食品安全情報blog過去記事

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論文

  • ILSI

Nutrition Reviews
Volume 75, Issue suppl_2
June 2017
https://academic.oup.com/nutritionreviews/issue/75/suppl_2
栄養と軍の即応能力に関する特集を無料公開
カフェイン、オメガ3多価不飽和脂肪酸ファイトケミカル、食生活全体のパターンなど
(眠いときのカフェインは効く、それ以外は健康な人の能力を高めるという根拠は特にない、といったところ)

  • 乳牛は涼しいほど健康

Cooler cows have healthier calves
25-Jul-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-07/e-cch072517.php
Journal of Dairy Scienceに発表された妊娠中の乳牛への環境(暑さのストレス)の影響似ついての研究。夏に妊娠したウシより冬に妊娠したウシの子どものほうが生涯にわたって乳量が多く、乳脂肪や乳蛋白の収量が良く生存率も高い。

  • 研究はバングラデシュの子ども達の突然死と果樹に散布された化学物質を結びつける

Study links sudden deaths in Bangladeshi children to chemicals sprayed on fruit trees
24-Jul-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-07/b-sls071717.php
研究者らは80ヶ国で禁止されているものを含む強力な殺虫剤が、多くの犠牲者がしばしば遊んでいた果樹園で使われていたことを発見
American Journal of Tropical Medicine and Hygieneにオンライン発表された新しい研究によると、2012年にバングラデシュの地方で13人が死亡した脳炎の引き金は殺虫剤やその他の農薬の過剰で不適切な散布が引き金になった可能性がある。症状が出て20時間以内におこっている全ての死亡にライチ暴露が関連する。The Lancetに発表された最近の解析ではライチの種子や果肉に含まれる天然毒素への反応だと結論している。
バングラデシュの国際下痢症研究センターM. Saiful Islam公衆衛生学修士は「我々の研究は種子が原因ではない可能性を示唆している。なぜならバングラデシュでは種子は食べていないから。その代わり毒性の高い農薬に複数暴露された可能性が高い」という。Islamらは2012年5月31日から6月30日におこった1-12才の子どもの急性脳炎症候群14例について調査した。生き残ったのは1人だけである。その当時、生産者が果樹園にエンドスルファンを使用していた。14人の子どものうち13人はライチの果樹園から10メートル以内に住んでいた。一人はそれほど近くに住んでいないが病気になる前に大量のライチを食べた。アウトブレイクは収穫期におこっていて、そのころ地面にはたくさんのライチが落ちていて子ども達は果樹園で遊んで落ちたライチを洗わずに食べるのが普通である
オープンアクセス
Outbreak of Sudden Death with Acute Encephalitis Syndrome Among Children Associated with Exposure to Lychee Orchards in Northern Bangladesh, 2012
https://www.ajtmh.org/content/journals/10.4269/ajtmh.16-0856
(聞き取り調査のみで農薬測定したわけではない。種を食べていないからライチのせいではないというのはLancet論文の誤解釈?調査結果見てみると、対照に比べて症例は他の果物や野菜(特に主なエネルギー源であろう豆やコーンやジャガイモ)を食べていないようで、ディスカッションとは逆にライチそのものの毒である可能性が高そう。
それより農場の管理人の証言が問題。ライチに農薬を使うとき、卸業者は農薬の名前を知られたくないので農薬のボトルや袋からラベルを外す、何をいつ使ったか正確にわからないという。さらに染髪用のシャンプーも使うという。研究者らは農場で捨てられた空っぽの瓶や袋から使った農薬を推定して「たくさんの種類のものが大量に使われた」と結論しているが。農薬は多分濡れ衣だろうけれど使い方に問題があるのは間違いなさそう。子どもが死ぬほど残留しているというのなら残留農薬検査で何かはひっかかるはずだがバングラデシュの検査体制はわからない。)

  • 専門家:スタチン拒否は恐ろしい結果を招くインターネットにより誘導されるカルトである

Expert: Statin denial is an Internet-driven cult with deadly consequences
24-Jul-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-07/acop-esd071817.php
米国内科学会誌のプレスリリースの一部
医師であり患者の権利の主張者でありクリーブランドクリニックの心血管医部長であるSteven E. Nissenによるエディトリアル。副作用が出た後でもスタチンを続けることに死亡率や有病率についてメリットがあるという論文についてのコメントとして出された。
スタチンへの根拠のない批判がインターネットで宣伝されていて患者がきちんと服薬しない。専門家でもない人たちがスタチンを止めて「ナチュラル」レメディで治療しようと宣伝する。こうしたプロパガンダの背景にはDSHEAの成立により根拠のない宣伝が可能になったダイエタリーサプリメント業界がある。

Study finds 275,000 calls to poison control centers for dietary supplement exposures
24-Jul-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-07/nch-sf2072017.php
研究者らはFDAにヨヒンベとエネルギー製品の規制を求める
全国子ども病院傷害研究政策センターと中央オハイオ中毒センターの新しい研究によると、米国の中毒管理センターでは平均して24分に一回ダイエタリーサプリメントに関する電話相談を受ける。Journal of Medical Toxicologyに発表。ダイエタリーサプリメントに関する電話件数は2000年から2002年の間に46.1%増加、2002年から2005年の間に8.8%減少し2005年から2012年の愛大に再び49.3%増加している。2002年と2005年の間の減少はFDAによる麻黄(エフェドラ)禁止によるものである可能性が高い。
サプリメント暴露に関する電話の70%が6才以下の子どもで、多くが意図せず、である。97.3%が自宅でおこっていて97%以上が飲み込んでしまった。暴露の4.5%で重大な帰結になっており最も重大なものの95%は6才以上の子どもである。
多くの消費者がサプリメントは市販薬と同程度の安全性や有効性があると信じているが、そうではない。重大な帰結になったダイエタリーサプリメントで多いのはエネルギー製品、植物製品、伝統薬。植物製品の中ではヨヒンベが最も多い。

  • 子どもの予防摂取率低下の公衆衛生、経済的帰結の可能性

Potential public health, economic consequences of declining childhood vaccination
24-Jul-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-07/tjnj-pph072117.php
JAMA Pediatrics
米国でMMRワクチンの接種率が5%下がると2-11才の子どものはしかの症例が3倍に増えて150例になり公共部門で210万ドルのコストがかかる、と予想。

  • 包括的研究が西洋人男性の精子数の相当な減少が続いていることを示す

Comprehensive study shows a significant ongoing decline in sperm counts of Western men
25-Jul-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-07/thuo-css072017.php
Human Reproduction Updateに発表された文献レビュー。1970年から40年間一定の率で減少中。

  • カルシウム濃度が遺伝的に高いことが冠動脈疾患リスクの増加と関連

Genetic predisposition to higher calcium levels linked with increased risk of coronary artery disease
25-Jul-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-07/tjnj-gpt072117.php
JAMA。血清カルシウム濃度に関連する6つの遺伝的変異と冠動脈疾患及び心筋梗塞患者184,305人と病気でない123,504人のメンデルランダム化法による解析

  • 病気のNFL選手の脳の99%が神経変性性疾患の兆候を示す、解剖研究が示す

Scienceニュース
Ninety-nine percent of ailing NFL player brains show hallmarks of neurodegenerative disease, autopsy study finds
By Meredith WadmanJul. 25, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/07/ninety-nine-percent-ailing-nfl-player-brains-show-hallmarks-neurodegenerative-disease
この種の研究としては過去最大のもので、もとフットボール選手だった人が生きている間に精神疾患を発症した後で研究目的に脳を提供してもらった多くが傷害を発見した。脳を調べたアメリカンフットボールの選手だった202人のうち87%は慢性外傷性脳症(CTE)の兆候があり、NFLの選手に限定するとそれが99%になる。この知見は指導者に対して選手を守るためのプレッシャーを上げるだろう。ただしこれらの脳は全て症状のある選手のもので、拡大解釈には注意が必要である。JAMAに発表。
(相撲だって寿命短い。プロスポーツは命を削ってやっている部分もあるがどこまでならいいのかな?)

  • 肥満手術後の総エネルギー摂取量とマクロ栄養組成が長期体重アウトカムを予想する:スウェーデン肥満者(SOS)研究の知見

Changes in total energy intake and macronutrient composition after bariatric surgery predict long-term weight outcome: findings from the Swedish Obese Subjects (SOS) study
Noora Kanerva et al.,
Am J Clin Nutr July 2017 vol. 106 no. 1 136-145
http://ajcn.nutrition.org/content/106/1/136.abstract
肥満手術後約20-30%の肥満患者が減量に成功しない。術後半年以内のエネルギー摂取量とマクロ栄養組成の変化が10年後の体重を予想できるかどうかを検討した。肥満手術をした2010人について0.5, 1, 2, 3, 4, 6, 8, 10 年後の体重を検討した。術後半年の時点でのエネルギー摂取量の制限が長期減量を予想する。
(外科手術をしてもたくさん食べて太れるってすごい。こういう人たちにどうすれば?そしてこういう人たちへの対策が普通の日本人にあてはまると思う?)