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ヒトと動物の麦角アルカロイドへの食事暴露

Human and animal dietary exposure to ergot alkaloids
EFSA Journal 2017;15(7):4902 [53 pp.]. 6 July 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4902
麦角アルカロイド(EAs)は草の子房上に寄生する数種の菌が生産するマイコトキシンである。欧州で最も広まっている種は麦角菌で、一般にライ麦、小麦、ライ小麦、大麦、キビ、オート麦などの穀物に影響を与えている。食品と飼料のサンプルを使って、主な12のC. purpurea EAs:エルゴメトリン、エルゴシン、エルゴコルニン、エルゴタミン、エルゴクリスチン、エルゴクリプチン(α-及びβ-異性体)及びそれらの類似-イニン(s)-エピマーについて分析してヒトと動物の食事暴露を推定した。ライ麦ライ麦を含む商品に高濃度のEAsが報告された。ヒトでは平均慢性食事暴露は「幼児」と「その他子供」のそれぞれ0.47 と0.46 μg/kg bw/日の最大UB推定量で最も高かった。95パーセンタイル暴露は最大UB推定量0.86 μg/kg bw/日の「幼児」で最も高かった。UB推定量はLB推定量より平均して4倍高い。平均急性暴露(MB 推定量)は「乳児」の0.02 μg/kg bw/日から「その他子供」に推定された最大0.32 μg/kg bw/日までの範囲だった。95パーセンタイル急性暴露では、「その他子供」(0.98 μg/kg bw /日)の年代の食事調査で最大量が推定された。動物の食事暴露推定量は平均濃度シナリオを想定して、肉牛の0.31–0.46 μg/kg bw/日から子豚の6.82–8.07 μg/kg bw /日 (LB–UB)まで多様であり、一方、想定される高濃度シナリオの暴露推定量は同種で1.43–1.45 μg/kg bw /日から 16.38–16.61 μg/kg bw /日 (LB–UB)まで多様である。菌核含有量とEAs量の間の統計的に意味のある直線関係が、様々な穀物(大麦、オート麦、ライ麦、ライ小麦、小麦粒)で観察された。だが、菌核のないことが確認されたサンプルで測定可能な量のEAsが検出されているため、菌核がないことがEAsの存在を除外できない。