食品安全情報blog過去記事

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EFSAは食品に添加されるグルタミン酸の安全性をレビュー

EFSA reviews safety of glutamates added to food
12 July 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/170712
EFSAは安全性を再評価して、食品添加物として使用されるグルタミン酸グルタミン酸塩の安全な摂取量を設定した。EFSAはまたグルタミン酸グルタミン酸塩の食事からの推定摂取量は安全量だけではなく一部の集団での有害影響に関連する用量も超過している可能性があると結論した。これをもとに、EFSAの専門家はこれら食品添加物の最大許容量のレビューを推奨する。
グルタミン酸アミノ酸で、タンパク質を構成し、天然にヒトが作り、遊離の形態でトマトや醤油やある種のチーズにも存在する。グルタミン酸とその塩(E 620-625)は、グルタミン酸塩類と総称されるが、EUでは食品添加物として認可されている。それらは広範な食品に「うまみsavoury」や「肉っぽいmeaty」味を与えて風味を強化するために使われている。EFSAは食品添加物として使用されているグルタミン酸塩類の安全性を再評価し、全ての6つのグループADI 30mg/kg body weight per dayを導出した。この安全摂取量は動物での毒性試験で有害影響が監察されなかった最高用量に基づく。
消費者の健康を守る
EFSAのANSパネルの座長でこの再評価のワーキンググループの座長であるClaude Lambréは、「入手可能な根拠に基づき、我々は新しく導出したグルタミン酸塩類のグループADIが消費者の健康にとって保護的であることを確信している。これはヒトで頭痛や血圧上昇やインスリン濃度の増加のようなある種の影響と関連するとされてきた濃度より低いからである。」という。
現在EUには食品添加物として使用されるグルタミン酸グルタミン酸塩のADIの数値は設定されていない。EUでは一般的にグルタミン酸塩類の添加は最大10g/kg食品まで認められている。塩の代用品、調味料、香辛料などには最大許容量の数値はなくGMPに従って使用されなければならない。
食事暴露を評価する
精細化暴露評価では、EFSAの科学者は現実的な食品摂取量データと、企業から報告された使用量と加盟国の分析データを組み合わせた。食品に添加されるグルタミン酸塩類の推定暴露量は、これらの添加物を含む食品を多く摂る食事をしている全ての人口集団で、提案されたADIを超過している可能性がある。また中程度暴露の幼児と子どもでも超過している。また高暴露の乳児、子ども、青少年では、ヒトで頭痛などのある種の有害影響と関連する用量も超えている可能性がある。
EFSAの専門家はまた食品添加物以外のグルタミン酸の食事摂取源についても検討した(天然に存在するものや栄養として添加されるもの)。推定暴露量は中程度から高暴露集団のいくつかで提案されたADIとヒトでのある種の有害影響に関連する量の両方を大幅に超過している。
Lambré博士は「暴露評価の結果に基づき、我々は食品、特にファインベーカリー類、スープ、だし汁、ソース、肉、肉製品、調味料、香辛料、食品サプリメント、に添加されるグルタミン酸グルタミン酸塩類の最大量をレビューすることを薦める。
EFSAの科学的助言は、EUグルタミン酸塩類の食品添加物としての安全な使用を規制する欧州委員会と加盟国のリスク管理者に科学的情報を提供するだろう

Re-evaluation of glutamic acid (E 620), sodium glutamate (E 621), potassium glutamate (E 622), calcium glutamate (E 623), ammonium glutamate (E 624) and magnesium glutamate (E 625) as food additives
21 June 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4910
グルタミン酸は小腸で吸収され、全身に分布する前に腸壁で代謝される。入手可能な短期、亜慢性、慢性、生殖及び発達試験では有害影響は監察されない。監察されている影響は腎臓と脾臓の重量増加のみで、それは組織学的有害知見が伴わないため、有害影響とは考えられない。遺伝毒性の懸念はない。神経発達毒性試験からグルタミン酸ナトリウムのNOAEL 3200mg/kgが同定できた。パネルは健康ベースのガイドライン値導出のためにヒトデータが使えるかどうか評価した。ヒトでの影響が同定されたものの、無影響量が同定できるような用量−反応データがなく適さないとされた。3200mg/kgのNOAELにデフォルトの不確実係数100を用いてADI 30mg/kg body weight per dayを導出した。パネルはグルタミン酸グルタミン酸塩(E620-625)への暴露量は提案されたADIのみではなく一部のヒトで有害影響に関連する用量も超過していると注記した。

(これだけ膨大な新しい研究で有害影響が確認されず、ファーストパスでほとんど代謝されるので血中には入らないと認めている中、エンドポイントとされたのは1979年の論文でのラットの神経発達毒性試験での最高用量(5.1%)での泳ぐのが上手になるのが遅い、子どもの面倒をみる回数が少ないなどの観察結果(論文が古すぎて方法論について評価できないが差があるといってもエラーバーに重なる程度だしp<0.05だし)
食品に天然に存在する遊離アミノ酸と添加したものを区別する分析方法は存在しない。暴露評価では当然天然物も含まれている(グルタミン酸の添加が認められていない食品を除く)。精細暴露評価といいつつタンパク質やペプチド由来は考慮しない。

これは関係者は怒るだろう・・
アミノ酸のような天然の食品成分(タンパク質構成成分なので栄養素)に動物実験からADIを導出するためのデフォルトの100を使うっていうのは、インチキサプリメントを排除したいのかな?うまみを加えるのが嫌いという意志は伝わってくる。

食品中のグルタミン酸含量はUSDAのデータベースを使うと一覧表で出せる
https://ndb.nal.usda.gov/ndb/nutrients/index
栄養素のところでglutamic acid(g)を選択

30mg/kg body weight per dayだと体重50kgで1500mg(1.5g)。缶詰トマトペーストだと100gで2.11g、トマトピューレで0.81g/100g。チーズだとパルメザンが9.54 g/100g、他も5g前後。
母乳(人間の乳)が0.17g/100g(他の動物より薄い)なのでADI大幅超過だけど、だから母乳は危険とか言われたら困るよね。)