食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 人と動物とお金のこんな無駄は止めよ

Natureコメント
Stop this waste of people, animals and money
David Moher et al.,
06 September 2017
http://www.nature.com/news/stop-this-waste-of-people-animals-and-money-1.22554
搾取的雑誌はいいかげんな論文を出しつづけ、中には豊かな国からも含まれる、David Moher, Larissa Shamseer, Kelly Cobeyらが発見
搾取的雑誌は質にお構いなく論文を受理し主流のオープンアクセス雑誌にかかる費用の何分の一かのわずかな費用しかかからない。ピアレビューや保存などのサービスを提供することなくお金を集めることが目的で学術出版を装っている。レベルの低さはよく知られているが誰がどんな論文を出しているのかについてはあまり知られていない。搾取的雑誌のハザードは主に途上国だというのが常識だったが我々の根拠はそれに異議を唱える。我々は12ヶ月間、200以上の疑わしい雑誌の2000近くの生命医学論文を厳密に調べた。責任著者の半分以上が世界銀行の定義によると高所得国と中所得国だった。
資金源を報告している17%の論文のうち最も多かったのはNIHである。我々のサンプルでは米国がインドに次いで世界で最も多く論文を出していた。ハーバード大学ケンブリッジマサチューセッツテキサス大学も最も多い中に含まれる。他のサンプルからは同様の研究所の名前があがるだろうことは予想に難くない。問題は、搾取的雑誌の問題が多くの人が思うよりずっと緊急だということである。
我々のサンプルの論文は一貫して読者が評価したり再現するための重要な情報が欠けている。RCTと主張する論文の10%以下しかどうやって患者を割り付けたのか書いていない。
著者が騙されたのか業績リストを長くしたかったのかはともかく、これは膨大な無駄である。我々が検討した論文の一部だけで200万人の個人と8000以上の動物のデータを含む。外挿すると少なくとも18000のお金を使った生命医学研究がまともにインデックスされることもない科学的に疑わしい雑誌に食べられていることになる。これらが科学の進歩に貢献することはない。
搾取的雑誌の発行は非倫理的である。研究に参加することを合意した人はそれが将来の患者の役にたつことを期待する。動物実験はそれが価値ある情報を生むという前提で合理化されている。たとえ著者らが一つの実験から一つ以上の論文を作ることを想定しても、それらは高い公開基準をもつべきである。出版社、資金提供者、研究所は一緒にこんな雑誌を止めさせる努力をすべきだ。
以下研究内容
日本が堂々とランキング入り。中国より多い。
(昔から医学博士とるためのなんちゃって研究を出版する雑誌があったという伝統があるからなぁ・・)

搾取的雑誌は世界的問題
Predatory journals a global problem
6-Sep-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-09/toh-pja090117.php
他のリソースへのリンク有り

  • 規則違反の雑誌はシニア科学者ですら騙す

Natureワールドビュー
Illegitimate journals scam even senior scientists
06 September 2017
http://www.nature.com/news/illegitimate-journals-scam-even-senior-scientists-1.22556
Kelly Cobey(オタワ病院研究所の出版担当者)はたくさんの研究者らが搾取的雑誌に食い物にされているのを見てきた−それを止めるアイディアがある
事例として挙げられているのは、
最近学会発表した内容にマッチした、新しい雑誌に論文を投稿しないかという招待のメールをもらった。良い機会だと思って投稿したらすぐにアクセプトされて掲載料を要求された。まともな雑誌が招待論文に掲載料を要求することはないのでおかしいことに気がつき請求を無視してそれで終わったと思っていた。別の雑誌に投稿したら二重投稿だと指摘された。調べたらお金を払っていないのに論文として掲載されていた。取り下げるよう要求したら取り下げ料を請求された。雑誌の編集委員にメールしたらそんな雑誌は知らないと言われた。
Cobeyの提案は雑誌のまともさを評価する方法についての教育訓練をすること。搾取的雑誌対策にもっとリソースを割りあてること、など

  • アメリカ人は食品について混乱していて答えをどこに聞いたらいいかわからない

Americans Are Confused About Food And Don't Know Where to Turn For Answers
SHERIL KIRSHENBAUM AND DOUGLAS BUHLER, THE CONVERSATION
28 AUG 2017
https://www.sciencealert.com/americans-are-confused-about-food-and-unsure-where-to-turn-for-answers-survey-shows
GMO無し食品に遺伝子が含まれない
ミシガン州立大学で我々が最近行った、新しい全国を代表する食品リテラシーと関与世論調査によるとアメリカ人の1/3以上が遺伝子組換え成分を含まないという食品に遺伝子が含まれることを知らない。全ての食品には遺伝子が含まれる。
この質問に間違って答えた人の大部分は若く豊かな人たちで、自分は世界の食料システムについて平均以上の高い理解度を持っていると自称している率が高い。
調査全体からは米国の公衆の多くが食品について間違った情報をもっていることが明らかになった。この知見は問題がある−なぜなら食品は個人のレベルで我々の生活を形作る一方で、消費者の選択と農業がいろいろな点で我々全体の将来の道筋を決めるからだ。
食品リテラシーと関与世論調査ミシガン州立大学の農業自然資源学部の新しいイニシアチブであるFood@MSUの一環として毎年行う予定である。
Food@MSUのミッションは消費者の意見を聞き、対話を促進し、人々が食品についてより情報を与えられた上での選択をするのを助けることである。
たくさんの要因により、今日の消費者はこうした決定をするのが難しくなっている。急速な科学の発展は肥料なしで育ったり洪水に耐えられたり途上国の人たちに必須の栄養素を届けたりできる作物を作ることを可能にした。しかしこれ以上の進歩のためには人々の研究への支持がないと限られるだろう。
一方オンラインで提供される矛盾した情報の爆発的増加は、アメリカ人が価値のある情報と詐欺や一時的流行を見分けるのを難しくしている。
影響力の大きい多国籍企業が宣伝している考えは必ずしも科学的根拠があるわけではなく、自社製品を売りたいだけである。
我々の世論調査は、一般の人々は食品については現在の科学的理解からはるかに遅れていることを明らかにした。同様に問題なのは、アメリカ人が答えを科学者に求めないことである。
(以下小見出しのみ)
農場から離れて
食品安全
世界の食糧安全保障
信頼できない専門家
思考の糧