食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 減量を試みたと報告する過体重の成人は少ない

Fewer overweight adults report trying to lose weight
7-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/tjnj-foa030317.php
JAMAの3月7日号に発表された研究によると、米国成人の体重増加は続いているが減量しようとしている人は少ない。社会的に許容できる体重が増加している。過体重または肥満の人が自分の体重に満足しているのなら減量しようと動機づけられる人は減るだろう。
1988-1994年および1999-2004年のNHANESのデータを用いて過体重または肥満の人の減量しようとしている人の割合の傾向を調査した。その結果減量しようとする人が減っていた。

Sulforaphane, a phytochemical in broccoli sprouts, ameliorates obesity
7-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/ku-sap030517.php
カゴメ株式会社と共同でマウスに高脂肪食を与えスルフォラファンを添加したところ体重増加が15%少なく腹部脂肪は20%少なかった。Nrf2ノックアウトマウスではスルフォラファンの影響は見られなかった。
(金沢大学プレスリリース
http://www.kanazawa-u.ac.jp/wp-content/uploads/2017/02/170217.pdf
与えた濃度が書いてなくて普通の餌を食べている普通のマウスでは影響がないことの考察もない。マウスの実験なのに説明用の絵は人間のもの(「高脂肪食」がハンバーガーになっていて肝臓の形もマウスではない)。こういう小さいかもしれないけれど誤解を狙う不誠実なところが嫌い。誇大広告はメディアだけが悪いのではないという例)

  • ライフスタイルの選択が直腸と結腸のがんリスクを遺伝子よりも条件付ける

Lifestyle choices condition colon and rectal cancer risk more than genetics
7-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/ibri-lcc030617.php
Scientific Reportsに発表されたスペインの多センター研究。10106人の参加者のデータを用いリスク要因を解析するための食生活や運動などのインタビューと直腸結腸がん患者1336人と対照2744人の遺伝子解析を行った。結論としてライフスタイルの選択の影響が4つの遺伝的リスクを上回る。「重要なのは遺伝子と違ってライフスタイルは変えられるということだ」

  • 心疾患、脳卒中、糖尿病による死亡の多さが食事と関連

High number of deaths from heart disease, stroke and diabetes linked to diet
7-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/nhla-hno030717.php
JAMAの3月7日号に発表された研究によると、2012年の米国の全ての死亡のうち約半分が心疾患や脳卒中、糖尿病などの心代謝系疾患によるもので、質の悪い食習慣と関連がある。NIHのNHLBIによる研究。
代謝系疾患による成人死亡の702,308のうち約45%の318,656がある種の食品や栄養の不適切な摂取に関連する。特に死亡への寄与割合が多いのはナトリウムの過剰摂取。他に加工肉、砂糖入り飲料、加工していない赤肉も過剰に摂取されている。不足しているのは野菜、果物、ナッツ、種子、全粒穀物、多価不飽和脂肪およびシーフード由来のオメガ3脂肪。また食事関連死の割合が集団によって異なり、女性より男性、白人より黒人やヒスパニック、教育レベルの高い人より低い人の方が死亡率が高い。

  • 「鉛の食事療法」を支持する根拠はない

Evidence lacking to support 'lead diet'
7-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/uab-elt030117.php
何年にもわたって、血中鉛濃度の高い子どもの親には鉄、カルシウム、ビタミンCの多い食品を食べさせるよう専門家が助言してきた。しかしJournal of Pediatricsに本日オンライン発表された新しい論文によると、これらの食事助言を支持する研究は欠けている。著者のバッファロー大学のKatarzyna Kordas疫学准教授は「私達はこのような助言をするための正しい根拠を持っていない」という。
この論文のきっかけとなったのはケースワーカーから鉛暴露のある家族に提供できる食事助言について尋ねられたことである。子どもの血中鉛濃度を下げる食事のようなものはあるのかと聞かれた。Kordasは、知る限りそんなものはないと答えた。
「私にとってはそれは重要な瞬間で、我々が問うべき質問はこれだと知った」CDCが鉛濃度の高い子どもに鉄、カルシウム、ビタミンCの多い食品を食べることを薦めているがその根拠は曖昧である。CDCを批判したいのではなく、助言をするには根拠があるべきだということである。
(理論上可能性があるというだけで言ってることって他にもいろいろありそう。でもこれは重要なことで、食事助言をするのならそれが役にたつというしっかりした根拠があるべきで、公衆衛生の研究者にはその根拠を作る責任があると。当たり前のことをきっちり確認することで研究者としてちゃんと評価されればいいのに。)

  • あなたがずっと疑っていたことを科学が確認:プールでおしっこしている人がいる

Science confirms what you always suspected: Some people do pee in the pool
By Megan Dolski Tues., March 7, 2017
https://www.thestar.com/news/gta/2017/03/07/science-confirms-what-you-always-suspected-some-people-do-pee-in-the-pool.html
多くの人が既に知っていたことを科学が裏付けた。今月初めEnvironmental Science & Technologyに発表されたアルバータ大学の研究者らがカナダの二つの都市の30以上の温泉やプールの水を分析した結果。研究によると84万リットルのプール(オリンピックプールの1/3のサイズ)には約75Lのおしっこが含まれる。おしっこ自体は基本的に無菌であるがそれがプールをきれいに保つために使われる殺菌剤と混じると問題が生じる。塩素と尿が混じるとトリクロロアミンが生じる。これが多くの人が塩素の臭いだと思っている強いプールの臭いのもとで、目や肺に刺激性がある。
オンタリオ公衆衛生局の環境職業健康部長Ray Copesは「尿はイヤな因子であるが、健康上の観点から問題になるのは尿と塩素が反応してできる化合物である。」彼は人々がこの研究をやるべきことをやるようにするきっかけにすることを望む。Copesは「私はこれからもプールで泳ぐだろう。泳ぐのは健康的活動でそれを推進したい。同時に人々にはプールで泳ぐ前にトイレに行き、プールを排尿目的に使用しないことを薦める」
この知見にもかかわらず著者のLindsay Blackstockは泳ぐことの利点のほうがリスクを上回ると信じている。
Blackstockのチームは直接おしっこを測定したのではなく、尿の指標として人工甘味料アセスルファムKを測定した。
トロント公衆衛生局の健康的環境マネージャーMahesh Patelは「公共のプールやスパを使用する人たちは入る前にシャワールームで洗う責任がある」という。トロントには市のプールにどのくらい尿が入っているかを追跡するシステムはない。なぜなら尿は通常無菌で公衆衛生リスクにはならないから。病原菌やウイルスを含む可能性のあるうんちとは同じ扱いにはならない。