食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

論文

  • 研究者らは抗酸化錠剤、ジューシング、その他の食生活の流行についての神話の嘘を暴くことを目指す

Researchers aim to debunk myths on antioxidant pills, juicing, other dietary fads
27-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/acoc-rat022317.php
Journal of the American College of Cardiologyに発表された新しいレビューで、研究者らは心疾患を減らすための最良の食事パターンについての混乱を解消するために栄養研究を解析している。レビューでは、現在の根拠はたくさんの野菜や果物、全粒穀物、豆と適度にナッツを食べることを強く支持すると結論している。一部の心臓に良いと言われる食生活では脂身の少ない肉を少量、低脂肪や無脂肪乳製品、液体の植物油も含まれる。
「栄養上の流行については、抗酸化錠剤、ジューシング、グルテンフリーなど間違った情報が大量にある。」と主著者のAndrew Freeman博士は言う。
このレビューに含まれるトピックには以下のようなものがある
・卵とコレステロール。政府の2015年報告では食事由来のコレステロールの上限を無くしたが高コレステロール食品を食べ過ぎないよう患者に助言するのは賢明なままである。
・植物油。ココナツオイルやパーム油は常用することを支持するデータは少ないので薦めない。最も薦められるのはオリーブ油だがそれでもカロリーが高いのでほどほどに。
・ベリーや抗酸化サプリメント。野菜や果物は抗酸化物質摂取源として最も健康的で、サプリメントで高用量の抗酸化物質を摂ることが心臓に良いという根拠はない
・ナッツ。ナッツは健康的な食生活の一部となりうるがカロリーが高いので食べ過ぎ注意
・ジューシング。ジュースに含まれる野菜や果物は心臓にとって健康的だが絞ることでカロリーを濃縮し食べ過ぎに繋がりやすくなる。丸ごとの野菜や果物のほうが望ましい。ジュースを作る時に砂糖やハチミツを入れないこと。
グルテン。セリアック病やグルテンに反応する人は避けなければならないがそうでない人にとって多くの宣伝は根拠がない
著者らは何故栄養研究には混乱があるかについても検討している。多くの研究は食品企業がお金を出しあるいは影響されバイアスがある。さらに食品中の特定の栄養素の影響を分離するのは非常に難しい。例えばリンゴにはタンパク質やビタミンや繊維などのたくさん汚成分が含まれる。健康的な食生活をしている人は運動や睡眠や喫煙しないなど他の健康的ライフスタイルも同時に持っていることが多く、食事の影響を他の行動と分離して同定するのは難しい。そして栄養研究の一部は記憶に頼っていてそれは必ずしも信頼できない。

  • 医師は心疾患患者とハーブ医薬品の使用について議論すべき

Doctors should discuss herbal medication use with heart disease patients
27-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/acoc-dsd022317.php
Journal of the American College of Cardiologyに発表されたレビューによると、医師は心疾患患者が、科学的根拠が無いにもかかわらずハーブ医薬品を使っているかもしれないことについて効果的に議論できるよう熟知すべきである。
ハーブ医薬品は市販前の臨床試験や規制機関による公式の認可がなく販売されているため、その有効性や安全性が証明されていることはほとんど無い。米国ではハーブにより被害があった後でないとFDAが安全でないと確認しない。それにもかかわらず心疾患患者がよく使い続けている。最近の調査では5人に1人が生涯の間にハーブまたはダイエタリーサプリメントを使用する。このレビューの研究者らは42のハーブ医薬品の心疾患治療への影響を調べた。それから心疾患の治療によく使われる10の医薬品について議論している。全体として入手できる根拠が乏しく明確に因果関係を確認できない。
彼らは患者が自主的にハーブ治療薬の使用情報を提供することは多くないので医師から話をすべきだと結論している。ハーブ治療薬の使用は通常の医薬品の適切でない使用に関連するため、重大な懸念である。

  • 食事助言に従うことは軽度の心臓の健康改善に繋がる

Following dietary recommendations leads to modest heart health improvements
27-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/acoc-fdr022317.php
Journal of the American College of Cardiology

  • 運動を増やしBMIを下げることは心不全リスクを下げるかもしれない

Increased physical activity, lower BMI may lower heart failure risk
27-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/acoc-ipa022317.php
Journal of the American College of Cardiology

  • 木材ストーブは魂には良いが心臓には悪い

Woodstoves are good for the soul, bad for the heart
27-Feb-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-02/mu-wag022717.php
McGill大学とヘルスカナダの研究者らが木を燃やすことによる空気の汚染は高齢者の心臓発作リスクの増加と関連することを発見
ブリティッシュコロンビアの3つの都市での汚染と入院データの解析。Epidemiologyに発表。公衆衛生改善のためには暖房用の木材ストーブをよりクリーンなものに交換する政策が必要。
(スモッグ警報が出るくらい燃やしているんだ)

‘Good’ cholesterol doesn’t always lower heart attack risk
http://www.cam.ac.uk/research/news/good-cholesterol-doesnt-always-lower-heart-attack-risk
英国心臓財団の資金提供によるケンブリッジ大学の研究によるとHDL-C濃度の高い一部の人は冠動脈心疾患リスクが高い。Scienceに発表。
SCARB1遺伝子の希な変異P376L バリアントをもつ人は「善玉」コレステロール(HDL-C)濃度が高い。通常HDL-Cが高いと冠動脈心疾患リスクは低いがこの変異があってHDL-C濃度が高い人は冠動脈心疾患リスクが80%高い−大体タバコを吸うのと同じくらいのリスク増加。
Zanoni, P et al.
Rare Variant in Scavenger Receptor BI raises HDL Cholesterol and Increases Risk of Coronary Heart Disease. Science; 10 Mar 2016; DOI: 10.1126/science.aad3517