食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 科学者が我々の食事からヒ素を遠ざけようと試みている3つの方法

Scienceニュース
Three ways scientists are trying to keep arsenic out of our diets
By Kelly ServickFeb. 18, 2017 ,
http://www.sciencemag.org/news/2017/02/three-ways-scientists-are-trying-keep-arsenic-out-our-diets
ヒ素については少ない方が良い。飲料水中の高濃度のヒ素は多くのがんや肺や心血管系疾患、子どもの神経発達遅延と関連する。しかし食品中にどのくらいの量なら許容できるのか、暴露を制限するにはどうするのが最良かについては正確にはわからない。そして特に他の植物よりヒ素を吸収しやすいコメについては懸念が増加している。AAAS年次会合のの昨日のセッションで、研究者らがヒ素を作物や食卓から遠ざけるための努力について説明した。
ヒ素を取り込まない作物を開発する
CRISPRのような遺伝子組換え手法あるいは交配でヒ素の取り込みに関与する輸送体の選択性を変えようとする試み。
・灌漑均衡を改善する
アジアの一部では井戸水由来である。水を張った田んぼで育てるとヒ素濃度が増える。一部の研究者は田んぼの水抜きを探っているが、そうするとカドミウムのリスクが上がる
・注意深く食べるよう啓発
米国ではヒ素の問題がどのくらいの大きさなのか推定するのが難しいがリンゴジュースや乳児用コメシリアルについてはヒ素濃度の基準を提案した。しかし実際にどのくらいの量でがんやその他の病気のリスクが増えるのかについては未だ議論がある。Keeve Nachmanはヒ素を含む食品のリストを作りどれが全摂取量に寄与するのか優先順位をつけようとしている。規制機関や農家へのヒ素濃度を下げろという圧力は消費者から来るだろう。
Arsenic in Food: From Soil to Plate to Policy
Friday, February 17, 2017:
https://aaas.confex.com/aaas/2017/webprogram/Session15234.html
アメリカの学会はコンスタントにヒ素の問題取り上げている印象)

  • 我々は肥満を伝染病のように扱うべきか?

Should we treat obesity like a contagious disease?
By Kelly ServickFeb. 19, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/02/should-we-treat-obesity-contagious-disease
肥満は風邪を引くのとは違うが、十程度の研究グループが肥満を「社会的伝染病」のように扱うモデルを検討している。アラバマ大学統計学者David Allisonと情報科学者Keisuke Ejima、米陸軍士官学校のDiana Thomasがそのような肥満モデルについてAAASセッションで説明する。彼らにインタビューした。

  • 科学についての知識だけではなく好奇心がワクチンや気候変動についての一般の認識に影響を与える

Curiosity—not just knowledge—about science influences public perceptions about vaccines, climate change
By Teresa L. Carey Feb. 19, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/02/curiosity-not-just-knowledge-about-science-influences-public-perceptions-about-vaccines
AAAS年次会合で「科学的好奇心」の個人の意見の形成に与える影響を話すYale大学ロースクールの心理学教授Dan KahanとのQ & A
Q:科学的好奇心とは?
A:科学的情報をもとめそれを喜んで消費する欲求のこと
Q:それをどうやって測定する?
A:良い測定法はなかなかないが、特定のものを測定することにした。
Q:科学的好奇心が気候変動やワクチンについての間違った認識と戦うのに役立つ?
A: 我々の研究では好奇心の大きい方が新しい情報を取り入れて自分の意見を形成する。我々はこの傾向をたまたま見つけた。

  • AAAS会合会場近くで数百人が科学を支持して結集

Hundreds rally for science at demonstration near AAAS meeting
By Lindzi WesselFeb. 19, 2017 ,
http://www.sciencemag.org/news/2017/02/hundreds-rally-science-demonstration-near-aaas-meeting
トランプ政権発足後初のこの手の大規模集会

  • 「科学の信頼性の危機」と戦うには統計を倫理的に使おう

Using statistics ethically to combat 'a scientific credibility crisis'
19-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/gumc-use021317.php
AAAS年次会合シンポジウムで米国統計学会の専門家倫理委員長であるジョージタウン大学のRochelle Tractenberg博士が「倫理的統計学規範により倫理的科学と政策を促進する」ことについて議論する。
多くの研究結果が再現できないことの理由のひとつに統計学の不適切使用がある
倫理的統計学規範
http://www.amstat.org/asa/files/pdfs/EthicalGuidelines.pdf

  • 病気の検診をするときには、利益と同様リスクを考慮するのは重要であることを研究が示す

When screening for disease, risk is as important to consider as benefits, study indicates
19-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/uov-wsf021717.php
AAAS年次会合からのプレスリリース
医師や患者はがんの早期発見が命を永らえさせQOLを向上させると信じたい。もしがんがあるのなら早く知りたい、そうでしょう?
ちょっと待て。
バージニア大学統計学者とNCIの研究者によるがん検診の解析は、あるがんの早期診断は、診断されなかった場合に比べて必ずしも余命の延長に繋がらないことを示す。そして検診は−乳がんマンモグラフィー前立腺がんのPSA検査−それ自体がんがないのにがんだとされる(偽陽性)、見逃す(偽陰性)といったリスクがある。患者は命を延ばすことにつながらない激しい治療を受けてQOLを失う可能性がある。
しかし検診で早期診断されることの利益がリスクを上回ると主張される。
「過剰診断の影響を推定するのは難しいが、考慮すべき要因である」とKaren Kafadar統計学教授は言う。
Kafadarは検診するなと言っているわけではないが、彼女の知見は頻繁な検診にはリスクがあることを示す。評価のための数字として死亡率の削減が良く用いられる。例えばもしある病気で年に10万人中10人が死亡して検診でそれが6人に減ったら40%死亡率を減らした、と言われる。しかしもっと意味のある数字は多分「検診で見つかった人が、臨床症状が現れてから診断された人と比べてどのくらい長生きしたか」であろう。この違いは見極めが難しい。一部のがんは調べなければその人の生きている間みつかることはないが、検診で見つけてしまうと不必要な治療を行う可能性がある。そして一部の悪性のがんは早期発見であっても延命が難しい。

  • 健康診断の議論に根拠をもちこむ

Bringing evidence to health screening debates
19-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/bu-bet021317.php
健康診断についての疑問−検診するかどうか、どのくらいの頻度で、何歳で、どの位の費用で?−は矛盾した意見を生み一般の人々を混乱させているようだ。必要なのは厳密な根拠である。そこでブラウン大学統計学部長Constantine Gatsonisが2017 AAAS年次会合で講演およびパネルディスカッションを行った。
過剰診断への懸念はますます高まっている。
(長い記事だけど略。主に話題になっているのは乳がん検診。

  • アイス対策の新しいウェブサイト

New website to tackle ice
19 Feb 2017
http://www.standard.net.au/story/4475672/website-aims-to-tackle-ice-talk/
www.understandice.org.au
結晶型メタンフェタミンとの戦いに役立つことを目的としたサイト
ビクトリア州の2011-2012救急要請は94だったが2014-2015は467だった。

Report: Massachusetts Opioid Deaths Continue to Rise
Feb. 17, 2017
http://www.usnews.com/news/massachusetts/articles/2017-02-17/report-massachusetts-opioid-deaths-continue-to-rise
2016年にオピオイド関連死と確認されたのは1465で疑いありだが確認されていないのが469-562。2015年は確認1579で疑い154だった。

  • 精神科医は、彼らの倫理規定違反リスクがあるので「トランプの分析を止めるよう」警告される

Psychiatrists warned to 'stop analysing trump' because they risk breaching their own code of ethics
http://www.independent.co.uk/news/world/americas/american-psychiatric-association-stop-analysing-donald-trump-warning-a7588751.html
米国精神医学会(APA)が会員に対してDonald Trump精神分析を止めるよう警告した。学会の倫理規定違反になる。
トランプ氏の行動を説明する、中にはサイコパスや反社会的人間と断定したものも、机上の空論の心理分析が無数に書かれている。一部の専門家は大統領を人格障害などとも言っている。
APAはこのような自分が治療していない人を「診断」するのは止めなければならない、という。

  • 砂糖に課税すべきか?政治家と専門家が衝突

Should we have a sugar tax? Politicians and experts clash over controversial move
February 20, 2017
http://www.9news.com.au/national/2017/02/20/09/47/politicians-divided-over-controversial-sugar-tax
オーストラリアでのジャンクフード禁止と砂糖税を巡る議論の紹介
タバコに対して成功した方法を砂糖とジャンクフードに対して採用しようという主張と、不公平で効果がないという主張とのぶつかりあい

  • トランプがワクチン懐疑医師を正しいと主張

Trump offers vindication to vaccine skeptic doctor
By Carmen Paun | 2/9/17,
http://www.politico.eu/article/disgraced-doctor-who-questioned-vaccine-safety-looks-to-trump-with-hope/
米国大統領が、虚偽だとわかっているAndrew Wakefieldの予防接種と自閉症が関係するという主張を受け入れる

  • 「子ども達を死なせないように」:Kanataの父親が過剰使用を警告する手紙を書く

'Keep our kids from dying': Kanata dad pens letter warning of overdoses
Feb 19, 2017
http://www.cbc.ca/news/canada/ottawa/kanata-dad-warning-parents-of-teenager-drug-overdoses-1.3990547
子ども達が薬物を使用するたびに、ロシアンルーレットをやっている
Sean O'Learyが大晦日の夜にKanataの自宅の車庫を目指していたとき、ガレージの中ではカオスが展開していた。彼の娘が友人を招いていて、O'Learyが帰宅したとき、17才の少年が心臓が止まって倒れていた。おかしくなった5-6人のティーンエージャーがいて、直ちに救急蘇生をしつつ911に連絡した。もう生き返らないと思ったが救急隊員がナロキソンを注射して生き返らせることができた。その後の娘と友人の薬物依存との戦いとあわせた経験から、O'Learyはオピオイド依存の危険性について世の親たちに知って欲しいと願い公開文書を書いた。
O'Learyの手紙に依存者の親たちが反応している

  • オタワ警察は薬物捜査で10人逮捕

Ottawa Police Arrest Ten in Drug Raid
17 February 2017
http://www.netnewsledger.com/2017/02/17/ottawa-police-arrest-ten-drug-raid/

B.C.’s opioid crisis needs a practical solution, not a politically popular one
Gary Mason
The Globe and Mail
Published Sunday, Feb. 19, 2017
http://www.theglobeandmail.com/news/british-columbia/bcs-opioid-crisis-needs-a-practical-solution-not-a-politically-popular-one/article34087247/

コンシューマーラボ
Product Review: B Vitamin Supplements (B Complexes, B6, B12, Biotin, Folate, Riboflavin & More)
Posted: 2/18/17
https://www.consumerlab.com/reviews/Review_Best_B_Vitamins_and_Complexes_Energy_B6_B12_Biotin_Niacin_Folic_Acid/bvitamins/
検査の結果ベストとワーストが明らかになった。そして何故現在のラベルがしばしば誤解を招くものなのか
49製品を検査した。3製品はラベルに表示してある量より多く、耐用量の50%以上を摂ることになるものがある。さらにビタミン所要量についての科学がかわったのに表示の改訂は2018年までしなくていいためあなたは必要以上に摂る可能性がある。

  • 会員からの質問への回答

ConsumerLab.com Answers
コンシューマーラボ
http://www.consumerlab.com/answers/I+recently+read+that+a+gluten-free+diet+may+increase+your+exposure+to+arsenic+and+mercury.+Is+this+true/gluten-free-arsenic-mercury/
Q: 最近グルテンフリーダイエットはヒ素や水銀暴露量が増える可能性があるという記事を読んだ。本当?
A:本当である。研究でグルテンフリー食の人の尿中ヒ素濃度が50-90%多いことがわかった。研究者らはコメのせいだろうと想定している。コメにヒ素が多いのは本当で、特に玄米が多い。
ただしConsumerLabがこの研究を慎重にレビューしたところ検出されたヒ素や水銀の量は健康リスクにはならないだろうし由来はグルテンフリー食品ではない可能性が高い。
(詳細はログイン)
もしあなたがグルテンフリー食なら、オート麦もグルテンフリーであるが一部のオート麦製品には公差汚染により相当量のグルテンが含まれる可能性があることに注意。)
http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20170214#p9の件。コメントもいくつかついていて関心が高いと思われる。病気でもないのにグルテンフリーを選ぶような人たちが、有害である根拠は相当にあるヒ素を気にしないわけもなく)
ニュースはこんな感じ
グルテンフリー食は有害金属暴露リスクを増やす、研究が発見
Gluten-free Diet Increases The Risk Of Toxic Metal Exposure, Study Finds
Feb 19 2017
http://www.i4u.com/2017/02/120854/gluten-free-diet-increase-risk-toxic-metal-exposure-study-finds