食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

San Diego woman dead after turmeric IV infusion
Mar 21, 2017 By: Allison Ash
http://www.10news.com/news/team-10/encinitas-woman-dead-after-i-v-infusion-of-turmeric
検察医が捜査を確認
編集注:カリフォルニア州は一定の基準を満たせばナチュロパスプラクティショナーに「ドクター」という肩書きを使うことを認めている。Dr. Mark Stenglerはこの基準にあっていてカリフォルニアで治療を行うライセンスを持っていた。このインタビューで言及している「ドクター」は許可のあるプラクティショナーかもしれないしないかもしれない。調査の初期段階ではJade Erickを治療したのが誰なのか公開されていない。ナチュロパスについてはカリフォルニア消費者問題省が消費者ガイドを提供している。
http://www.naturopathic.ca.gov/formspubs/brochure_guide.pdf
(ここから記事)
Jade Erickは美しく「自由な魂」を持った女性だった。ホリスティックヘルスに興味があり、その興味により30才で死亡することになった。Jade Erickはターメリックを静脈注射して悪い反応を起こして死んだ。サンディエゴ郡検察医によると死因は「注入されたターメリック液への有害反応による心肺停止からの蘇生が長引いたことによる低酸素脳症」である。ターメリックは静脈から注入されたことを確認している。
友人によるとErickは痒くて不快な湿疹の再燃に悩んでいてそれを治そうとしていた。ターメリックを患者に投与している、ただし口から、ナチュロパシー医のMark Stenglerは「炎症に役立つナチュラルで安全な方法である」という。StenglerはErickを治療したわけではないが、「ターメリックの抗炎症作用を高めるために静脈注射しているドクターがいることは知っている」
(静注のどのへんがナチュラルなのかさっぱりわからないが)

  • 除草剤(グリホサート)の安全性基準は緊急レビューが必要

Weedkiller chemical (glyphosate) safety standards need urgent review
23-Mar-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-03/b-wc032317.php
Journal of Epidemiology & Community Healthに発表されたエッセイ(Essay)
ECHAの発表を受けての政治活動
Is it time to reassess current safety standards for glyphosate-based herbicides?
http://jech.bmj.com/content/early/2017/02/22/jech-2016-208463
いつものメンバー(「環境ホルモン」のFrederick S vom Saal,やJohn Peterson Myers、消費者団体)いつもの主張
(別にグリホサートにホルモン作用が疑われているわけではなく、何かを悪者にする手法は一緒なので。)

Scienceニュース
Update: After quick review, medical school says no evidence Monsanto ghostwrote professor's paper
By Warren CornwallMar. 23, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/03/medical-school-examine-whether-professor-published-paper-partly-written-chemical
ニューヨーク州医科大学の担当者は迅速に調査を行い、教員が他人の代筆を禁止した大学の規則を破ったという根拠はないと言う。この声明はScienceInsiderの報告の一日後である。

  • 搾取的雑誌はフェイク編集者を採用する

Natureコメント
Predatory journals recruit fake editor
Piotr Sorokowski, Emanuel Kulczycki, Agnieszka Sorokowska & Katarzyna Pisanski
22 March 2017
http://www.nature.com/news/predatory-journals-recruit-fake-editor-1.21662
調査の結果数十の学術雑誌が「詐欺博士」−ニセの、質の保障されていない科学者−を編集委員にしていることがわかった。Katarzyna Pisanskiらが報告する。
数千の学術雑誌は質を気にしない。それらは主に著者からお金を取るために存在する。これらの「搾取的」雑誌は疑問のあるマーケティング方法で、ゆるいまたは存在しないピアレビュー方法で、科学的厳密さや透明性がない。
オープンアクセスムーブメントは、その志は尊いが、こうしたパラサイト出版社を意図せず生み出すことになった。インチキ雑誌がまともな雑誌を真似して著者からお金をとる。研究者らは論文を出さないといけないので雑誌の評判など確認せずに投稿する可能性がある。雑誌の質に重要なのは編集者である。多くの搾取的雑誌が一見まともそうな編集委員を雇おうと大学の研究者をリクルートする。我々はその編集委員を調べてみた。
360のまともなものと詐欺的な雑誌にフェイクで編集者として応募した。48の雑誌が受け入れた。その内容は我々が予想したより悪質だった。
我々の研究分野はヒトの行動で、ポーランドのWrocław大学で一緒に働いていてこの計画を思いついた。学術出版がテーマだったわけではないが、あまりにも多くの、分野外の雑誌からの編集者にならないかという招待メールを受け取っていた。若い同僚がこの罠に落ちた。そこでニセの科学者Anna O. Szust(Oszustはポーランド語で詐欺という意味)のプロフィールを作って360の雑誌の編集員に立候補した。そのプロフィールは編集者としては極めて不適切でその業績はどんな文献データベースにも引用されていない。360の雑誌はそれぞれ公式のインパクトファクターが掲載されているJCRリスト、オープンアクセスジャーナルリストDOAJ、そして疑わしい雑誌のリストであるBeallのリストからそれぞれ120選んだ。
多くの場合、応募直後にポジティブな反応が返ってきて、4誌はすぐにSzustを編集長に任命した。JCRリストでSzustを任命した雑誌はない。Beallのリストからは40、DOAJからは8誌がSzustを編集者に任命した。(図有り)Szustに経験について問い合わせたところはない。大学や研究所に連絡しようとしたところもない。
少なくとも1ダースの雑誌がお金を払えば編集者にすると言ってきた。あるいは学会を開催してその紀要をお金を払って出版することを提案してきた。さらに新しい雑誌を作ってその利益を分け合うことを提案された。
中略
搾取的雑誌の数は増加している。この増加は学識の質を脅かしている。信頼できる編集委員のいない、欠陥のある学術論文の増加はますます大きな問題になっている。これらはオープンアクセスムーブメントに悪評を与えている。
学術界の論文を出すことへのプレッシャーはこの動きに寄与している。論文数がキャリアや研究費の獲得にしばしば影響する。雑誌の質を判断するのは必ずしも簡単ではない。しかしリソースはある。
中略
我々は2017年2月にSzustを編集者に任命した49の雑誌に研究について伝えた。彼女の名前はいまだに11の雑誌のウェブサイトに編集委員として掲載されている。実際のところ、応募していない雑誌の編集委員にも掲載されている。さらに各種学会の運営委員会やスタッフ、皮肉なことに「オープンアクセス学術雑誌の可視性を増して利用しやすくするのが目的」というオープンアクセスインデックス機関助言委員会にも名前が出ている
(一度反応したらカモリストに載るってこと?)

Natureニュース
DNA typos to blame for most cancer mutations
Heidi Ledford 23 March 2017
http://www.nature.com/news/dna-typos-to-blame-for-most-cancer-mutations-1.21696
環境や遺伝は研究者が考えているほど大きな寄与はないかもしれない
がんの原因となる突然変異の約2/3は細胞がDNAを複製する時におこる間違いによる、数学モデルが示唆する。3月23日にScienceに発表されたこの知見は、がんには環境要因や内因性要因がどのくらい寄与しているのかという長く続く議論の最新の論拠である。またがんの変異の多くは遺伝せず、例えばライフスタイルの選択のようなことでは予防できないことを示唆する。この知見は研究者の「がんとの戦い」のやりかたを変える可能性がある、と共著者のSidney Kimmel総合がんセンターのBert Vogelsteinは言う。
がんの変異の原因として研究者らは環境要因の役割を強調してきた、と彼は言う。「もし変異を敵とみなし、その全てが外からやってくるなら、それを入れないことが大事なのは明白である。しかし多くの敵は−この場合2/3は−実際には我々の中にある。つまり異なる戦略が必要である」。それは予防に加えて早期検出と治療を強調するだろう、と彼は言う。
細胞が分裂するたびにDNAの複製の際の間違いがおこる機会を提供する。2015年にVogelsteinらは幹細胞の分裂回数の差が臓器によるがんの頻度の差に関連するという彼らの解析で議論を巻き起こしている。その研究の結論が予防の努力を弱める可能性があるという恐れがあり、たくさんの論文が続いた。Vogelsteinは彼らの研究が喫煙や日光のような既知の発がん要因との戦いの努力に疑問を提示する意図はないと反論した。疫学研究からは約42%のがんは予防可能だということが示唆されていて彼の結果はそれと矛盾しない。なぜなら彼の研究が対象にしているのはがんの原因となる突然変異の数であり、通常がんになるには突然変異が一つより多く必要で、数を直接比較できるものではないからである。
今回の研究は2015年の論文への批判の2つに対応した。米国以外の国、69ヶ国に解析対象を拡大し、最初の研究で排除されていた最もよく見られるがんである乳がん前立腺がんを含めた。そしてがんの原因となる突然変異の原因のうち環境、遺伝、複製エラーの寄与率を計算した。この割合はがんにより異なり、例えばある種の肺がんでは環境要因65%でランダム複製エラーが35%、一方前立腺、脳、骨のがんでは95%以上がDNAの複製エラーによる。全体として32のがんでがんの原因となる突然変異の約66%がランダムDNA複製エラーで環境要因が29%、遺伝が5%だった。
著者らが使った方法はしっかりしているがその解析のために多くの仮定をおいている、と数学モデルの専門家でスイス連邦工学研究所のRobert Nobleはいう。ニューヨークStony Brookがんセンター長のYusuf Hannunはこの研究が遺伝や環境要因の寄与を過小に評価していることを心配する。
Vogelsteinはこの結果は一部の人たち−特に子どもががんになった両親−の罪悪感を緩和することを期待する。インターネットで検索するとあなたのライフスタイルや遺伝子が原因で子どもががんになったというメッセージがよくある。「こうしたがんは何をどうやってもおこっただろうことを理解する必要がある。既に悲劇的な状況に罪の意識を加える必要はない」

Science
がんにつながる「運の悪い」突然変異の寄与についての議論再燃
Debate reignites over the contributions of ‘bad luck’ mutations to cancer
By Jennifer Couzin-FrankelMar. 23, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/03/debate-reignites-over-contributions-bad-luck-mutations-cancer

(個人レベルでは可能な対策は無理のない範囲でするけれど、がんになったらくよくよ考えたり原因探しをしたりしない、まして他の人に〜が悪かったなどと言ったりしない、くらいしかないかな。ほんの僅かでも発がん物質は排除すべきという考えは害の方が大きいだろう)

  • メキシコは34匹のワニが血をとられているのを発見

Mexico finds 34 crocs ’milked’ for their blood
March 23, 2017
http://www.torontosun.com/2017/03/23/mexico-finds-34-crocs-milked-for-their-blood
メキシコ東京は14のワニを救出し20頭が血を抜かれて死んでいるのを発見した。環境保護事務所によるとChiapasの住人の中にはがんや糖尿病、AIDSなどの病気が治ると信じてワニの血を求める人たちがいる。科学者ワニの血が効くという根拠はないという。生きていた14頭のワニは野生に返した。死んだワニの多くは頭やしっぽが切り裂かれていた。メキシコで保護対象となっている種であると考えられる