食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 道路脇の木は喘息誘発汚染物質を捕まえる

Scienceニュース
Roadside trees trap asthma-inducing pollutants
By Barbra Rodriguez Aug. 23, 2017 ,
http://www.sciencemag.org/news/2017/08/roadside-trees-trap-asthma-inducing-pollutants
木が多いと空気がきれい?新しい研究によると必ずしもそうではない。むしろグリーンベルトと呼ばれる並木は車の排気ガスの汚染物質NO2を捕獲して地上の濃度を最大21%増加させる。これは喘息持ちの自転車や歩行者の呼吸を困難にする可能性がある。Urban Climateに発表され、アメリ生態学会年次会合で報告された。多分風のなさが原因で、喫煙者が傘をさしているようなものだという。

Arsenic in drinking water threatens up to 60 million in Pakistan
By Giorgia GuglielmiAug. 23, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/08/arsenic-drinking-water-threatens-60-million-pakistan
それは史上最大の集団中毒と呼ばれてきた。バングラデシュで、それからインド亜大陸の他の地域で、1970年代に井戸が掘られ、何百万人もの人が飲料水中のヒ素に暴露された。この金属は周囲の岩や土壌から水に溶けて、高濃度では皮膚傷害、がん、心血管系疾患、神経発達遅延などをおこす可能性がある。今回、パキスタンでの研究で最大6000万人がヒ素危機にあるかもしれないと示唆された。
最初に問題の広がりが明確になったのは一連の研究でGanges-Brahmaputra デルタで高濃度のヒ素が発見された1990年代である。WHOはバングラデシュの3500万人から7700万人が安全でない量のヒ素を含む水を飲むリスクに晒されていると警告した。そして2014年には世界中で約2億人が10 マイクログラム/L以上の濃度の水に暴露されていると推定した。多くはバングラデシュ、インド、ベトナム、ネパールである。
これまでの研究ではパキスタンの一部の地下水が高濃度のヒ素をふくむことがわかっていた。しかしそのリスクの広がりについてはわからなかった。スイス連邦水科学技術研究所のJoel Podgorskiらはパキスタン全土の1200の井戸の地下水を集めヒ素を測定した。約2/3がWHOの薦める閾値を超え、インダス川の谷に沿って200マイクログラム/L以上という非常に高い濃度が検出された。濃度が高いのは土壌のpHが高く1万年以下の若い砂や粘土に近いところである傾向があった。古い堆積物は長い年月の間にヒ素が海に洗い流されたのだろう。
そしてチームはこの地域のヒ素リスクマップを作った。地下水を飲料水にしている人の数を推定して、チームは5000-6000万人がヒ素が50 マイクログラム/L以上の水を使っている可能性があるとScience Advancesに発表した。

パキスタンのインダス平原の地下水に高濃度のヒ素汚染が発見される
Extensive arsenic contamination found in groundwater beneath Pakistan's Indus plain
23-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/aaft-eac082117.php
包括的ハザードマップを作った

  • 臨床試験でタバコを止めたという喫煙者はしばしば止めていない

Smokers in clinical studies who say they've quit often haven't
23-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/sfts-sic081817.php
Addiction。米国の入院患者での禁煙の臨床試験5つに参加した人で、過去7日間タバコを吸っていないと回答した人の唾液のコチニンを調べた。その結果40%以上がコチニン検査に失格だった。実際は多分もっと多いだろう、50-100ドルの報酬を提供するにもかかわらず禁煙したと言っている人の18.6%は検査を拒否しているので。

  • 教育の多さが人生の後半の認知機能の良さと関連

More education linked to better cognitive functioning later in life
23-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/l-mel082117.php
PLOS ONEに発表されたカリフォルニア大学の研究。

Methamphetamine use linked to heightened stroke risk in the young
23-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/b-mul082217.php
多いのは血栓より出血で男性が女性の二倍
Journal of Neurology Neurosurgery & Psychiatry

Researchers link high levels of 'good' cholesterol with excessive mortality
23-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/uoct-rlh082317.php
血中善玉コレステロール濃度は高いほうが良いと何年も考えられてきた。しかしHDLはそんなに良くはないかもしれない。
コペンハーゲン大学の新しい研究の結果は、血中HDL濃度が極端に高い人は通常濃度の人より死亡率が高い。男性では106%、女性で68%高かった。コペンハーゲン市心臓研究の116000人のデータを解析した結果。European Heart Journal

  • 一方、免疫系はがんの原因でもある

On the other hand, the immune system can also cause cancer
23-Aug-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-08/uoca-oto082317.php
ウイルス感染に反応する免疫系の必須要因であるAPOBEC3と呼ばれる酵素ファミリーは、ウイルスのDNAを攻撃して機能を停止する突然変異をおこす。残念ながらこの攻撃はウイルス遺伝子だけに留まらずヒトのDNAも攻撃する。がんゲノムアトラスのデータから、APOBEC3による変異の兆候がHPV陽性の頭部と頸部のがんの約40%のPIK3CA遺伝子に見られる。HPV陰性の頭部と頸部のがんだと10%である。しかもこのシステムはHPVウイルスに対してあまり効果的ではなくHPVを排除できないため慢性の炎症として残存する。Virusesに発表されたコロラド大学がんセンターの論文。
(長く続く炎症によるがんって活性酸素系だけじゃないんだな。免疫って何故万能であるかのように宣伝されるのだろう?武器を強化したら被害も増える、って考えないのかな。実際薬になって使われているものは免疫抑制のものばっかりなのに)