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欧州委員会ファクトシート EUにおけるアグリフードチェーンに渡る規則の施行

European Commission - Fact Sheet
Enforcement of rules along the agri-food chain in the EU
Brussels, 15 March 2017
http://europa.eu/rapid/press-release_MEMO-17-611_en.htm

新しい公的管理規則Official Controls Regulationに関するQ&A
欧州議会と理事会加盟国の間で交渉がうまくいき、本日採択された新しい公的管理規則はアグリフードチェーン全体に及ぶ統合された規則の国際的な参考になるものとして欧州連合のシステムを向上させ、強化するものになる。
調和のとれた欧州連合の規則はアグリフードチェーンに沿ってヒト、動物及び植物へのリスクを予防、排除または軽減するために制定された。加盟国各国の所轄官庁によって実施される公的管理はこれらの規則が正しく施行されているか確認する役割を果たす。
新規則は現行のシステムを全面的に見直した。新規則によって、アグリフードチェーンに沿ったすべての公的管理に単一の枠組みを提供する。企業や当局は管理上の負担の軽減、より効率的なプロセス及び強化された管理からベネフィットを得られるだろう。消費者は食品の安全性と植物の健康、動物の健康と福祉に対する高い基準を保証するために、また偽装を防ぐためにより透明性の高い管理の実施からベネフィットを得られるだろう。
1) 公的管理とは何か、なぜそれが必要なのか?
公的管理は企業がアグリフードチェーンの規則に従っていることを確認するために、欧州連合諸国が行うチェックである。これらの規則は食品と飼料の安全性と品質、植物の健康、動物の健康と福祉を対象とする。規則はまた第三国から欧州連合に入るアグリフードチェーン製品にも適用される。
2004年に採択された従来の法律で、公的管理に関する規則の統合を開始した。2013年欧州委員会で提議された新公的管理規則法(OCR)ではアグリフードチェーンに沿った包括的なリスクに基づいた管理規則の提供によりさらに進んだ。これによって国家当局は最も必要とするところにリソースを投じることができるようになる。厳正で、柔軟性のない規則は無効にされ、より統合されたITシステムによって、管理機関は取引慣行を追跡するためのより現代的なアプローチができるようになる。
2) 新しい規則で何が変わるか?
新規則は特に植物の健康と動物副産物の規則を対象とするために従来の規則法の範囲を広げている。規則では、例えば動物の健康や動物の福祉といったすでに対象となっているいくつかの分野に対してより特別な規則を規定している。また欧州委員会は各部門の特定施行の必要性のために管理要件を調整することができる。重要な例は、リスクが必要とする最小限の管理頻度の設定である。
動物、植物、食品、飼料、物品、物質、材料及び設備を取り扱う、生産、加工及び流通すべての段階の事業者は新しい規則の適用対象となる。管理は事前の通知が必要な場合を除き、事前の通知なく実施される。
リスクに基づいたアプローチなので、管理の頻度は不正、健康、安全、動物の福祉または一部の事例では環境ごとに製品やプロセスが示すリスクに関連する。リスク評価に含まれる他の要因には例えばコンプライアンスに関する事業者の過去の記録や食品の特性、品質、組成及び食品の買付国に関して消費者が誤解するような可能性といったものがある。
そのような的を絞った管理は優先される必要のある執行分野に焦点を当ててリソースを割く。新規則はまた、年次報告書を公表する義務のある加盟国の当局の一層の透明性と説明責任を要求する。公的管理のための費用算定に対する透明性ある規則は加盟国が業務上の適切な資金を確保することができ、事業者は過剰に請求されることを避けられることを保証する。
3) 公的管理では第三国からのアグリフードチェーン製品も対象になるか?
はい。共通の一連の規則は動物、動物由来製品、植物、及び健康、安全性、動物の福祉、または特定の場合において環境に害をもたらし、また国境検査所(BCPs)を通して供給される必要のあるその他の製品や物品に対して実施される国境管理に適用される。
管理に関する情報とデータ管理のための現代的なコンピュータ化されたシステムとリンクしたリスク調整された管理の頻度は、そのリスクにリソースを提供する。それゆえ、この新しいシステムにより執行当局や産業界の負担が軽減される。
BCPsは効率的かつ効果的な公的管理を保証するために共通の要件に従わなければならない。共通衛生輸入証明(CHED)が第三国からの委託貨物に対して導入される予定である。
4) オンライン(Eコマース)で購入した製品もまた新しい規則の対象となるのか?
はい。食品法はインターネットを経由して販売される食品にも適用される。それゆえ、Eコマースは公的管理の対象でなければならない。
新規則では管理のために、加盟国は身分を明かすことなしにオンラインで商品を注文することができる(例ミステリーショッピング)し、公的サンプルとして購入した商品を使用することができることを確認している。違反者は事業者の所在地にかかわらず罰が課せられる。
5) 新規則は食品偽装に取り組むのか?
はい。偽装は消費者の信用を損ね、競争に悪影響を与え、食品と飼料の安全性を低下させる可能性がある。そこで、新規則は不正や欺瞞的行為を見つけるために定期的な、事前通知なしのリスクに基づいた公的管理を実施することを加盟国に求める。
これは農産物に対する販売基準コンプライアンスを確認することも含む。偽装に対する罰金は不正を行う事業者の見込まれる経済的利益や売り上げの手数料を反映する必要がある。
加えて、アグリフードチェーンの信頼性と統合性のためのEUレファレンスセンターが設立される予定である。それは管理業務の効果的な遂行を支援するためにEU諸国に最新かつ信用できる技術的なデータ及び研究知見を提供することになる。
6) 新規則は動物の福祉にどのように取り組むのか?
技術的革新に関する科学的かつ技術的な研究を実施し、トレーニングコースを運営しかつ研究知見や情報を普及させることで、EU諸国の公的管理を支援するであろう、動物福祉のためのEUレファレンスセンターの設立を規則で求めている。EUレファレンスセンターはまた動物の福祉を評価し、改善するために科学的かつ技術的な専門知識を提供する。
規則は例えば、輸送、食肉処理及び畜産についての動物の福祉の規則に関する公的管理に適用され、また欧州委員会の規制の採択によって動物の福祉の指標の導入のような動物の福祉の特殊なニーズを満たす公的管理要件を調整することができる。
7) 欧州連合諸国間の協力や支援は向上するか?
はい。新規則はアグリフードチェーン規則の国境を越えた施行を保証するために欧州連合諸国間の協力や行政支援に関する規則を明確にし、強化している。
加盟国は違反の可能性あるケースにあたる所轄官庁や検察官のようなほかの施行当局の間で情報交換を促す義務がある。これによって国境を越えた違反者のより迅速かつ効率的な追跡が可能になる。
加えて、公的管理のための統合マネジメントシステム(IMSOC)は、データの最適な利用を保証し、事業者や国家の施行機関の負担を減らし、加盟国間の情報交換を加速させるために、すべての既存の(今後の)コンピュータシステム、例えばTRACES,、RASFF及び Europhytを統合するものになる。
8) 新しい規則はいつ適用になるのか?
新しい公的管理規則は公布から20日後に発効となる。新規則はEU諸国や産業界に適用の期間を与え段階的に導入される予定である。以下はそれぞれの適用時期をまとめたものである:
・発効+1年―この適用時期はEUレファレンスラボラトリー(EURLs)と動物の福祉のためのEUレファレンスセンターの設立に関する規則に関連する。
・2019年12月14日に適用開始―この適用時期はOCR規則の大部分に関連し、例えば範囲、定義、所轄官庁の規則、公的管理の財政、行政上の支援、サンプリングと分析(一部の植物の健康の例外あり)及び所轄官庁の強制措置を含む。
・発効+最大6年―この適用時期は輸入管理、食品と飼料の残留物及び動物の福祉に対する特定の規則に関連する。
新公的管理規則はより具体的な規則とともにさらに改正され補足されるであろう。
詳しい情報は以下のサイトで参照できる。
https://ec.europa.eu/food/safety/official_controls/review_en