食品安全情報blog過去記事

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輸入食品の安全性を進歩させるための現代的で統合されたアプローチをとる

Taking a Modern, Integrated Approach to Advancing the Safety of Imported Food
04/20/2017
https://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/FSMA/ucm552507.htm
Donald Praterのインタビュー
Dr. Donald A. Praterは 食品動物用医薬品部 (FVM)の食品安全統合次官補代行である。彼はFDAグローバルレギュラトリ―オペレーション及び政策部(GO)と協調して、FDA食品安全応用栄養センター(CFSAN)と動物用医薬品センター(CVM)間の輸入関連戦略リソース計画業務の責任者である。
以前、Dr. PraterはFDAのヨーロッパオフィスの室長と欧州連合における米国保健福祉省(HHS)の国代表として2012年から2016年の間ベルギーブリュッセルで勤務した。それに先立って、2010年から2012年、欧州食品安全機関のFDAの調整役を務めた。
Dr. Praterは1996年にVirginia-Maryland Regional College of Veterinary Medicine(政府企業コース)で獣医学博士号を取得し、1999年にFDAの動物用医薬品センターに加わり、様々な職務に就いた。Dr. Praterは抗菌薬耐性、バイオテクノロジー及び毒性試験の分野に従事した。
Q.食品安全統合次官は長い肩書であるが、実際どういう意味か?
私の職務はFVMプログラム全体にわたって食品輸入業務を調整することである。「統合」というのは、我々の輸入に対する従来の規制監督方法(例えば、監視、輸入検査、実地調査活動)が、輸入食品の安全性を確保するのに役立つ多角的なツールキットの一部としてFDA食品安全近代化法(FSMA)の新輸入規定に取り入れられるであろうという事実を反映している。
輸入特有の問題の分野横断的性質は食品動物用医薬品部、食品安全応用栄養センター(CFSAN)及び動物用医薬品センター(CVM)を含み、同時にグローバルレギュラトリ―オペレーション及び政策部(GO)や規制業務部のもとでの関連業務を含むFVMプログラム全体にわたるかなりの量のコミュニケーションと調整を必要とする。
食品輸入量の増加とFSMAが運用段階に移行しつつあるという現実を考慮すれば、この種の統合の必要性はかつてなく重要なものである。
Q.これがどのように消費者の利益になるのか?
我々は多くの食品を米国に輸入している。米国の食品供給の15%は輸入品であり、生鮮果物のほぼ50%、生鮮野菜の20%及び海産食品の80%が輸入品である。我々は200ヵ国以上、約12万5千社から輸入している。供給業者や輸入業者と連携して輸入食品が安全であると保証することに協力することはFDAの責任である。
輸入食品の安全性保証支援の1つの方法は、食品供給チェーン全体にわたるあらゆる種類の規制監督方法を使用し、リスクに基づいて、我々のリソースを割り当てることである。監督責任の調整、食品供給チェーンにおける他の責任ある関係者により行われる業務の活用及び現在の規制ツールと併せてFSMAで規定されている新規制ツールの適用によって、消費者はよりしっかり保護され、我々のリソースは最もリスクが大きいとされる分野により効率的に割り当てられるようになるだろう。
Q.つまり、食品が国内生産であろうと輸入品であろうと同じ監視を適用しているということか?
FDAには国内や海外食品の監督をするために、様々なツール(例えば、査察、理学的検査、サンプリング/検査)があり、さらにFSMAの輸入規定は、供給業者が米国食品安全基準と一致する食品を生産しているということを輸入業者が立証するという要件のような新しいツールを規定している。食品供給チェーン全体にわたって使われるツールは異なる可能性はあるが、監視レベルは同等のものになるだろう。
基本的な原則は海外からの輸入食品は国内で生産されたものと同様に安全であるということを保証するということである。同一のシステムを持っているかについてではなく、同一の保護のレベルであるかということである。しかし、利用可能な様々なツールを考慮すると、国内海外の領域においてそれらの使用を最適化する方法があるだろう。例えば、FDAの査察は有益な方法であるが、海外の査察には膨大なリソースが必要である。なぜなら、国家や地方自治体、ビザの必要要件、ロジ準備、言語(通訳の必要性)及びその他の課題との調整の必要性があるからである。そういうわけで、査察は最も高いリスクの施設に対してこそ最も適しているだろう。
Q.食品施設でのリスクに基づいたリソース配分にすでに移行しているのではないか?これは常識に思えるが?
確かに我々が査察する商品や施設についてや査察の頻度について、リスクに基づいたアプローチをすでに適用している。我々の輸入食品法令遵守スクリーニング(PREDICT)システムは米国への輸入のためのすべての規制された積荷を電子的にスクリーニングするためにFDAが使用するよく知られた分析ツールである。
さらに、今や我々は検査するための強力な情報テクノロジーやデータ分析が可能で、規制された物の世界的リストについてより深い理解を得ることができる。このより豊富な情報によって、FDAの規制監督リソースをより効率的にかつ効果的に展開させるためにリソースの割り当てモデルをさらに改善することができるだろう。毎日何千という登録企業や積荷は動的かつ絶え間なく変わるリスク状況をもたらす。我々の情報の正確性と頑健性の向上はよりよい公衆衛生のアウトカムを手に入れることに役立つだろう。
Q.FDAはどのように輸入監視へのアプローチを変えているのか?
従来、我々の輸入安全プログラムは米国へ食品を輸入する海外の施設の査察と通関手続時の積荷検査で成り立ってきた。これらの輸入規制ツールを実施することに関連する相対費用に比べると、輸入量と登録企業数のかなりの増大は、この従来のモデルの能力が現在の傾向と同じペースを保つことを困難にする。
輸入食品に関連する業務は、大部分がFSMAによるものだが、大きく変わりつつある。米国の国境に到着する以前にこれらの食品の安全性を保証する予防に基づく措置を求めるようになった。FSMAはよりよく業務ができるよういくつかの新しいツールを規定したので、そのような機会を提供してくれた。例えば、外国供給業者認証計画というものがあるが、これは輸入業者に輸入食品の安全性の立証を求めるものであり、我々は輸入業者がそのように行っているか確認するために輸入業者を査察する。我々には登録済み海外食品施設を含め、海外の食品の安全性を監査する第三者認証機関を認証するために使用されるプログラムがある。また、任意適格輸入業者プログラムというものがあり、これは厳しい基準を満たす適格な輸入業者の食品の迅速なレビューシステムを含む。
Q. 海外の施設の査察や通関手続地での検査のような従来の方法はどうなるのか?
施設査察と通関手続での検査は、食品安全の高いレベルを維持する予防的管理が毎日、1ロットごと適切に実施されることを確実にし、積荷ごとに安全な食品を確認する重要な方法であり続けるだろう。
新しい方法と従来の方法を統合することは現在の課題である。我々にはFSMA遂行担当がいて、この問題を分析し、既存の方法と新しい方法を統合する戦略を立て、リスクに基づき、効率的かつ効果的な方法でFDA規制リソースを割り当て、食品供給チェーンに存在する業務提携、パートナーシップ及びその他の確実なプロセスを活用することを担っている。
Q.今後の課題はなにか?
課題の1つは監督業務を支援する第三者からの信頼できる情報の活用である。大きな問題は我々の業務を計画する上でどのようにこの情報を活かすかということである。
すべての国が直面するもう1つの課題は我々の食品安全基準に合致していることをどのように確認するかである。FSMAを制定する上で、米国議会は検証を食品由来疾患を防ぐことを中心的な要素と認識し、FDAコンプライアンスを確認するために世界中の政府関係者と協力することを指示した。検証の重要性はコーデックス国際規格や多くの取引相手の規制業務において認識されている。なので、独自の食品安全課題がある国がどのようにこの重要な問題に一緒に取り組むか?この疑問に対する正しい回答を見つけるために取り組んでいる。
Q.FDAが食品の安全性を保証するために築いたパートナーシップについてもう少し述べてもらえるか?
この件に単独で取り組むのではない、それは確かである。例えば、我々は厳しい食品安全システムをもつ国々の知識や成功事例を活用している。これまで我々は公式にニュージーランド、カナダ及びちょうど先週オーストラリアの3か国を公衆衛生保護の同じレベルを規定している国と認めた。国内を見てみると、我々は、FSMAを履行するための生産物安全性プログラムの発展のために業務提携において42州に総額2180万ドルを提供した。我々は国内海外の規制パートナーなしにこの重要な業務をなしえないだろう。
Q.この新しい立場で過去の経験はどのように役立つか
FDAでは17年の経験があり、本部勤務、動物用医薬品センター及び海外勤務もある。最近はブリュッセルFDAヨーロッパオフィスの室長として勤務した。この経験は海外諸国が食品安全システムの監督をどのように規定し、またその監督にどの程度頼れるかについて深く知ることができた。
獣医師としてFDAにきて、片足を医薬品領域に突っ込み、今では食品領域に突っ込んでいるという独特なポジションにいる。病理学のトレーニングは医薬品だけでなく、食品成分や包装材料を実証する安全性試験に精通させてくれた。過去数年間、抗菌性医薬品の責任ある賢明な使用を促進することを目的とした基準の作成に貢献してきた。
私に関してほとんど知られていないことだが、付け加えて熱烈な釣好きであり、水産養殖の将来と課題に関する見解を養った所である、CVM(動物医薬品センター)の水産養殖医薬品チームを率いていた。それは、今では魚と水産物の重要なリソースとなっている。海産食品は米国の主要な輸入品であり、この国に輸出される魚に使用される安全な医薬品の使用に関して海外の水産養殖生産者に対するトレーニングの作成に取り組んだ。
FDAでの人生の中で、17年は経歴の大部分である。しかし、私が重んじる豊富な経験をもつ在職期間の長い先輩、また食品の安全性の基本的問題に関する熱意や新鮮な見方を分かち合っているFDAに新しく来た後輩というたくさんの仲間がいることを今でも感じている。