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EU報告書:抗生物質の使用と抗菌剤耐性との関連性についてのより多くの根拠

EU report: more evidence on link between antibiotic use and antibiotic resistance
27 July 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/press/news/170727-0
欧州食品安全機関(EFSA)、欧州医薬品庁(EMA)、欧州疾病予防管理センター(ECDC)は、抗菌剤耐性細菌の増加に関する抗生物質使用の影響について懸念している。この三機関からの新しい報告書は、抗生物質の摂取と抗菌剤耐性に関する新しいデータを示し、欧州全域で改善されたサーベイランスを反映している。
健康と食品安全の欧州委員会長官であるVytenis Andriukaitis氏は述べた:「抗菌剤耐性を食い止めるために、私達は三つの分野:ヒト、動物、環境で同時に戦う必要がある。これはまさに、私達が最近開始した抗菌剤耐性のEU活動計画で、EUと全世界で達成しようとしていることである。この新しい報告書ではヒトと食料生産動物両方の抗生物質摂取と抗菌剤耐性との関連を確かめている。」
多様な状況
抗生物質摂取と耐性の分析の合同庁間(JIACRA)報告書は、動物とヒトの抗生物質の使用においてEU全域でまだ重要な相違があることを強調する。不必要な使用を減らすことは耐性の発生に影響があるだろう。
概して抗生物質の使用はヒトよりも食料生産動物の方が多いが、状況は国や抗生物質によってさまざまである。特に、ポリミキシンと呼ばれる抗生物質類−コリスチンを含む−は動物用医薬品の分野で広範に使用されている。多剤耐性感染症を治療するのに病院でもますます使用されている。他の抗生物質は動物よりもヒトでさらに頻繫に使用されている。これらにはヒトの健康に非常に重要だと考えられている抗生物質である、第三-及び第四-世代のセファロスポリンとキノロンが含まれている。
抗生物質の使用と耐性の関連
ヒトのサルモネラ症とカンピロバクター症の治療に使用されるキノロンに対する耐性は、動物の抗生物質の使用と関連していることが報告書に記されている。E. coliと他の細菌が原因の感染症の治療として第三-及び第四-世代のセファロスポリンのヒトでの使用が、ヒトで見つかる大腸菌のこれらの抗生物質に対する耐性と関連している。
協力がよりよい報告と分析を促進する
本報告書は、特別なノウハウと、動物とヒトの抗菌剤耐性と抗生物質摂取のモニタリングによるデータそれぞれを利用した、EUの三機関の間の緊密な協力の結果である。その結論は2015年に発表された最初の報告書に則している。だが、より質の良いデータを入手できれば、より精巧に分析できるようになる。
この三機関の専門家は抗生物質の使用方法とそれぞれの耐性の影響をよりよく理解するためにさらなる研究を推奨する。

  • 抗生物質の摂取とヒトと食品生産動物由来細菌の抗菌剤耐性の発生の総合的な分析に関するECDC/EFSA/EMA第2回共同報告

ECDC/EFSA/EMA second joint report on the integrated analysis of the consumption of antimicrobial agents and occurrence of antimicrobial resistance in bacteria from humans and food-producing animals
EFSA Journal 2017;15(7):4872 [135 pp.]. 27 July 2017
http://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/4872