食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

FDAは早期ピーナッツ導入とピーナッツアレルギーの発症リスクの低下を関連させる限定的健康強調表示を認める

FDA Acknowledges Qualified Health Claim Linking Early Peanut Introduction and Reduced Risk of Developing Peanut Allergy
September 7, 2017
https://www.fda.gov/Food/NewsEvents/ConstituentUpdates/ucm575001.htm
入手可能な科学的根拠の系統的レビューを行った後、FDAは重症アトピー性皮膚炎及び/あるいは卵アレルギーのある乳児向けに、4-10か月齢の間に挽いたピーナッツを含む食品を摂取することと5才までにピーナッツアレルギーを発症するリスクを減らすことの間の関連性を説明する限定的健康強調表示の使用について執行の自由裁量を行使すると決めた。
製造業者が直ちに使用できる強調表示は:

既に固形食を食べている重症アトピー性皮膚炎及び/あるいは卵アレルギーのある乳児のほとんどにとって、4-10か月齢の間に挽いたピーナッツを含む食品を摂取することは5才までにピーナッツアレルギーを発症するリスクを減らすかもしれない。FDAが決定したが、しかしながらこの主張を支持する根拠は一つの研究に限られる。
もしあなたの乳児が重症アトピー性皮膚炎及び/あるいは卵アレルギーなら、挽いたピーナッツを含む食品を与える前に主治医に相談すること。

この限定的健康強調表示はAssured Bites, Incの申請への対応である。限定的健康強調表示qualified health claimは、その分野の専門家の相当な科学的合意によって支持される「認可された健康強調表示authorized health claims」とは違う。限定的健康強調表示は信頼できる科学的根拠に支持されてはいるものの、認可された健康強調表示に必要とされる、より厳密な「相当な科学的合意」基準は満たさない。そのためその強調表示を支持する科学的根拠のレベルを正確に伝えるための限定的文言や免責条項などが伴う。FDAの限定的健康強調表示の使用について執行の自由裁量を行使する意図というのは、その強調表示をしている製品がFDAの執行の自由裁量文書で述べていることに一致している限りFDAはその使用に反対するつもりはない、という意味である。
疫学的根拠は米国の子ども達のピーナッツアレルギーが1997年から2008年の間に少なくとも2倍になったことを示唆する。ピーナッツアレルギーは最もよくある食物アレルギーのひとつで、多くの場合小さい頃に始まって一生続く。FDAが認可したピーナッツアレルギーの治療や予防方法はなく、米国の食品誘発性アナフィラキシーに関連する主な死因である。従ってピーナッツアレルギーの発症を予防するような介入は公衆衛生にとって利益がある。
2015年に発表された600人以上の乳児によるLEAP研究が、乳児に予防戦略としてピーナッツタンパク質を早期に導入することを調べた最初の無作為化介入試験である。この研究は、ピーナッツアレルギー発症リスクの高い集団である重症アトピー性皮膚炎及び/あるいは卵アレルギーのある乳児にとっては、乳児期(4-10か月齢の間)にピーナッツを含む食品を摂取しはじめることが5才までにピーナッツアレルギーになるリスクを減らすことを示した。この知見をもとにNIH傘下の国立アレルギー感染症研究所(NIAID)が合同委員会を設定しピーナッツアレルギー発症予防のための新しい臨床助言を作成した。そのガイドラインは、乳児のそのピーナッツアレルギー発症リスクに応じたピーナッツ含有食品の早期導入のための3つの指針を示している。
今回の限定的健康強調表示はこのガイドラインの背景にあるものと同じ科学的根拠により支持されている。

  • ある種のハイリスク乳児にピーナッツを早期導入することがピーナッツアレルギーリスクを下げるかもしれないと助言する新しい限定的健康強調表示についてのFDAコミッショナーScott Gottlieb, M.D.の声明

Statement from FDA Commissioner Scott Gottlieb, M.D., on a new qualified health claim advising that early introduction of peanuts to certain high-risk infants may reduce risk of peanut allergy
September 7, 2017
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm575008.htm
アレルギーと食事に関する科学は進化し続けるので、赤ちゃんや子どもに多様な食品を安全に導入するベストな方法についての専門家の助言も進化する。多分我々の世代の両親にとって最も困難な課題の一つは、相当なアレルギー反応を起こす可能性のある食品をいつどうやって導入するか、であろう。これらの決定はある種の食物アレルギーが増えているように見えることからますます難しくなっている。ピーナッツアレルギーは最も良くある食物アレルギーの一つである。そして最も危険なものの一つでもある。ピーナッツアレルギーは米国の食品誘発性アナフィラキシーに関連する主な死因である。だから新米両親が心配するのは当然である。ピーナッツアレルギーの人の多くは小さい頃に発症して一生続く。重症ピーナッツアレルギーに苦しむ子どもを知らない親を見つけるのは難しく、自分の子どもがピーナッツアレルギーでなくても友人や親類にアレルギーの子どもがいる場合がほとんどである。ピーナッツアレルギーが1997年から2008年の間だけで2倍以上になったことを考えるとこれは驚くことではない。今日、アメリカの子どもの2%がピーナッツアレルギーである。
ピーナッツアレルギーの頻度が多くなりその帰結が知られるようになると、医師らが親たちに、ピーナッツアレルギーになるリスクの高い3才未満の子どもにはピーナッツを含む食品を与えないように助言しはじめた。この助言は善意からのものだったが、新しい根拠に基づくガイドラインは医療コミュニティに異なる方法を薦める。最近のNIHが資金提供した画期的臨床試験では、滑らかなピーナッツバターを含む食品を、ピーナッツアレルギーになるリスクの高い赤ちゃんには4か月という早期から導入することがその後の子ども時代にピーナッツアレルギーになるリスクを約80%減らすことを発見した。この知見によりNIHは重症アトピー性皮膚炎や卵アレルギー、あるいは両方がある乳児の親には4-6か月の早期からピーナッツを含む食品を与えるよう薦める新しいガイドラインを1月に発表した。このガイドラインでは両親に、赤ちゃんにピーナッツを含む食品を与える前に、最初にアレルギー検査が必要かどうか、あるいは医師の監視下で与えるべきかどうかを決めるために医師に相談するよう助言している。
現在あなたが食品表示で見られるピーナッツを含むかどうかの情報に加えて、ピーナッツの早期導入とピーナッツアレルギー発症リスク削減に関する新しい助言が一部の食品に間もなく見られるようになるだろう。一方丸ごとのピーナッツは小さい子どもには窒息ハザードであり食べるべきではない。
(以下略)