食品安全情報blog過去記事

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論文

Low gluten diets may be associated with higher risk of type 2 diabetes
9-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/aha-lgd030117.php
米国心臓協会疫学と予防/ライフスタイルと心臓代謝健康2017会合の発表。
グルテンフリー食はしばしば食物繊維やその他の栄養が少なく、同時に値段も高い。セリアック病ではない人がグルテンを制限することは考え直した方がいいだろう
アメリカでの何かの流行ってすぐに大規模疫学研究で検出できる社会的実験になる。このままいくと日本人のBMIが低い割に糖尿病が多いのは和食のせい、になるだろう)

  • 魚と水銀:詳細な摂取助言が全米の女性に役立つ

Fish and mercury: Detailed consumption advisories would better serve women across US
9-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/osu-fam030817.php
米国の生殖可能年齢の女性の魚の摂取量は増えたが血中水銀濃度は減り、女性と赤ちゃんの健康が良くなっていることを新しい研究が示唆する。Environmental Healthに発表。

  • 難燃剤化合物は小さい子どもの社会的行動に影響するかもしれない

Flame retardant chemicals may affect social behavior in young children
9-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/osu-frc030917.php
Environmental Healthに発表されたオレゴン州立大学の環境疫学Molly Kile准教授らの研究。3-5才の92人のオレゴン州の子どもに7日間化学物質を吸収するシリコーンリストバンドをつけてもらって難燃剤暴露を測定した。保護者や幼稚園の先生に行動評価をしてもらった。BDE暴露の多い子どもは攻撃性や多動が多かった。
(疑似相関のような気がするけど。難燃剤暴露量は埃が多いと増える)

  • 介入しないことを選んだ甲状腺がん患者はサポートがないことを報告

Thyroid cancer patients opting for non-intervention report lack of support
9-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/tdif-tcp030917.php
研究の参加者はサポートがないこと、医療提供者やその他の人からの嘲笑すらを報告し、多くの人が診断を「緋文字The Scarlet Letter」となること(烙印)を避けるために隠している
Dartmouth保健政策臨床研究所とバーモント州ホワイトリバージャンクションの退役軍人局の研究者らによるこの種のものでは初めての研究によると、甲状腺がんと診断されて介入しないことを選んだ後、患者には孤立感や不安などの困難な道が待っている。
がんの過剰診断−患者に害をなすことのないがんを診断すること−が一般の人に理解されるに従って、甲状腺がんと診断された後に介入しないことを選択する患者が少ないながら増加している。特に甲状腺がんの過剰診断は健康に大きな影響があり、なぜなら50才までには約半分の人が少なくとも一つの甲状腺結節をもち、90才までにはほぼ全ての人に結節があるからで、このため甲状腺がんと診断(あるいは過剰診断)される可能性のある人は非常に多い。
JAMA Otolaryngologyに発表されたこの研究では研究者らは甲状腺がんと診断された介入しないことを選んだ21-75才の平均年齢49才の22人にインタビューした。参加者の診断は全て他の病気を調べていて、例えば首や胸のCTスキャンなど、偶然みつかったものである。甲状腺がんの症状を経験していた人はいない。
研究の知見には以下のものが含まれる:
・全員が医師に勧められた一連の治療に疑問を持ったが最終的結果は多様である:一人はセカンドオピニオンでがんの診断が覆され、3人は最終的には介入を選んだ。介入しないと決めた理由は多様で一部の参加社は医学文献を引用した。
・介入しないという決定には医療者からほとんどサポートも合意も得られなかったと報告している。18人中12人は懐疑的態度をとられたと報告し、「愚かな」「間違っている」「クレージー」とすら言われた。
・15人はネガティブな反応を避けるために甲状腺がんと診断されたことを隠していた。ある人は「治療されていないがんは緋文字だから」といった。
・14人は介入しないことを選んだ他の人の経験を聞きたい、あるいは同様の経験者と関係をもちたいという希望を表明したが、満足できる支援が得られたのはたった3人だった。
・全体の経験の結果として18人中5人は介入の代わりに薦められた検診を止めた。
・介入しないことを選んで生きることの困難にもかかわらず、6人は甲状腺がんとわかって嬉しいと報告し、4人は相反する感情があり、知りたくなかった、は7人。
「文化的に、我々はもしがんと診断されたらそのがんを追い払うためにできる限りのことをしなければならないと考えやすいようになっている。非介入へ態度を変えるためには大きな社会的、メディアの文化の変化が必要である」と著者のLouise Davies医師は言う
それまでは、甲状腺がんに介入はしないというアーリーアダプターには、教育を含む社会的医療的サポートがあるといいだろう。過剰診断が多いことがわかっている前立腺がんのような他のがんでも、そのようなサポートがあるとがんの監視が続きやすいことが示されている。
(たまたま見つけてしまった場合でも過剰診断の支援が必要なのに、望まない人にまで大規模検診とかやるのは、最早犯罪。)

  • ヒトフェロモンは本当に存在するか?

Do human pheromones actually exist?
By Lindzi WesselMar. 7, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/03/do-human-pheromones-actually-exist
Royal Society Open Scienceに発表された研究でアンドロスタンジオンとエストラテトラエノールは効果がない