食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 警察が合成大麻に警告−専門家の反応

NZ SMC
Police issue warning about synthetic cannabis – Expert Reaction
July 21st, 2017.
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2017/07/21/police-issue-warning-synthetic-cannabis-expert-reaction/
最近のオークランドでの少なくとも7人の合成大麻の使用に関連すると見られる死亡により、主任検視官と警察が警告を出した。
SMCは専門家に尋ねた。
ウェリントン病院救急医療専門家Paul Quigley博士
合成大麻は違法に作られているの使用は国により大きく違う。ブラックマーケットやギャング組織では相当出回っている。多くはかつて合法だったものが違法になってから備蓄されていたものである。それが社会経済的地位の低い、社会の周辺集団に戻ってきたようだ。ウェリントンでは少ないがHutt Valley病院の同僚によると常に患者が来る。合成大麻THC活性があるだけではなく天然のものより遥かに強力である。効果は様々で、従って非常に危険である
(いろいろ略)

  • SMC UK

西洋諸国の男性の精子数のメタ解析への専門家の反応
expert reaction to meta-analysis of sperm count among men in Western countries
July 25, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-meta-analysis-of-sperm-count-among-men-in-western-countries/
Human Reproduction Updateに発表されたメタ解析で、北米、欧州、オセアニアの男性の精子濃度が40年以内で50%以上減っていると報告している
Southampton大学生殖医学教授Ying Cheong教授
生殖能力を評価するのに、伝統医学は女性の悪いところを強調してきた。しかし実際のところそれは「両方に責任がある」。当然男性も重要である。この報告は、後ろ向きデザインのためたくさんの欠点があるが、精子数で表現された男性の生殖能力が低下していることを示したと言う点で興味深い。環境から食事まで多くの要因が寄与する可能性があり、さらなる研究が必要であろう。
マンチェスター大学生殖医学科学部長臨床発生学と幹細胞生物学名誉教授Daniel Brison教授
この研究で示された西洋世界の精子数の減少の大きさはショッキングである。メッセージは新しいものではなくもう何年も精子数の減少を疑ってきた。この研究は約200の論文を含む、これまでのうち最も包括的なものである。これまでの小規模解析では精子の数え方が違ってきたり対象となる男性が違ったりといった交絡要因に問題があった。この新しい解析は各種デザインでの世界中の研究をたくさん含むことでその問題を克服し、精子が減っていることはリアルである可能性を確認した。著者が指摘しているようにこれは生殖能力だけではなく男性の健康や公衆衛生にとって意味がある。解決されていない問題は何が精子数を減らしているのかそれは将来の世代にも見られるのかである。この研究はこの分野の研究の活性化のきっかけになるべきである。
シェフィールド大学男性学教授Allan Pacey教授
私はこれまで発表された多くの研究でヒトの精子数が近年減っているということを確信したことはない。なぜならほぼ全ての研究が一つ以上の致命的欠陥をもっているからである。そして不可避な出版バイアスがある。そして私に言わせると最も重要なのは時代の異なる多数の研究を比較するのに実験室での技術の変化を考慮していないことである。こうした理由などから私は宣伝されている精子数の減少は実験室でのアーチファクト以上のものではないと思って2013年には記事も書いている(リンク)。
しかし今回のLevineらの研究はこうした多くの問題を取り扱っているため興味をもった。例えば不妊治療クリニックでリクルートした患者を除外したり、血球計算計を使った測定だけを含めたり。このようなことはエラーを完全に取り除くことはできないが減らすことはできる。
興味深いことにこの論文は精子数がアジアや南米やアフリカに比べて、北米、欧州、オセアニアのポスト工業国で最も大きく減っていると結論している。これが人工化学物質への暴露が原因だろう真の世界的差だと結論するのは簡単だろうが、私はそれは時期尚早だと思う。この文脈で昨年12月に同じ雑誌に載った、現在内分泌撹乱物質への出生前後の暴露と男性生殖疾患を関連させる疫学的根拠はほとんどないというBondeらの研究を強調したい。私自身の仕事でも、成人男性の精子の質の低さに同定可能なリスク要因は非常に少ないことを示している。
52.4%の精子の減少は非常に大きいと思われるかもしれないが、この論文の「正常」の平均値の変化は1mlあたり9900万個から4700万個である。そのようなものなのでジャーナリストや編集者には取り扱いに注意を促したい。理想的には健康な男性の前向き研究にお金を出せると良い。残念ながらさらに25年も待つのは厳しいかもしれないが。
エジンバラ大学生殖健康MRCセンター名誉教授Richard Sharpe教授
この研究は良くデザインされた統計学的にしっかりした、これまでの解析への批判をより広範に考慮した研究である。最も重要なのは方法論の標準化が行われた1973年以降に絞ったことである。結果は西洋諸国の男性の精子数が1973年以降59%減っていてそれが続いていることを示す。この減少はどんな合理的疑いをも超えて現実であるように見える。著者が指摘しているように減少が続いているようなのは懸念材料である。何が原因か分からないので。予断のない、原因の同定のための研究が必要であろう。
減少し続けることの最大の帰結は、生殖に支障を来す精子数の男性が増えることとカップルになる時期が遅くなる(男女とも生殖能力が低下する30過ぎ)ことのダブルパンチで生殖能力が低下することである。この新しい研究は目が覚めるきっかけになることを望む。
内分泌学会会員でRighospitalet(デンマーク)の上級研究者Martin Blomberg-Jensen博士
もう20年以上精子数が減っているのかどうかについて議論があり、この新しいメタ解析は基本的にはこれまでの解析を支持して精子は減っていることを示す。この研究の主な限界はいろいろな国の異なるコホート、実験室での結果を比較していること、これまでのメタ解析の著者の多くを含むこと、西洋以外の国では正反対の傾向であること、原因と考えられるものが想定できないこと、示唆されている徐々に減っているということがデンマークの前向き研究の15年で見られないこと、である。
この仕事の意味は西洋諸国で精子が減少しているという根拠が強くなったことである。その減少が機能的に意味があるのかどうか、可逆的なのかなどを決めなければならないという著者の主張に同意する。

  • 米国の防衛機関がジーンドライブに取り組む

Natureニュース
US defence agencies grapple with gene drives
21 July 2017
http://www.nature.com/articles/d41586-017-01742-z
国の安全保障コミュニティが遺伝子改変を迅速に拡散する技術のリスクとベネフィットを検討する
JASONsが6月の会議でジーンドライブを新しい脅威と評価した。
7月19日に米国国防総省国防高等研究事業局DARPAが遺伝子編集技術を研究している科学者に6500万ドルの資金提供を発表した、その多くがジーンドライブに投資されるだろう。

Natureエディトリアル
The digital native is a myth
25 July 2017
http://www.nature.com/news/the-digital-native-is-a-myth-1.22363
若い世代は高齢の人と同じように技術を使い、マルチタスクが上手ということもない

  • 生命医学をビジネスとして行うな

Natureワールドビュー
Don't run biomedical science as a business
25 July 2017
http://www.nature.com/news/don-t-run-biomedical-science-as-a-business-1.22366
Michele Paganoが、科学はその組み立てラインのような考え方を止めて、量ではなく質を再構築すべき、という

  • マメタンパク質:新しい'It'成分

Pea Protein: The New 'It' Ingredient
by Jeanine Barone | July 25, 2017
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/nutrition/article/pea-protein-new-it-ingredient
Hans Christian Andersenが1835年に「えんどう豆の上にねむったお姫さま」で価値が低いと思われていたマメを物語の主役に取りたてたのはいいところに気がついたものだ。食品業界がマメに夢中であるようだ、少なくともタンパク質に。今や菜食主義者用バーガーからアイスクリームまで何にでもえんどう豆から抽出したタンパク質が添加されている。時に大豆プロテインの代わりに使われている。もう一つの最近の流行であるコオロギタンパク質よりは魅力的に思う消費者も多いだろう。
過去3年でエンドウ豆タンパク質を含む食品が約200%増えた。アナリストは2026年までに世界市場は1億400万ドル以上になると予想する。フランス企業Roquetteはカナダに世界最大のエンドウ豆プロテイン向上を建設するために4億ドルを投資している。
マメのプラス点
エンドウ豆はマメ科のPisum sativumの鞘状の実に入った種子である。確かにタンパク質豊富でミルクや卵よりアレルギーの原因になりにくい。また動物由来タンパク質より環境に優しい。しかし環境影響はマメを収穫した後どうするかにより、2010年の研究ではマメバーガーを作るとポークチョップと同じ程度のカロリーあたりのエネルギー使用量になる。
マメタンパク質の質
どうやってマメと動物のタンパク質を比べる?マメは必須アミノ酸を全てを供給しない。しかし一般的に信じられていることとは違って、完全タンパク質にするために一度の食事で異なる蛋白源を組み合わせる必要はない。多様な食品から適切なカロリーを摂っていれば補完して十分必要を満たす
豆知識
製品の栄養含量を見るときに、マメタンパク質が成分に入っているからといってそれが健康的という意味ではないことに注意。エンドウ豆タンパク質を含む加工食品より健康的で安価で環境に良いのは、直接エンドウ豆を食べることである。

  • オンラインで医薬品を買う:知っておくべきこと

Buying Drugs Online: What to Know
by Berkeley Wellness | July 25, 2017
http://www.berkeleywellness.com/self-care/preventive-care/article/buying-drugs-online-what-know
処方薬をインターネットで買うのは便利で節約になるかもしれない。あなたの保険がそれをカバーしないならなおインターネットショッピングは魅力的かもしれない。しかし最初に少し勉強が必要である。なぜなら医薬品をオンラインで買うことは荒野の開拓のようなものだから。
オンラインで販売されている医薬品は薄められていたり、汚染されていたり、盗品だったり、不適切に扱われたものかもしれない。規制のない国のものかもしれない。実際オンライン薬局の97%は米国の薬局の規則を守っていない。そのような薬局は東南アジアにあったりするのにカナダにあると主張していたりする。
不正商標表示あるいは不正表示医薬品を売っているウェブサイトは特に問題である。例えば2016年5月31日から2016年6月7日の間だけでFDAは危険な可能性のある医薬品を違法販売していた4400以上のウェブサイトに活動停止を求めている。さらに未承認医薬品を売っていた53のウェブサイトに警告文書を送っている。
オンラインで安全な医薬品をみつける
FDAは米国に存在する認可されたオンライン薬局からのみ医薬品を購入するよう助言している。技術的には海外から医薬品を購入するのは違法であるが多くの場合特に処罰されることなく買っている。特にカナダから。カナダではヘルスカナダが安全性を確保していてしばしば米国産の医薬品が約半分の値段で買えるからである。
オンラインで処方薬を買いたいなら、以下に注意
・処方箋を要求し、薬剤師に相談できるところからのみ買うこと
・店を比較する、しかしうますぎる話には注意。それは品質の悪さの指標かも。
スパムメールを送ってくるところからは買わない
・認証薬局はPharmacyChecker.comでチェックできる
・Verified Internet Pharmacy Practice Sites (VIPPS) 計画自主基準もある
・疑わしいオンライン薬局については米国薬局協会NABPに通報
・安全のため、カナダにあると宣伝している薬局からは買わない
FDAの情報を活用
基本
多少お金がよけいかかっても、近所のあなたとあなたの病歴を知っている薬局に行くのがいい。薬剤師は相談にのれる価値のある専門家である。特に複数の医薬品を使っているような場合には。じっくり相談できる薬局もある。