食品安全情報blog過去記事

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ハウチワマメの種(ルーピンシード):苦味で健康を損なう可能性がある

Lupin seeds: Health impairments possible with bitter taste
31.05.2017
http://www.bfr.bund.de/en/press_information/2017/12/lupin_seeds__health_impairments_possible_with_bitter_taste-200901.html
ここ数年間、ハウチワマメの種はグルテンフリーのパン製品やパスタ、乳タンパクアレルギーのある人用の食品など、食品を生産するのにますます多く使用されている。ハウチワマメの種や豆は欧州や北アフリカの国々でスナックとして食べられてもいる。ハウチワマメの植物種と地理的起源により、その種は苦いキノリジジンアルカロイドを含む可能性がある。これらのアルカロイドはいわゆる「苦み除去工程」で適切に取り除かれないと、ヒトの神経系、循環器系、消化器系に影響を与える中毒のきっかけとなりうる。「未加工のハウチワマメの種を購入する時に、それが有毒アルカロイドを含む苦みのある種類か、あるいはそれ以上加工しなくても食べられる甘い種類かどうかを見分けることは通常簡単ではない」とBfR長官Dr. Andreas Hensel教授は述べた。苦いハウチワマメの種が原因の単発の中毒事例がドイツで過去に報告されている。「適切な知識を持たない消費者は、自分でハウチワマメの種の苦みを取り除くよりも、スイートハウチワマメの種、あるいはすでに苦みを取り除いた苦いハウチワマメの種だけを購入するようBfRは助言する」。

2010〜2016年の間、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は中毒情報センターから、苦いハウチワマメの種が原因の様々な重症度の中毒症状の、およそ30の確実症例のデータを受けとった。これに加えて、苦いハウチワマメの種による時に深刻な中毒事例の報告が国際文献で発表されている。これらの事例の多くは個人の台所での苦いハウチワマメの種の不適切な苦み除去によるものだった。
ハウチワマメの種やそれから作られる製品に苦みがあれば、健康の観点から望まれないハウチワマメのアルカロイドが存在する目印である。ハウチワマメの種を浸した苦みのある水はどのような状況でも摂取すべきではなく、食品調理に使用してはならない。
ハウチワマメの種が含まれる食品は、今のところドイツではごくまれにしか消費されていない。BfRが依頼した全国を代表する「ハウチワマメの種の摂取に関する消費者調査」で、参加者の19%がハウチワマメの種が食べられることを知っていると述べた。次にこのうちの46%は、工場で生産した、あるいは自分で調理したハウチワマメの種を含む食品を意識して食べていた。ハウチワマメの種を含む食品を意識して食べていると答えた人の割合は9.2%で、低い。未加工のハウチワマメの種を購入し、自分自身でさらに加工した人の割合は1.2%となっている。
BfRはハウチワマメの種を含む食品の製造者に、家でさらに苦み除去加工をする必要なく食べられるハウチワマメの種だけを販売するよう助言する。つまりアルカロイド量の低いスイートハウチワマメの種か、製造業者が十分に苦みを除去した苦いハウチワマメの種だけになるだろう。ハウチワマメの種から作られる粉を消費者に販売する場合、製造業者はアルカロイドの低い、あるいは十分苦みを除去したハウチワマメの種から作られていることを確認するべきである。
BfRは意見No. 003/2017でハウチワマメの種のアルカロイド量の詳細リスク評価を発表した。

・ハウチワマメの種のアルカロイドのリスク評価
Risk assessment of the occurrence of alkaloids in lupin seeds
BfR Opinion No 003/2017, 27 March 2017
http://www.bfr.bund.de/cm/349/risk-assessment-of-the-occurrence-of-alkaloids-in-lupin-seeds.pdf
PDF-File (312.7 KB)

Lupinus L.には500以上の分類群がある
アルカロイドの量はスイートで< 500 mg/kg乾燥重量、ビターで> 10,000 mg/kgとある