制限なく食品サプリメントを摂取するのは健康リスクを引き起こす。この理由から、消費者は食品サプリメントを注意深く使用でき、隠れたリスクに敏感になるための教育を受けるべきである。
高用量の食品サプリメントによる過剰なビタミンD摂取は腎結石形成や腎臓の石灰化のような望まない影響につながる恐れがある。一般に、ビタミンDを含む食品サプリメントは、欠乏に気付き、食事を変えたり日光に当たって体のビタミンD生産を活発にすることでこの欠乏を体系的に軽減できないときにだけ推奨される。ビタミンD欠乏のリスクグループには、絶対外出しない人、あるいは外出が難しい人、外出時に自分の体を完全に覆う人、肌の黒い人が含まれる。日光に当たるのが不十分な人や著しく不規則な人には、機動性障害、慢性疾患、要介護の高齢者(老人施設入居者、高齢患者、骨粗しょう症リスクのある老人や寝たきり患者)などが含まれる。乳児は、小児科の治療の一部としてその必要性に応じて、母乳を与えられているかどうかにかかわらず、くる病を防ぐために特定の期間ビタミンDサプリメントを特別に与えられる。
ビタミン葉酸の合成型は「葉酸」と言われている。葉酸は食品サプリメントに食品の栄養を高めるために使用されている。子供を望んでいる、あるいは妊娠したい女性や妊娠の初めの3分の1期間の女性へのBfRの助言は、葉酸に富む食品を食べることと、さらに食品サプリメント葉酸をとることである。それで、子供の神経管欠損のリスクを軽減できる。それと対照的に、一般の人は欠乏の医学的証拠がある場合のみ葉酸サプリメントをとるのが望ましい。葉酸サプリメントを通常の要求以上摂ることが多少なりとも有益だという科学的証拠はない。葉酸の成分はケール、マーシュ、鶏の卵のような植物や動物ベースの食品に天然に含まれている。
世界の隅々から、植物、海藻、キノコ、胞子抽出物(いわゆる「植物」)から作られる食品サプリメントが現在インターネット経由で簡単に手に入れられる。だが、ヒトの健康への安全性、その特性、それに入っている生理活性物質の多くについてのデータはわずかしか入手できない。このデータ不足により活性化合物のリスク評価の実施と、安全な摂取量を推測することの両方が難しい。
消費者は、錠剤、糖衣錠、粉末として提供されている食品サプリメントは、薬のような形態で提供されているけれど薬ではなく食品として分類されていることをあまり知らない。薬と違って、認可はされない。代わりに、唯一の必要条件がドイツ消費者保護・食品安全庁(BVL)に登録することである。その安全性の責任は製造業者にある。ほかの食品の場合と同様に、製品表示管理を含む取引の監視や食品管理規制の順守はドイツの食品管理機関が監視している。