食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 犬を飼っていることは死亡率の低さと関連

Dog ownership linked to lower mortality
17-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uu-dol111517.php
スウェーデンの科学者のチームが40-80才の340万人以上のスウェーデン人の国家登録を用いて犬を飼っていることと心血管系健康の関連を調べた。12年のフォローアップ期間で、犬を飼っていることは心血管系あるいは他の原因での死亡リスクが低かった。Scientific Reports。独身者、狩猟犬で保護作用が目立つ。スウェーデンでは個人番号があり2001年以降犬の登録が義務。

  • 肥満とがんの関連は広く認識されていない

Link between obesity and cancer is not widely recognized
17-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/oup-lbo111617.php
Journal of Public Healthに発表された研究。英国人の多数はがんに体重が関連することを理解していない。英国人を代表する3293人の成人を対象に調査し、肥満とがんの関連を知っていたのは1/4だけだった。

  • 日光の減少、くる病の増加

Decrease in sunshine, increase in rickets
17-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uot-dis111717.php
トロント大学の学生と教授のチームが英国の夏の曇りの増加が英国の子ども達の過去数十年の謎のくる病増加の重要な理由である可能性を発見した。英国では1990年代半ばからくる病での子どもの入院が増加している。Scientific Reports

  • 大規模核事故後、家を捨てるべきではない

Homes should not be abandoned after a big nuclear accident
19-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uob-hsn111717.php
新しい研究は2011年3月の福島第一原子力発電所災害の後のような大きな核事故が起こった後、家を離れるように言うのは、いたとしてもほんの僅かであるべきことを示唆する。
これがBristol大学のリスク管理教授Philip Thomasらによるマンチェスター大学、Warwick大学、Open大学、シティ大学ロンドンの参加した多大学研究の主要な知見である。Process Safety and Environmental Protectionの特集号に発表。
Thomas教授はJudgement あるいはJ-valueを用いて安全対策により得られる寿命の増加とコストのバランスを調べた。J-valueはThomas教授が創始者である新しい方法で、人の命と環境を守るためにどのくらい使うべきかを評価するためのものである。
研究の結果福島第一原子力発電所事故ではだれ1人として移住を正当化するのは困難だった。
「大規模避難はお金がかかる上に破壊的である。それはすべきではない」とPhilip Thomas教授は言う。
(いろいろ略)

  • 世界初のクローン犬のクローンの誕生

Birth of clones of the world’s first cloned dog
Min Jung Kim et al.,
Scientific Reports 7, Article number: 15235 (2017)
https://www.nature.com/articles/s41598-017-15328-2
雄のアフガンハウンドTaiのクローン犬であるSnuppyの細胞から4頭のクローン犬を作った。1頭は生まれて数日で死亡したが3頭は9か月で元気。SnuppyとTaiは10才と12才でがんで死亡している。アフガンハウンドの平均寿命は11.9年である。
(韓国。)

  • アルコールとがん

Lancetエディトリアル
Alcohol and cancer
The Lancet: Vol.390 | Number 10109 | Nov 18, 2017
11月7日に発表された米国臨床がん学会(ASCO)のアルコールとがんに関する声明は、多くのがんの証明された原因としてのアルコールの突出を強調した。この見解は新しいものではなくIARCがアルコール飲料がヒト発がん性と決定してからちょうど30年経った。それ以降他の多くのがん学会から同様の見解が出されてきたが、他の医学コミュニティや社会からは無視されてきたように見える。影響力の大きいASCOによる再確認はアルコールの健康への有害影響に関する何十年もの根拠をもとに行動する推進力となるだろう。
アルコールは気道・消化器・大腸・肝臓。女性の乳腺のがんと因果関係がある。他の多くのがんとも関連する。歴史的にアルコールが健康にメリットがあるという想定は間違った解釈か誇大である可能性が高い。
アルコールによる害は膨大である。
アルコールが健康への脅威であることは否定できない。しかし同時に文化と密接に関連し、来週以降感謝祭の集まり、職場のパーティ、クリスマスのお祝い、新年の祝賀などで大量のアルコールが飲まれるだろう。今週号のFrank Murrayのアイルランドでのアルコール規制に関するコメントにあるように、アルコールへの規制は政治家や業界から強い反発を受けるだろう。だからこそより安全な飲酒へ導く必要がある。
アルコールとがんの問題は今後さらに大きくなるだろう。寿命が長くなることは暴露量が多くなることを意味する。そして豊かな人たちが増えると飲酒量は増える。そしてアルコールの製造コストは低下し入手可能性が拡大するだろう。しかしアルコールは変更可能なハザードで、飲まなければリスクは消える。規制的介入をしない理由はない。

Frank Murrayのコメント
アイルランドの公衆衛生法案:アルコールの害を減らすために必須
Ireland's Public Health Bill: crucial to reduce alcohol harm
Volume 390, No. 10109, p2222–2223, 18 November 2017
(多くの人にとっては酒とタバコが管理できたら他のことは何も気をつけなくても今よりましになるのだけれど)

  • 食品業界は将来の抗生物質を守るために対応すべき

Food industry must act to safeguard the future of antibiotics
The Lancet: Vol.390 | Number 10109 | Nov 18, 2017
WHOが農家や食品業界に、健康な動物に成長促進や病気予防のためにルーチンで抗生物質を使うことを止めるよう強く求めた。

  • Lancet ワールドレポート

ミソプロストール製剤がフランス市場から撤退
Misoprostol drug to be withdrawn from French market
Barbara Casassus
Published: 16 November 2017
ミソプロストールを有効成分とする胃潰瘍・十二指腸潰瘍の薬Cytotecが2018年3月1日にフランス市場から取り下げられる。理由は適用外使用による副作用が多く報告されたため。
製造販売元のファイザーは理由を説明していないがフランス当局(ANSM)との合意の上でのことであると述べている。ミソプロストールは79ヶ国で販売されている。
ANSMは2005年と2013年にCytotecの産婦人科リスクについて警告を出し、健康規制に関する独立助言団体フランス国立保健局も2008年と2015年に同様の助言を出している。問題は「医師が全てを無視していることである」とANSMの長官は言う。
フランスにおけるCytotecの処方の94%が適用外である。その理由は明白にお金で、出産誘発や化学堕胎に使われるミソプロストール製剤は販売されているが値段が違う。例えばGyMisoは36ユーロなのにCytotecは0.64ユーロで、つまり差額は医師のポケットに入る。Cytotecは経口用なのに経膣で使用されがちで、母親の子宮破裂や出血、赤ちゃんの心血管系や神経変性性疾患が報告されている。3人の赤ちゃんが死亡している。
(かなりひどいと思うのだが。フランスの産婦人科周辺ってどうなっているんだ?水中出産や冷蔵庫マザーもフランス発だったような)