食品安全情報blog過去記事

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SMC UK

  • 子どもの寝室のテレビと過体重についての専門家の反応

expert reaction to tvs in children’s bedrooms and being overweight
June 2, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-tvs-in-childrens-bedrooms-and-being-overweight/
International Journal of Obesityに発表された英国の子ども達の寝室で画面を見ることと体の太さの関連についての縦断研究
UCL内分泌相談医で肥満専門医で内分泌学会会員のNick Finer教授
著者らは子どもの寝室にテレビがあることは過体重リスクであるという強い根拠を発見した。7才の時に寝室にテレビがある女の子は11才の時過体重になる可能性がテレビのない子どもより30%高い。男の子では20%。コンピューター使用は体重増加と関連しなかった。しかしこの研究は寝室のテレビが体重増加の原因だと証明したわけではない。著者らは両親は子どもの寝室にテレビを置かないようにと言っているが、子どもの肥満リスクを心配している親が寝室のテレビについて適切に考慮しないと考えるのは困難である。
王立小児科子どもの健康学会健康増進担当Russell Viner教授
イングランドの11才の子どもの1/3が過体重で、1/5は肥満であるため、肥満対策は緊急課題である。画面を見る時間が長いことは、より運動しないライフスタイル、ジャンクフード広告への暴露増加、睡眠や食習慣の乱れとの組み合わせで過体重や肥満リスクを増やすことを知っている。この複雑な分野を理解するのにはさらなる研究が必要であるが、これは質の高い大規模な、国民を代表する検体をカバーした研究である。
この研究は9時前のジャンクフード宣伝の厳しい禁止などを含む対応を次期政府に薦めるのにさらなる重みを加えた。

  • 自閉症における胎児期と出産後の金属の調節不全についての専門家の反応

expert reaction to fetal and postnatal metal dysregulation in autism
June 2, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-fetal-and-postnatal-metal-dysregulation-in-autism/
Queen Mary University London (QMUL)病理名誉教授Colin Berry卿
毒性学的疫学的視点からは多数の懸念があるため、この論文の意味について深読みしない。
最初の問題は仮説が提示されていない−著者らは重金属が骨に吸着するので歯を調べているが、それらは同じではなく、子どもの発育時期により異なる。このことがさらに歯に重金属が結合すると他の重金属との相互作用が異なってますます複雑になる。
二つ目は試験のサイズが小さい
三つ目はこの研究は盲検ではない。図3のグラフは同じスケールでないため異なる種類の双子の比較が困難で問題がある。
適切に行えば、水俣病研究のように、保存された生体試料(胎盤や臍帯)でできたことが見られるが、その場合はるかに多くの検体とより一貫して簡単に記述できる症状があるだろう。
Autistica,研究部長Georgina Warner博士
有害金属暴露と自閉症の関連には決定的根拠はないが、この研究は遺伝子と環境トリガーの関連についての理解を進めるさらなる研究の必要性を示す。この研究は自閉症とそうでない人の間に暴露の差があることを観察しているものの有害金属が自閉症の原因であることを示したものではないことに注意することが重要だろう。この研究で考慮されていないたくさんの可能性のある理由がある。さらなる質の高い研究が必要で、家族に助言をするのは時期尚早である。
King’s College London精神病、心理学、神経科学研究所心理学講師Rosa Hoekstra博士
この研究だけからしっかりした結論は出せない
(説明略)
オックスフォード大学発達神経心理学教授Dorothy Bishop教授
この種の双子の検体は非常に珍しいためサンプルサイズは小さい。さらなる研究には有用かもしれないが家族にとって現実的な意味はない

  • アルデヒド暴露とがんリスクを調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study investigating aldehyde exposure and cancer risk
June 1, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-investigating-aldehyde-exposure-and-cancer-risk/
Cellに発表された研究でアルデヒド暴露のDNA修復への影響を調べ、アルデヒドが修復プロセスに関与するタンパク質の分解の引き金を引くと報告した
Queen Mary University London (QMUL)病理名誉教授Colin Berry卿ある種のがんになる確率に影響する、DNAをかく乱し既にある異常に影響することが知られているある種の化合物の作用メカニズムを示唆した良い仕事である。重要な点はどの環境暴露が遺伝的背景のもとで作用して影響を発現する経路を示唆したことである。
私が指摘したいのは、あなたががんになる確率は環境暴露だけではなくあなたの遺伝子にもよるということである。我々はがんについて考えるとき、多分環境の役割を過剰に強調し遺伝的感受性に十分な注意を払ってこなかった。しかしこれらのデータから環境暴露リスクを読み取ることは不可能である。
ケンブリッジ大学がん疫学教授Paul Pharoah教授
アルデヒドとがんリスクの関連は長い間知られてきた。例えばアルコールをたくさん飲むことと乳がんリスクの増加は関連する。しかしながらこの研究はこのリスクがどのくらい重要であるかについてはほとんど何も語らず、例えばシャンプーがヒトがんの重要な原因であると示唆することは誤解を招くものである。研究者らが行ったのはアルデヒドがどうやってがんをゆうはつするのかについての生物学的モデルの作成である。これはがんの生物学を理解するのに役立つが一般人には直ちに影響しない。