食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 砂糖代用品について検討する

Weighing In on Sugar Substitutes
by Berkeley Wellness | August 14, 2017
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/diet-weight-loss/article/weighing-sugar-substitutes
「無糖」製品に使われる人工甘味料はカロリーが少ないので減量の役にたつと考えられる。そして米国では以前より多くの人が「ダイエット」食品を摂取していて20年前より大きく増えた。最もよく使われる甘味料はアスパルテームスクラロースサッカリンアセスルファムKである。ステビアや羅漢果抽出物などの「ナチュラル」甘味料もある−これらは多くの人が考えるほどナチュラルではないが。これら全てを砂糖代用品とよぶ。
減量に役立つか?
もし他のすべてが同じなら、砂糖のカロリーをゼロカロリーのものに変えたら総カロリー摂取量が減って減量に役立つと考えるのは当然である。しかし根拠はあるか?
多くの研究がこの質問に答えようとしてきたが矛盾した結果を出している。ある研究では減量に役立ち、別の研究では逆に体重が増えた。
何故矛盾する?
一部の研究では、砂糖がない分脂肪やタンパク質を多く食べて補償している可能性があることを示唆する。別の説では味覚に変調をきたし高カロリーのものを食べたくなる、あるいは減ったカロリーの健康ハロー効果でご褒美に他の食品を食べる。逆に砂糖代用品で減量できた場合にはそれが減量の努力の指標でしかない可能性もある。多くの研究は観察研究である。
研究の知見は矛盾するものの、2012年の米国心臓協会と米国糖尿病協会の科学的生命では適切な使い方をすれば砂糖代用品は体重管理に役立つ可能性があると結論している。そして2015年アメリカ人のための食事ガイドラインでは砂糖代用品は「カロリーを減らすのに役立つ。しかし長期体重管理法としては良い方法ではないかもしれない」としている。
基本
砂糖代用品が体重管理に役立つことを証明するのは驚くほど難しい。実際砂糖代用品が増えて、アメリカ人は太った。これはもちろん砂糖代用品が肥満の原因だということではないが、肥満の薬でもないことを示す。それでも他の小さいけれど継続可能なカロリー削減方法と組み合わせて、健康的な食事の一環として、砂糖代用品は一部の人の体重維持に役立つ可能性がある。
砂糖代用品の体重管理へのメリットが明確でないとしても、砂糖を多く摂ることに関連する健康リスクがたくさんあることは否定できないことに注意する必要がある。一方で砂糖代用品が不健康な食事の指標である可能性もある。より良い代用品は甘いものは食べず飲み物は水か炭酸水にすることである。

  • 砂糖代用品:安全性について更新

Sugar Substitutes: An Update on Their Safety
by Berkeley Wellness | August 14, 2017
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food-safety/article/sugar-substitutes-update-their-safety
砂糖代用品の安全性は減量に役立つかどうかとは別の問題である。そしてこの問題はいつも議論になり、検索するといろいろな砂糖代用品ががんや心血管系疾患と関連させ、定期的にニュースの見出しになり、たとえ否定されたものであっても噂が無くなることがない。
例えば2016年にスクラロースがマウスのがんと関連するというイタリアの報告が騒動をおこした。そしてCSPIがスクラロースを「避ける」分類にした。
しかしこの研究には多くの問題があった。例えば実験動物でおこることがヒトでおこるとは限らず、何故雄だけなのか説明せず、実験に使った量はヒトが摂取できる量より遥かに多いなど。そしてこれはたった一つの研究で、安全性は110以上の研究に基づいて認可されている。
研究は続くがNCIはサッカリンアスパルテームアセスルファムKスクラロースは安全だと述べている。
基本
入手できる根拠からは全体として砂糖代用品は安全であることを示唆している。それでも何事もほどほどに、が良い考えであろう。そしてあなたが砂糖代用品をたくさん使っているのなら、あなたの食事があまり健康的なものではないことを示唆し、改善できるだろう。
時々コーヒーや紅茶に砂糖代用品を使うことと一日中人工甘味料入り食品ばかり食べているのとは別のことである。砂糖代用品は全粒穀物や野菜果物のような健康的な食品の成分ではないので。

  • チアメトキサムの使用とマルハナバチ集団への影響を調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at the use of the pesticide thiamethoxam and its effect on bumblebee populations
August 14, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-the-use-of-the-pesticide-thiamethoxam-and-its-effect-on-bumblebee-populations/
Nature Ecology & Evolutionに発表された研究でネオニコチノイド殺虫剤チアメトキサムのマルハナバチコロニーへの影響を調べた。チアメトキサムへの暴露は女王蜂が卵を産む割合を減らしこのことから集団への影響をモデル化した。
シンジェンタの上級環境リスク評価者Peter Campbell博士
これは実験室での興味深い論文である。マルハナバチBombus terrestrisにチアメトキサムとトリパノソーム寄生虫と組み合わせて冬眠期間や巣作りと産卵開始への影響を調べた。それからその結果をモデルにして集団への影響を推定した。この実験では卵を産む女王の割合がチアメトキサムで26%減っているが、人工的に14日の強制暴露でありそれを野外にあてはめている。方法論的にも考慮すべきことがある
(中略)
結論として、この論文にはいくつかの興味深い知見があるが実験室の結果と確率論的モデルを組み合わせた結果を実際の野外でのマルハナバチに当てはめるのは注意が必要である。特に実際にマルハナバチが減っているという根拠がないので。

プレスリリースがこれなので。減ってるかどうかもわからない状況で絶滅するという強い発表は、研究への信頼を損なうだけかと。
ネオニコはコロニー形成を阻害してマルハナバチを絶滅のリスクに、研究が明らかにする
Neonics put bumblebees at risk of extinction by hindering colony formation, study reveals
14-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/uog-npb081017.php

  • 何故我々はクリーンな食事にはまるのか

Why we fell for clean eating
Friday 11 August 2017 06.00 BST By Bee Wilson
https://www.theguardian.com/lifeandstyle/2017/aug/11/why-we-fell-for-clean-eating
2014年の春、Jordan Youngerは髪の毛が束になって抜けた。当時23才の彼女は最も健康的な食生活をしていると信じていた。「グルテンフリー、シュガーフリー、オイルフリー、豆フリー、植物ベースの、生食完全菜食主義」。彼女は栄養士ではないが独自の「5日間クレンズプログラム」を4万コピー以上売る、「健康」ブロガーだった。しかし彼女が売っていた「クリーン」な食生活は彼女を病気にした。健康的どころか重症摂食障害になっていた。最終的に精神科の助けを借りて少しずつ食べられるものを増やしていった。彼女は問題は菜食主義ではなく、彼女自身が課していた極めて厳格な制限であったと認識している。
そしてYoungerが摂食障害から回復するにつれて、新しいジレンマに直面した。彼女の支持者達の反応である。彼女が食生活を変えたことを告白すると、彼女のクレンズプログラムやTシャツを買った人たちから激怒の返金要求があった。殺すぞという脅迫も含めた怒りのメッセージを多数受け取り、何千人ものフォローワーを失った。
人が食品を食べているのと同じ期間、各種食事法やインチキ治療法は存在した。しかしそれらは陰謀論のように食文化の周辺にあった。「クリーンな食生活」は違う。それは主流派の食事法で、ここ数年の人気の増加は辺縁とはかけ離れている。ソーシャルメディアでパワーを得て、ますます専制的にますます多くの人が同意するようになり学校で習った栄養学的助言を凌駕している。
最もシンプルな「クリーンな食事」は「まるごと」あるいは「加工していない」食品を食べることである(これらの単語の意味はともかく)。ある種のバージョンは完全菜食主義、一方野生の獣肉や骨スープを信奉する。一見、クリーンな食事はカロリー計算より素朴で穏当なように聞こえる。しかしその「クリーンな食生活」は速やかに単なる食事以上のものになる。それは信仰の体系で、多くの人々が食べているものは不純なものであるという考えを増殖させる。そしてどこからともなくココナツオイルや疑わしい約束や細長く切ったズッキーニの宇宙が現れる。2009年にJames Duiganが最初の「クリーンで痩せる」本を書いたときに、キノアやケールを入れることで出版社とバトルしたという。誰もそんなものを聞いたことがないという理由で。今やキノアは全てのスーパーにあるしケールはレタスと同じくらい普通になった。
クリーンな食事が流行するとすぐバックラッシュがあった。2015年にはNigella Lawsonが「食品は汚くない」と書いた。健康的な食事法としては間違った科学に基づいているという批判もあった。米国心臓協会はココナツオイルが万能薬としてもてはやされているが良い影響があるという根拠はないと示唆した。Giles Yeo博士がいろいろな「クリーンな食事」スクールのやり方を検討して無害なものから深刻な間違いまでを指摘するBBCの番組もあった。批判が高まると「クリーンな食事」は言葉を変えてブランド再構築を計った。たとえばホライズンプログラムと。
クリーンな食事という考え方をどれだけ理論的に否定しても、それが衰える兆候はない。どんな本の料理のページを見てもすぐにライターが「内側をきれいにして」と書いているのをみつけるだろう。たとえあなたが「クリーンな食事」を知らなくても流行を完全に避けることはできない。
英国では今やアボカドのほうがオレンジより多く売れている。低炭水化物製品やジュースややスムージー、そして木のスプーン。なぜこんなにも「クリーンな食事」は無くならないのか?Hadley Freemanはクリーンな食事は「ポスト真実文化」の一部であるとしている。それは事実や専門家を気にしないあるいはそれらに敵意さえもつ。しかしどうしてクリーンな食事がこんなに固く支持されているのかを理解するには、現代世界では食品が多くの人にとってどんなに恐ろしいものかを最初に考える必要がある。クリーンな食事がナンセンスかどうかではなく、なぜ知能の高い人たちがそれを信じるのか、が興味ある質問だろう。
(略)
不安と混乱が、単純で安心できる教祖のメッセージへと導かれる:こうすれば再び健康になれる
以下非常に長いけれど面白い考察。「何事もほどほどに」ができない世の中になっていると。

  • 専門家:オランダのケチが卵騒動を引き起こした

Experts: Netherland's frugal ways caused egg scare
https://www.dailysabah.com/business/2017/08/15/experts-netherlands-frugal-ways-caused-egg-scare
オランダの食品監視機関は何年も人員を削減され、政治家が公衆安全より経済を優先させてきたことがEUの卵汚染スキャンダルの原因であろう
オランダの食品監視機関NVWAは今週、昨年11月に鶏小屋でフィプロニルが使われているという匿名の告発を受け取ったことを認めたが、職務怠慢は否定した。オランダのジャーナリストでフードライターのMarcel van Silfhoutは「その情報と、フィプロニルが卵と鶏を汚染したことに関係はないという主張にはびっくりする」とAFPに語った。van Silfhoutは2014年に食品安全とNVWAについての批判的な本を書いていて、NVWAがその時すぐに対応していれば最近のオランダ食品業界の困難は避けられた、という。
ユトレヒト大学リスク評価科学研究所の上級毒性学者Martin van den Berg教授は、「この分野の専門家がいてフィプロニルの影響を理解できれば、対応は違っただろう」という。
しかし告発を受けて相談したNVWAは「フィプロニルが卵や鶏に入ると考える理由はない」と結論した。
van Silfhoutは「何故警鐘が鳴らなかったのか理解できない」という。
現在の問題の多くは2003年以降のNVWAの一連の予算と人員削減による専門能力の消失に遡ることができる。2003年に食品安全だけではなく製品一般安全性を扱うNVWAはフルタイム職員が3700人だったがその後10年間で2200人に減らされた。現在約2600人に少し戻ったが多くは専門家ではない。
(人数の感覚がわからないけれど日本はそもそも足りないのに減らしているよ)

  • アフリカに輸出されたベルギーの鶏が禁止殺虫剤の検査をされる

Belgian chicken meat exported to Africa is tested for banned insecticide
Monday 14 August 2017 12.51 BST
https://www.theguardian.com/world/2017/aug/14/chicken-meat-exported-africa-belgium-tested-insecticide-fipronil
ベルギーからアフリカに送られた肉に汚染があるのではないかとのおそれから産卵鶏の屠体のフィプロニルが調べられている。卵を産み終わった廃鶏の肉は地元市場では意味のある量売られていないが、冷凍されてアフリカに、特にかつてベルギーの植民地だったコンゴに輸出されている。来月屠殺されて輸出される予定だった鶏は既にフィプロニル処理されたことがわかっている。既に発送された肉の残った検体がベルギーの検査室で調べられている。

  • 韓国の小売業者が一部の卵からフィプロニルが検出されて卵の販売を中止

Korean retailers stop egg sales after fipronil found in some eggs
Updated : Aug 15, 2017
http://www.koreaherald.com/view.php?ud=20170815000109
韓国の主要小売り及びコンビニチェーンが、政府から殺虫剤汚染卵について警告されたため火曜日に全国での卵の販売を中止することを決めた。E-mart, Homeplus およびLotte Mart、CUを含む。
農業食料地方省が京幾道南楊州市にある農場がフィプロニル汚染卵を出荷していたことを発見した。直ちに少なくとも3000羽の鶏の全ての卵の出荷を停止した。現在全国の卵農場を調べている。
(韓国の国内に飛び火?)

Cancer patients who use alternative medicine more than twice as likely to die
Independent Reporter |Tuesday 15 August 2017
http://www.independent.co.uk/news/uk/home-news/cancer-patients-who-use-alternative-medicine-are-more-than-twice-as-likely-to-die-a7893541.html
5年後、医学的治療を受けた人は78.3%が生きていて代替療法は54.7%