食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

Susan Mayne博士、大豆タンパク質が心疾患のリスクを減らすという健康強調表示の取消しを提案すると発言

Statement from Susan Mayne, Ph.D., on proposal to revoke health claim that soy protein reduces risk of heart disease
October 30, 2017
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm582744.htm
発言内容
我々は、食べ物や栄養素の中に、特定の疾患や病気のリスクを減らすのに役立つものがあると長い間認識していた。1990年以降、FDAは、包装した食品に施される健康強調表示が確固とした科学的根拠に基づいていることを保証するために、そうした表示を評価する責任を負ってきた。今日まで、骨粗鬆症のリスク低減に役立つカルシウムやビタミンDの効果や、がんのリスクを低減する特定の果物や野菜の効果など、12の健康強調表示を認可してきた。
FDAが認可した健康強調表示は、最も確実な水準の科学的証拠に基づいて適切に検証された因果関係を反映するものである。本日、我々は大豆タンパク質と心疾患に関する健康強調表示を取り消す規則を提案する。1999年にこの強調表示が認可されて以降に発表された多くの研究において、大豆タンパク質と心疾患の関係に関し、一貫性のない知見が示されてきており、そのため、初めてのケースとなるが、健康強調表示を取り消す規則を提案する必要があると判断した。FDAによる徹底したレビューを受けたこの措置は、消費者が十分に知識を得た上で食事の選択をするために信頼できる情報を提供するという我々の責務を明確に示すものである。
その強調表示が認可された際にFDAによってレビューされたエビデンスを含め、大豆タンパク質と心疾患のリスク低下との関係性を依然として示唆しているエビデンスもあるが、現在得られる科学的エビデンス全体が、この関係性の確実性に疑問を投げかけている。例えば、FDAが健康強調表示を認可した後発表されたいくつかの研究は、心臓の損傷を引き起こす低比重リポタンパク(LDL)コレステロールを大豆タンパク質が低減する能力に関し、一貫性のない知見を示している。我々はそうしたエビデンスのレビューによって、大豆タンパク質と心疾患の関係は、FDAが認可すべき健康強調表示の厳しい基準を満たさないという結論に至った。
FDAは、この規則を完成させた場合、大豆タンパク質を食べることと心疾患のリスク低減の関連を裏付ける十分なエビデンスがある場合に限り、限定的健康強調表示の利用を許可する意向である。正式な認可に基づく健康強調表示よりも低い科学的水準のエビデンスしか求められない限定的健康強調表示を用いることによって、業界は、大豆タンパク質摂取と心疾患のリスク低減とを結びつけるのが限定的なエビデンスであることを説明する限定的な文言を使用することができるであろう。
我々は規則を作成するあらゆる過程で、利害関係者や他のこの問題に関心ある方とともに作業できることを期待しており、また提案した規則に対するそうした方たちからの意見を募集する。意見の募集期間は75日間の予定で、その期間中、現在我々が保有している情報と併せて寄せられた意見を検討し、最終規則の作成を進めるかどうかを決定する。一方、製造業者は、FDAが最終決定するまで現在認可されている強調表示を商品に使用することができるであろう。
大豆製品を食べることについて疑問がある消費者には、2015版から2020版の食事ガイドライン(Dietary Guidelines*)に書かれた助言をこれからも守ることを薦める。ガイドラインでは、健康的な食事のパターンに、大豆製品をはじめ、大豆飲料や様々なタンパク質食品が含まれ得ると書かれている。留意すべきは、懸案の認可中の健康強調表示は、大豆タンパク質と冠動脈性心疾患のリスク低減のことにしか着眼していないということである。大豆や大豆由来の食品成分(大豆油など)にあるとされている他の健康増進効果については、今回提案される規則の対象のとはされていない。
◇Susan Mayne博士は、FDAの食品安全・応用栄養センターの局長である。
*: https://health.gov/dietaryguidelines/2015/guidelines/