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食品中の農薬残留物: 2017年の第1四半期のモニタリング結果

Pesticide residues in food: quarterly monitoring results for 2017
2 November 2017
https://www.gov.uk/government/publications/pesticide-residues-in-food-quarterly-monitoring-results-for-2017
◇はじめに
食品中の農薬残留物に関する専門委員会(PRiF: expert committee on Pesticide Residues in Food)は、健康安全局(HSE: Health and Safety Executive)の局長および食品基準庁(FSA: Food Standards Agency)の最高責任者に対し、英国政府が国家的に推し進めている調査計画について、独立した助言をする役割を担っている。特に、
・英国の食糧供給網における農薬残留物の調査計画の策定や結果の評価について、
・試料採取方法、試料の処理方法、新しい分析方法、食品中の農薬残留物の変動の評価について、
助言を行う。
HSEは、環境・食糧・農村地域省(DEFRA: Department for Environment, Food & Rural Affairs)に属し、農薬残留物のモニタリングを統括している。食品が法律を遵守したものであるかを判断する。具体的には、農薬残留物が許容残留基準値(MRLs: Maximum Residue Levels)以下であるかどうかを調べる。こうして市場に出回る農産物中の農薬を法的に管理する仕組みを提供し、農薬が正しく使用されているかを監視する仕組みを提供する。
◇PRiFの議長(Paul Brantom博士)による概要説明
2017年は、果物や野菜については376種類の農薬を対象としている。第1四半期には、21種類の食品から560件の検体を採取した。
25検体がMRLを上回る農薬残留物を含んでいた。主な品目は、鞘付き豆、オクラ、ピーマンやパプリカ、鶏肉、生鮮果実の盛り合わせ、および特産品の乾燥豆であった。
HSEは、農薬残留物が検出された各事案について、リスクスクリーニングを行って、適切な基準量(安全量)を上回る摂取に結び付くかどうかを判断する。安全量を上回る摂取に結び付く可能性がある場合、詳細なリスク評価を行う。第1四半期においては、ほとんどの事案について、その食品を食べてもその人の健康に影響を与えることはないものと判断された。オレンジのいくつかの検体で、生で皮ごと食べた場合に一時的な影響が生じ得ると判断された。皮をむいて食べればそのようなことは無いと考えられた。
検体となった食品の供給者や小売業者の詳細、分析結果の詳細は、下記のウェブサイトから参照可能である。
https://data.gov.uk/dataset/pesticide-residues-in-food