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食品中の農薬残留物に関する専門委員会: 2015年度年次報告

The expert committee on Pesticide Residues in Food (PRiF): Annual Report 2015
2 November 2017
https://www.gov.uk/government/uploads/system/uploads/attachment_data/file/655035/expert-committee-pesticide-residues-food-annual-report-2016.pdf
◇農薬残留物に関する専門委員会(PRiF: expert committee on Pesticide Residues in Food)議長による緒言
2015年度は、英国の供給チェーンから食品および飲料の検体を3,614件採取し、農薬残留物の検査を行った。農作物によっては最大388種類の農薬について検査した。検体の57%には、農薬残留物は何も検出されなかった。3%未満の検体が、法律で定められたMRL(許容残留基準値)を上回る農薬残留物を含んでいた。この報告書では、これらの全結果および追跡活動の詳細を記載している。
◇要約
■ 2015年は、47品目3,614件の食品検体が採取された。
■ これらの検体のうち42.86%が1種類以上の農薬残留物を含んでいた。
■ 果物や野菜は最高388種類の農薬について検査した。動物製品では73種類、でんぷん質の食品および穀物では346種類、乳児用食品では353種類、他の食料品では346種類の農薬について検査が行われた。
■ 農薬残留物が検出されたすべての検体について、HSE(Health and Safety Executive :健康安全局)は、リスク評価スクリーニング手順に則って、消費者へのリスクを検討した。ヒトの健康への懸念が認められた21件の詳細リスク評価および2件の複合リスク評価の結果を公表した。
■ 我々は8検体について、ヒトが摂取するとリスクが生じる可能性があると判断されたため、FSA(Food Standards Agency: 食品規準庁)に通告した。FSAは、欧州議会にこれらの検体について報告し、欧州議会議会からRASFF(Rapid Alert System for Food and Feed: 食品および飼料に関する迅速警報システム)の全加盟国に通報された。
■ 我々は、英国で生産された果物および野菜の16検体について、それらの農作物に英国で使うことが許されていない農薬の残留物が含まれていたため、HSEに通告した。その残留物が存在した明白な事由をHSEが確定できなかったケースでは、HSEはどのようにしてそうした残留物が生じたのかを捜査した。
◇モニタリング期間
2015年第1四半期:1月〜3月(報告書の公表2015年9月)
2015年第2四半期:4月〜6月(報告書の公表2015年12月)
2015年第3四半期:7月〜9月(報告書の公表2016年3月)
2015年第4四半期:10月〜12月(報告書の公表2016年6月)
◇サンプリング場所
2015年は、英国の24の町や市の小売店から2,800件を超える検体が集められた。さらに、政府の検査官が、卸業者、港湾およびスーパーマーケット・物流センターなどから約660検体を集めた。
◇結果の概略
2015年は3,614検体を検査した。各検体を多くの様々な農薬について検査した。述べ934,603件の食品と農薬の組み合わせを検査した。
■ 57.14%の検体は、検査対象とした農薬を含んでいなかった。
■ 40.07%の検体がMRL以下の農薬を含んでいた。
■ 2.79%の検体がMRLを超える農薬を含んでいた。
◇果物と野菜の結果
今年は、MRLを超える検体の割合が以前の年より多く、5.05%であった(2014年は2.76%、2013年は3.91%)。これは、継続してサンプリングされている特産品の豆および処理が加えられた食品の検査結果と関連している。特産品の豆は、基準を満たさない割合が高いことが知られている。また、処理が加えられた食品では、おそらく消毒に使ったことに由来する農薬残留物が検出されることがある。
■ 処理を加えた生鮮果物の22検体すべてが、BAC (benzalkonium chloride: 塩化ベンザルコニウム)とDDAC (didecyldimethylammonium chloride: 塩化ジデシルジメチルアンモニウム)のいずれかを、2015年に確立された新たなMRLである0.1 mg/kgを超えて、およびそれ以前に設定されていた暫定的な取引上の基準である0.5 mg/kgを超えて含んでいた。BACやDDACは、農薬として使用されるのに加えて消毒薬として使用され、どちらの使用目的についても規制がある。BACやDDACが検出されたのは、果物の処理および包装の多くの段階でこれらの化合物が消毒薬として使用されていたためではないかと考えられる。
◇2015年の特記事項
◊ BAC (benzalkonium chloride: 塩化ベンザルコニウム)とDDAC (didecyldimethyl-ammonium chloride: 塩化ジデシルジメチルアンモニウム)について
2014年10月16日、欧州議会は殺生物剤から生じる可能性がある残留物のMRLを最高0.1 mg/kgにすることを公表した(SANCO/10842/2014)。このMRLは2014年11月4日に実効化された。加盟国、第三国および食品事業者がこの要件を満たす準備ができるように、2015年8月12日以前に生産された生産物に対しては、強制基準値である0.5 mg/kgが適用されていた。モニタリング計画においては、残留物が暫定的ガイドラインの0.5 mg/kg以下であっても、0.01 mg/kgというMRLを超えているか(2014年11月4日より前)、または0.1 mg/kgというMRLを超えているか(2014年11月4日以降)どうかについて報告している。これにより、食品事業体は、もしそうした値が2015年8月12日以降に検出された場合、MRL超過になってしまうことを認知できる。この報告書では、0.5 mg/kgを超えて残留物が検出された場合に限り、MRL超過例として詳述している。
◇ヒトの健康に対するリスクの評価
2015年は、21の案件について詳細リスク評価を行った。いずれの案件においても、考えられる健康へのリスクについて具体的な助言を思索したほとんどの案件は、人々の健康へのリスクが及ぶことは考えにくいと判断された。リスク評価の結果、健康へのリスクがあり得ると判断された案件については、我々はFSAに通告した。
全ての詳細リスク評価の全文は、我々が作成する報告書(四半期ごとに公表)の中、あるいは学校への果物および野菜の供給計画(School Fruit and Vegetable Scheme)で採取された検体についての我々の報告書の中に組み入れられている。これらは以下のウェブサイトからダウンロードできる。
四半期ごとの報告書: https://www.gov.uk/government/collections/pesticide-residues-in-food-results-of-monitoring-programme
School Fruit & Vegetable Scheme: https://www.gov.uk/government/collections/pesticide-residues-in-food-results-of-monitoring-programme#school-fruit-and-vegetable-scheme