食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 結果を再現するための長い旅

Natureコメント
A long journey to reproducible results
Gordon J. Lithgow,  Monica Driscoll & Patrick Phillips
22 August 2017
http://www.nature.com/news/a-long-journey-to-reproducible-results-1.22478
我々の研究を再現するのに4年と10万匹の線虫が必要だったが、驚くべき発見があった。
約15年前、我々のうちの一人(G.J.L.)が同僚からあまり愉快でない電話を受け取った。1年近くのいらいらする実験の後、同僚は有名雑誌に発表された我々の結果が再現できないという論文を出すところだった。我々の研究は薬物様の分子が動物の寿命を延ばすことを示したものであった。我々はこの一見単純な研究が他の実験室では再現できないというたくさんのメールと電話をもらった。追加実験や追加の論文発表があったが今でも理由がわからない。数年後、別の化合物について別の実験室で同様のシナリオが発生した。そして同時期にレスベラトロールが実験動物の寿命を延ばすかどうかについての議論があった。
寿命を延ばす薬物の可能性は起業と新しい分野を生んだが、その研究が明らかにしたのは寿命研究は再現するのか難しいという認識だった。加齢に関する研究は疑似科学的主張との距離について戦い続けている。結果が再現できないことは虚偽の約束という疑いを強める。このため我々を含む一部の研究者は何年も研究を中断していた。
しかしながら何かが加齢を遅らせるという論文の数は増え続けた。再現しようとする人はほとんどいなかった。2013年に我々はこの地味な仕事を命じられた。我々は文献の矛盾を解決することはできなかったが、10万匹以上の線虫の寿命と取り組んで、実験室毎に違う結果になる原因を理解することがどれだけ重要かを発見した。この違いを説明できるかもしれない新しい生物学のヒントすら得られた。
(以下細かい実験条件のすりあわせの苦労等)
システムが働き始めると、実験室間の変動が減っていった。1年以上かかって、ほぼ完全に実験室間の系統誤差を排除した。我々のデータはもう一つの驚くべき変動原因を明らかにした。同じ実験室で同じ実験をしても、実験間の違いを排除できなかった。何十回も実験して、一部の線虫集団は短命モードと長命モードに分けられることに気がついた。理由はわからないが、この発見は、もし私達が化合物の影響を知りたいなら、思っている以上にたくさんの実験をしなければならないことを示す。
(他遺伝要因による反応の違いなど)
我々は生命の働きを理解するには、研究がどう行われたのかを記述することが観察されたことを記述するのと同様に重要であることを学んだ。
(わからないことがわかった、という進歩。アンチエイジング業界は根拠薄弱な宣伝を続けるだろうけれど)

  • 妊娠ダイアリー:私の母がしたけれど今はしないこと

The Pregnancy Diaries: Things My Mother Did That We Now Know Not To
By Ana-Marija Dolaskie — August 22, 2017
https://www.acsh.org/news/2017/08/22/pregnancy-diaries-things-my-mother-did-we-now-know-not-11722
私は母と同居している。そしてもうすぐ赤ちゃんが生まれる。母と話をしていて過去と現在では違うことを発見した。もちろん私達は元気で生き残っているが、昔よく行われていた安全でない習慣がある。
・仰向けに寝かせるのがよい
最も重要なのは母がうつぶせ寝の危険性を知らなかったことだ
・温度
母は誰もがいつでも冷えていると考えていて、とにかく温めようとする。温めすぎはSIDSのリスク要因なのに
・はちみつ
私達が赤ちゃんだった頃、母はおやつとして私達の唇に蜂蜜を塗ったそうだ。蜂蜜は乳児に良さそうに見えるかもしれないが乳児ボツリヌス症の原因となる可能性があり、乳児にとって必要でもないので避けるのがベストである。
母親が最も良く知っている?
蜂蜜を食べさせられて、何重にも重ね着されて、ゆりかごに動物のぬいぐるみがたくさんあった時代でも子ども達は生き延びた。もちろん。1978年のボルボにはシートベルトがなかったけれど走っていた。時代は変わり知は力である。知識は無数の命を救ってきた。でも母の存在は本当に役にたつ。
(おばあちゃんあるある。でもあなたのやっていたことは間違いだと指摘されても機嫌良く子育てを手伝ってくれるなんてみんなができることではない)

  • 「いかなる犠牲を払っても」健康キャンペーンは女性を傷つける

‘At All Costs’ Health Campaigns Undermine Women
By Jamie Wells, M.D. — August 21, 2017
https://www.acsh.org/news/2017/08/21/%E2%80%98-all-costs%E2%80%99-health-campaigns-undermine-women-11721
基準を満たす国が一つも無いにもかかわらず、WHOとUNICEFが何が何でも母乳推進に突き進む様は、英国の「正常なお産normal birth」キャンペーンが散々な結果に終わって見直したことから何も学ばないのだろうか?価値観に基づくイデオロギーをもとに保健政策を行うべきではない。
私は最近WHOとUNICEFからなる世界母乳連合の間違った努力について書いた。彼らの設定した「母乳基準」を満たしている国が一つもないという結果を見て、何故そうなったのか見直すどころか彼らは全ての部門に劇的な対応を要求した。彼らがやっているのは政治運動で健康のためではない。この問題を「緊急に必要」と分類しているが、それで問題が解決するか?
英国では王立助産師学会が12年の「何が何でも」「ナチュラル」あるいは「正常」な出産キャンペーンを行った結果、経膣分娩をさせようと鉗子の使用が増え骨盤底損傷と死亡が増加しこの方針が見直された。
世界母乳連合のメッセージの中には「複雑な緊急事態で家族が苦しんでいる」「極めて困難な状況」で母乳を薦めている。女性が母乳を与えられない病理学的状況についての議論を完全に無視して、母乳以外の栄養提供方法についてそのせいで病気になりやすくなるとか人生を不利にするといった恐怖を煽る不正確で政治的な描写をしている。これは無責任で失望する。母乳が赤ちゃんにとって最良であることに疑いの余地はないが、ミルクでも十分で別に悪徳ではない。我々が合理的代用品が存在して赤ちゃんを元気に育てることができる時代に生きていることは幸運である。
(以下略)
これはカナダの、帝王切開を減らそう運動に伴って周産期死亡が増えたという論文
Perinatal and maternal morbidity and mortality among term singletons following midcavity operative vaginal delivery versus caesarean delivery
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/1471-0528.14820/abstract

  • Chelseaの医師が子どもに「危険な」自閉症治療を行ったことで停職処分

Chelsea doctor suspended over claims he administered 'dangerous' autism treatment to children
https://www.standard.co.uk/news/health/chelsea-doctor-suspended-over-claims-he-administered-dangerous-autism-treatment-to-children-a3614221.html?amp
David O’Connell医師は子ども達の自閉症を「治す」ことを希望する親に数百ポンドで相談を提供していた。しかし彼は何の効果もない、むしろ子どもの死亡と関連する注射をしていたことで医学総会議(GMC)から調査されている。彼のO’Connell自閉症クリニックで行っていた治療法のひとつはブタの消化管ホルモンセクレチンの注射である。またキレート療法についても調査されている。

  • 汚染卵が農場で見つかった

Tainted eggs found at farms
Wed, Aug 23, 2017
http://www.taipeitimes.com/News/front/archives/2017/08/23/2003677007
彰化郡の三つの家禽農場でフィプロニル汚染卵がみつかった、と農業評議会が昨日述べた。約86200個の卵が市場に入った。
FDAは先週金曜日に異なる小売店の10の卵を調べたがフィプロニルは検出されなかったと言った。しかしその2日後、文政、國賀、連成の農場の卵に殺虫剤を検出した。それぞれ153 ppb、22 ppb、5 ppb。これらは日曜日に検査した45検体中の3つである。
委員会は国内2000農場の卵の検査を予定していて本日中に完了する予定である
中国国民党(KMT,野党)幹部は政府が対応が「遅く」「混乱している」と言う。4月に卵にダイオキシンが検出された後、KMTの蔣萬安はFDAと行政院農業委員會動植物防疫檢疫局に食品汚染への対応にコミュニケーションを改善するよう指示したが無視したという。両機関は現在お互いを非難しあっている。蔡英文政権は食品安全を確保すると約束したが国家予算のたった0.1%しか「食品安全」に支出していないと与党を批判する。
(政争の具にされるのはよくある風景。リソースを割りあてなければ安全性が犠牲になるのは世界中どこでも同じ。他人事じゃないし。)

  • さらなるEU食品汚染騒動:今度はチキンにフィプロニルが検出された

More EU food contamination scare: Now CHICKENS found containing fipronil
Tue, Aug 22, 2017
http://www.express.co.uk/news/world/844431/Chicken-food-scare-fipronil-poultry-Poland-eggs-European-Commission
ポーランドでドイツ産鶏肉約5000羽にフィプロニル汚染あるいは汚染の可能性

  • スイスの卵にフィプロニルはない

スイスBVL
Kein Fipronil in Schweizer Eiern
Bern, 21.08.2017
https://www.blv.admin.ch/blv/de/home/dokumentation/nsb-news-list.msg-id-67795.html
ドイツ語