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食品中の農薬残留物に関する専門委員会: 2016年度年次報告

The expert committee on Pesticide Residues in Food (PRiF): Annual Report 2016
2 November 2017
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/655035/expert-committee-pesticide-residues-food-annual-report-2016.pdf
◇農薬残留物に関する専門委員会(PRiF: expert committee on Pesticide Residues in Food)議長による緒言
2016年度は、英国の供給チェーンから食品および飲料の検体を3,451件採取し、農薬残留物の検査を行った。農作物によっては最大374種類の農薬について検査した。検体の約48%には、検査対象とした農薬残留物は何も検出されなかった。4%未満の検体が、法律で定められたMRL(maximum residue level: 許容残留基準値)を上回る農薬残留物を含んでいた。この報告書では、これらの全結果および追跡活動の詳細を記載している。
◇要約
■ 2016年は、41品目3,450件の食品検体が採取された。
■ これらの検体のうち47.86%が1種類以上の農薬残留物を含んでいた。
■ 果物や野菜は最高374種類の農薬について検査した。動物製品では365種類、でんぷん質の食品および穀物では371種類、乳児用食品では376種類、他の食料品では370種類の農薬について検査が行われた。
■ 農薬残留物が検出されたすべての検体について、HSE(Health and Safety Executive :健康安全局)は、リスク評価スクリーニング手順に則って、消費者へのリスクを検討した。ヒトの健康への懸念が認められた16件の詳細リスク評価の結果を公表した。
■ 我々は5検体について、ヒトが摂取するとリスクが生じる可能性があると判断されたため、FSA(Food Standards Agency: 食品規準庁)に通告した。FSAは、RASFF(Rapid Alert System for Food and Feed: 食品および飼料に関する迅速警報システム)にこれらの検体について通報した。
■ 我々は、英国で生産された果物および野菜の10検体について、それらの農作物に英国で使うことが許されていない農薬の残留物が含まれていたため、HSEに通告した。その残留物が存在した明白な事由をHSEが確定できなかったケースでは、HSEはどのようにしてそうした残留物が生じたのかを捜査した。
◇モニタリング期間
2016年第1四半期:1月〜3月(報告書の公表2016年9月)
2016年第2四半期:4月〜6月(報告書の公表2016年12月)
2016年第3四半期:7月〜9月(報告書の公表2017年3月)
2016年第4四半期:10月〜12月(報告書の公表2017年6月)
◇サンプリング場所
In 2016, we collected over 2,700 samples from retail outlets in 24 towns and cities in the UK. Government inspectors collected around 650 samples from places such as wholesalers, ports and supermarket distribution depots. 2016年は、英国の24の町や市の小売店から2,700件を超える検体が集められた。さらに、政府の検査官が、卸業者、港湾およびスーパーマーケット・物流センターなどから約650検体を集めた。
◇結果の概略
2016年は3,448検体を検査した。各検体を多くの様々な農薬について検査した。述べ986,338件の食品と農薬の組み合わせを検査した。
■ 52.15%の検体は、検査対象とした農薬を含んでいなかった。
■ 44.63%の検体がMRL以下の農薬を含んでいた。
■ 3.22%の検体がMRLを超える農薬を含んでいた。
◇果物と野菜の結果
今年は、MRLを超える検体の割合が昨年同様に高く、3.98%であった(2015年は5.05%)。これは、継続してサンプリングされている特産品の豆およびオクラの検査結果と関連している。特産品の豆およびオクラは、基準を満たさない割合が高いことが知られている。
■ 特産品の豆と同様、オクラも通常は欧州の外で栽培され、多くの場合MRLとしてLOD (Limit of Determination: 定量限界)が用いられる。MRLを超過した農薬が検出された24検体のうち、7検体は冷凍オクラで、冷凍オクラは通常、生鮮オクラとは供給元が異なっている。
◇ヒトの健康に対するリスクの評価
2016年は、16の案件について詳細リスク評価を行った。いずれの案件においても、考えられる健康へのリスクについて具体的な助言を思索したほとんどの案件は、人々の健康へのリスクが及ぶことは考えにくいと判断された。リスク評価の結果、健康へのリスクがあり得ると判断された案件については、我々はFSAに通告した。
全ての詳細リスク評価の全文は、我々が作成する報告書(四半期ごとに公表)の中、あるいは学校への果物および野菜の供給計画(School Fruit and Vegetable Scheme)で採取された検体についての我々の報告書の中に組み入れられている。これらは以下のウェブサイトからダウンロードできる。
四半期ごとの報告書: https://www.gov.uk/government/publications/pesticide-residues-in-food-quarterly-monitoring-results-for-2016
School Fruit & Vegetable Scheme: https://www.gov.uk/government/publications/pesticides-residues-in-food-school-fruit-and-vegetable-scheme-2015