食品安全情報blog過去記事

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その他フィプロニル関連ニュース

  • EUの規制機関でも食品スキャンダルを根絶できない

Even EU Regulators Can't Stamp Out Food Scandals
by Therese Raphael  2017‎年‎8月‎17‎日‎
https://www.bloomberg.com/view/articles/2017-08-17/even-eu-regulators-can-t-stamp-out-food-scandals
メラミン入り中国産ペットフード、ダイオキシン汚染のあるベルギー産豚肉や牛肉、そしてウマ肉入りビーフバーガーを覚えている?今回はオランダの卵。
繰り返す食品スキャンダルは、公衆衛生上の脅威とはならなくても気味が悪い。今回の卵の件は世界中で最も細かく規制を行っているEUですら食品供給を守るのに苦闘するという不安な教訓を示す。
詐欺師は殺虫剤が入っていることを鶏農家に隠していて先週二人の男性が逮捕されオランダとベルギーの会社が捜査中である。
フィプロニルは中程度の有害性で、成人が病気になるには大量の卵を食べなければならないだろう。しかし欧州は農場から食卓までの保護にプライドを持っているので、これがビッグニュースである。
(中略)
否定、批判、そして対応の遅れはいつものことである。
ある意味米国は今回はラッキーだった。問題の赤いダニは「放し飼い」の養鶏で大きな問題になる。米国では放し飼いの卵は13%程度しかない。さらに多くの欧州の養鶏場は独立系で清掃や殺菌を外部に委託しているが米国では大規模総合生産者が全てを自前で行っている。
米国の生産者はこれまでずっと米国産家禽製品は欧州の食卓にふさわしくないと言われてきたので欧州での卵のリコールにまんざらでもない気持ちを抱くアメリカ人もいるだろう。米国は世界第二位の家禽製品輸出国である。
米国の大規模生産システムではフィプロニルタイプの詐欺は起こる可能性が低い。しかし小規模養鶏業者はフィプロニル製品を使っているという話が多い(米国でも違法)。多くは趣味で鶏を飼っている人たちであるが一部は誰かのオムレツになるだろう。どのくらいの量かはわからない。
欧州では欧州委員会が調査を約束している。コミュニケーションの改善が図られるだろう。しかし食品偽装や詐欺は昔からある。今日の国際供給網を考えると、どんなに規制を厳しくしてもリスクはゼロにはならないだろう。
(そもそもオーガニックだの地元小規模生産者だの、食品安全を毀損するものを無理矢理くみいれてるから規制が面倒になってるだけなので。ナチュラルがいいならカビ毒も虫も病気も受け容れないとおかしい。自然状態で病気がないのが当たり前なわけないので。
なおアメリカでは個人が趣味で裏庭で鶏を飼うのが流行していてトリインフルエンザとの関連で問題視されていた。)

  • 汚染卵スキャンダルがドイツで政治紛争に

Tainted egg scandal sparks political row in Germany
‎2017‎年‎8‎月‎17‎日
https://www.euractiv.com/section/agriculture-food/news/tainted-egg-scandal-sparks-political-row-in-germany/
ベルリンが合計1070万個の卵と言う一方でLower Saxony州の農業大臣は3500万個の汚染卵がこの州だけでオランダから入ったという。緑の党州知事Christian Meyerはベルリンを問題を過小評価していると非難する。国レベルでは保守CSU党のChristian Schmidt農業大臣がMeyerの主張を否定し、9月の国の選挙と10月の州の選挙を控えて政治問題にしていると批判した。「消費者の恐怖を選挙キャンペーンに使うべきではない」

  • 女王の供給者が有毒卵スキャンダルに:食品監視機関から液状製品の回収を命じられた5社のうちの一つ

Supplier to the Queen is caught in toxic egg scandal: Firm is one of five forced to withdraw liquid products by food watchdog
http://www.dailymail.co.uk/news/article-4801070/Supplier-Queen-caught-toxic-egg-scandal.html
Foodspeed社が液状卵製品をFSAにより回収を求められた。この会社がバッキンガム宮殿に製品を提供している御用達だった。
(ワイドショー大歓迎の王室ネタと政治ネタ。メディアは大喜びだろう−事態の解決には全く役にたたない、邪魔なだけだろうけれど)

  • ヨーロッパにフィプロニル汚染卵スキャンダルへの専門家の反応

SMC UK
expert reaction to fipronil-contaminated egg scandal in Europe
August 17, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-fipronil-contaminated-egg-scandal-in-europe-3/
Queen’s University Belfast食品安全部長Chris Elliott教授
フィプロニルスキャンダルは欧州だけでなく世界の多くの部分へ拡大しつづけている。英国の新しい回収製品リストは、FSAがオランダ当局から受け取った新しい情報に基づくものだろう。これらの製品は食品安全上のリスクがではなく、回収はEUの法に違反しているためである。このスキャンダルは、今日の食品サプライチェーンの複雑さにより、汚染成分の含まれる食品の追跡がいかに難しいかというもう一つの事例だろう。
Imperial College London生化学薬理学教授Alan Boobis教授
英国の加工食品の一部からフィプロニルが検出された。しかしみつかった最大のものでも、卵を含む製品をたくさん食べている人でもEFSAの許容濃度を超えない。たとえ何千倍量を食べても長期影響はない。EFSAとFSAは事態を慎重に監視している。英国市場に到達した卵製品に見つかった汚染の程度から、消費者が心配する理由はない。
Lancaster大学環境化学准教授Crispin Halsall博士
大局的にみると、市販ののみ取り製品を使っている犬の飼い主のほうが卵含有製品消費者よりフィプロニルに暴露されているだろう−特に予防的対策に従わず製品使用後に手を洗わない場合には。