食品安全情報blog過去記事

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論文

  • フィールドからの報告:戸外で堆肥ガスに暴露されたあとの農場労働者の死亡−ウィスコンシン、2016年8月

Notes from the Field: Death of a Farm Worker After Exposure to Manure Gas in an Open Air Environment — Wisconsin, August 2016
CDC MMWR / August 18, 2017 / 66(32);861–862
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/66/wr/mm6632a6.htm
2016年8月15日、午前6:30頃、ウィスコンシンの牛農業のそれまで健康だった29才男性従業員が1.4 エーカーの堆肥保存地域周辺の戸外(写真)で死亡しているのが発見された。他の従業員が発見して6:50に検視官により死亡が確認された。近くの小屋では牛が13頭死んでいた。他に3頭が苦しんでいて安楽死させた。農場主によると、犠牲者は午前3時にトラクターで堆肥をかき混ぜていた。それはその後農地に撒く予定だった。当時の気温は11.6-12.5℃、風はなく、その前の週は26.7-30.6℃と平均より高い気温だった。
最初死因はメタンガスとされたがウィスコンシン大学の農場安全性専門家が血中の硫化水素暴露の根拠を調べるように助言した。その結果血中チオ硫酸濃度が9.2 μg/mLと、致死的濃度の硫化水素に暴露されたことを示した。牛の死亡も硫化水素が原因と推定される。
2016年9月26日に大学職員が硫黄の発生源を確認しに農場を訪問した。牛に餌として与えられていたトウモロコシからエタノールを作る時の副産物であるdistiller’s シロップに乾燥重量あたり1.53%の硫黄が含まれていた。牛の栄養士からの助言で、硫黄摂取量が多いことによる神経疾患を予防するためにチアミンサプリメントを与えていた。牛の栄養参照摂取量では餌中硫黄は上限で固形物の0.3%で十分な量は0.15%、この農場では0.44%だった。
堆肥の貯蔵でよくおこるメタンによる窒息は通常閉鎖環境に長くいる場合である。この事故は戸外でおこっていることが珍しい。気候や環境条件が地上の硫化水素濃度の蓄積につながった可能性がある。堆肥貯蔵場所の近くでは有毒ガスの監視と適切な酸素濃度が重要である。

  • 研究者らは大きな肉付きの良いトマトを作る遺伝子を記述

Researchers describe gene that makes large, plump tomatoes
17-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/p-rdg081017.php
PLOS Geneticsに発表された論文で、Georgia大学のEsther van der Knaapらがトマトの栽培化の過程でおこった細胞サイズ調節因子遺伝子の突然変異について記述した。
最初にヒトが野生のトマトを栽培し始めたときから数千年、現在販売されているトマトは古代のものに比べて1000倍も重い果実をつける。重さを増やす原因となったのはCell Size Regulator(CSR)遺伝子の変異を同定した。
(古代人が見たら今のトマトは「不自然だ」って言うのかな)