食品安全情報blog過去記事

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腫瘍のゲノムワイド配列決定を疫学に持ち込む

IARCとパートナーは多様な発がん物質のDNA突然変異スペクトルを同定するために新しい学際的アプローチを開拓する
Bringing genome-wide sequencing of tumours into epidemiology
IARC and partners pioneer a new multidisciplinary approach to identify DNA mutation spectra for a wide range of carcinogens
24 July 2017
http://www.iarc.fr/en/media-centre/pr/2017/pdfs/pr252_E.pdf
Genome Researchに発表されたあたらしい研究で、細胞レベルの実験と動物実験をヒト腫瘍のゲノムワイド配列決定と組み合わせてがんの原因を探るこの種のものでは最初のアプローチのモデルを提示した。ヒト腫瘍で見られた特定のDNA突然変異のパターンがin vivo とin vitroの実験で再現され、発がんの背景にある変異原性物質についての重要な知見を提供する。
この研究はシンガポール国立がんセンターDuke-NUS医科大学とIARCによるもので、齧歯類の肝腫瘍とヒト細胞での4つの実験計で得られた4万以上の突然変異から作ったアフラトキシンB1暴露の突然変異スペクトルについての全ゲノムデータを提示した。
特定の発がん物質への暴露は突然変異に特有の特徴を残すことがある。この研究では世界中の肝がんにアフラトキシンに特有の特徴があることを確認した。
報告された突然変異信号はアジア諸国の肝臓がんにはアフラトキシンB1暴露量が異なるという根拠を提供する。香港特別行政区では16%、日本では1%。しかしその特徴は北米やヨーロッパでも僅かだが発見されるため、高所得国でもアフラトキシン暴露が一部の肝がんに関与している可能性を示す。
Genome-scale mutational signatures of aflatoxin in cells, mice, and human tumors
Genome Res. 2017.
http://genome.cshlp.org/content/early/2017/06/21/gr.220038.116
(日本人のアフラトキシン暴露源って何だろう。ピーナッツやドライフルーツをそんなに食べている印象はないが。日本にアフラトキシンを作るカビはいないとかいう説が嘘なのかな。いずれにせよカビ注意)

  • 肺がんでのアスベスト関連ゲノムワイドDNAメチル化の変化

Asbestos-associated genome-wide DNA methylation changes in lung cancer
Eeva Kettunen,et al.,
Int J Cancer. 2017 Jul 19. doi: 10.1002/ijc.30897. [EPUB ahead of print]
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ijc.30897/full
(こっちはあまり明確ではなく期待薄。相変わらずp <0.05とか言っています、人数少ないので)

  • 寄付

Donations
http://www.iarc.fr/en/about/donations.php
IARCが個人からの寄付を受け付けるサイトを作った