食品安全情報blog過去記事

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  • グリホサートゲート:IARCの科学的不正

Glyphosate-gate: IARC's Scientific Fraud
By Alex Berezow — October 24, 2017
https://www.acsh.org/news/2017/10/24/glyphosate-gate-iarcs-scientific-fraud-12014
IARCの初代長官John Higginson博士はACSHの科学アドバイザーでもあった。当時はヒト発がん物質を同定してさらなる研究と健康政策を導くために設立されたIARCにとって輝かしい時代だった。しかし1965年以降、多くのことが変わった。始まりから52年経ってIARCは実際の健康上の脅威を同定するより人々を恐がらせることに熱心な、辺縁の団体になってしまった。ベーコンがプルトニウムと同じくらい危険だと宣言するような機関は完全に道に迷っている。
よく使われる除草剤であるグリホサートを巡ってはIARCの問題が暴露されつつある。IARCはグリホサートを「おそらくヒト発がん性」と考えたが、EPAやEFSAなど全ての主要科学規制機関は合意しない。IARCの親であるWHOですらグリホサートは発がん性ではないと信じている。何がおこっているのか?
答えがわかった。主にDavid Zarukの調査のおかげで、The Timesが、グリホサートを発がん性にしようと政治活動をしてきた重要なIARCのアドバイザーであるChristopher Portierが、グリホサートの製造業者を訴えることでお金を得ようとした患者の弁護士から16万ドルを受け取っていたと報道した。このような明確な利益相反を開示しないPortier氏のやりかたは科学的不正の教科書事例である。
グリホサートゲート:科学的不正の事例
さらに事態は悪化した。ReitersがIARCモノグラフからグリホサートが無害だという根拠が意図的に排除されたと報道した。またモノグラフでは引用した研究を歪め、例えばグリホサートとがんの関連は無いのに関連があったと結論した。さらにReitersは「IARCは誰が何故変更したのかを言わない」と書く。Reitersが取材した16人の科学者は答えを拒否した。それは科学のやり方ではない;Fight Clubのやりかただ。
実際IARCとPortier氏のやったことの深刻さはどんなに強調してもしきれない。Zaruk博士がScience 2.0で書いているように、そのようなやりかたはWHOを蝕むだけではなく科学活動を蝕む。裁判の弁護士に雇われた規制担当者の健康助言をどうやって信頼できるだろう?
しばしばお金の問題
ACSHは良い科学は誰がお金を出そうと−大学、政府、NPO、企業−良いと信じている。科学研究はそのもので判断されるべきである。しかし悪い科学は全く別の問題である。悪い科学は多くの場合ちゃんと仕事をしないあるいは良くわかっていない研究者やジャーナリストによる。時には悪い科学は買収された人によって宣伝される。
IARCはひどく、そして不可逆的にその名声を傷つけられた。さらに既に存在するたくさんの規制担当官を考えると、IARCの役割は冗長で、ものごとを明確にするより混乱を加える機能しかない。私はIARCの解散と、米国政府に資金提供の停止を薦める。

  • 米国は動物実験の規則を大幅に改革すべき、グループが言う

Scienceニュース
United States should dramatically retool animal research rules, groups say
By Warren CornwallOct. 24, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/10/united-states-should-dramatically-retool-animal-research-rules-groups-say
何年もの間、科学者野大学は米国の実験動物の福祉を管理する規制がつぎはぎであることに苦情を申し立てていた。今回AAMCと3団体が報告書を発表して、単一の機関が監視するよう要求した。

  • EFSAのHoodia評価の件

(http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20171023#p3)
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.2903/j.efsa.2017.5002/epdf
これは非常におもしろい
申請者はフーディアを体重管理用の健康食品として売りたくて、動物実験で体重が減るあるいは増加抑制する量を使いたい。ところが動物実験での食欲減退、体重の増加抑制というのは非常によく使われる「毒性の指標」。申請者が体重への影響を毒性ではないと言い張っているが認められるはずもない。従って動物での体重への影響が出るBMDLを毒性影響の参照ポイントとして、それに不確実係数400(90日間亜慢性試験の動物実験からヒトへの外挿のデフォルト値に加えて成分含量が違うことの不確実性の4)を採用して0.134 mg/kg bw per day 、体重70kgの成人なら9.4 mg/dayを最大量と評価。この業者が売りたかったサプリメントは1日40mgなのでダメ、と。もともと売ろうとしていた量でも効果はなさそうなのだがそれでもアウト、と言われている。
データは、製品のロット毎の成分のばらつきまで含んでかなりしっかり出している。機能性表示で届け出られているものなど足下にも及ばない。そういう意味では良心的な会社。でも根本が間違っている。
減量系の成分は添加物と同じように毒性評価したら効果があってはならないので認められるわけがない。「ダイエットサプリ」は安全性の観点からは「あり得ない」。そういう製品を売っている会社は食品の安全性は理解していないということだしそんなものを手放しで認めている制度があること自体が日本の食品は安全ではないと宣伝しているということ。