食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 魚を食べることについての注意

Cautions About Fish Consumption
by Berkeley Wellness | November 17, 2017
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food-safety/article/cautions-about-fish-consumption
魚やシーフードを食べることのベネフィットは一般的にリスクを上回るものの、一部の環境や健康上の重要な注意点には気をつけるべきである。
最初に、もし地球上の全てのヒトが推奨される量の魚を食べたとすると海や川や湖の資源が直ちに枯渇するという事実である。既にFAOは世界の水産資源の90%が危機に直面しているという。過去50年の水産養殖の拡大のみが魚の供給を可能にしている。持続可能性を心配するなら、「グリーン」シーフードショッピングガイドを参照。(リンク)
これら情報源は最も持続可能な方法は何かについて一致していないことにも注意。
養殖魚と環境
適切な管理をしないと養殖は環境への悪影響がある。米国では多くの小売店が認証シーフードを売っている。米国で最も多く食べられている養殖魚のティラピアは、Monterey Bay水族館によって再循環システムなら「ベスト」な選択肢とされている。養殖サーモンも多くは「良い」「ベスト」とされている。
水銀ガイド更新
シーフードの汚染で最も重要なのは水銀である。今年初めFDAEPAが妊娠女性や妊娠を予定している女性、小さい子どもの家族向けに健康的で安全な魚の選択についてのユーザーフレンドリーな助言を発表した。
PCBについては?
養殖サケのPCBが報告されて問題になったのは10年以上前で、その後多くの生産者が餌を切り替えている。EWGが2013年に7検体でPCB濃度が高いと報告したがシーフードヘルスファクトによるとPCB濃度が高いのは養殖魚ではなくレクリエーションで釣った魚である。
残留薬物
養殖魚の残留動物用医薬品は監視されていて2011年の論文によると最も問題が多いのはエビ、カニ、バサ(ナマズの一種)、ウナギ、ティラピアである。違反はアジアが多い。2015年の養殖魚の抗生物質検査では検出レベルは比較的低かったが薬物耐性問題には寄与している可能性があると著者が言う。2013年の報告では主にラテンアメリカ産の輸入ティラピアを調べ抗生物質が検出されたものはなかった。

  • 魚の健康上の利益をつかまえる

Catch the Health Benefits of Fish
by Berkeley Wellness | November 17, 2017
http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/catch-health-benefits-fish
(魚関連の話題いくつか。観察研究は因果関係を証明できないことを強調している)

  • 有毒藻類:かつては不愉快なものだったが今や重大な全国的脅威

Toxic algae: Once a nuisance, now a severe nationwide threat
By JOHN FLESHER and ANGELIKI KASTANIS
Nov. 16, 2017
https://apnews.com/8ca7048f5cff4b45a634296a358f7309/Toxic-algae:-Once-a-nuisance,-now-a-severe-nationwide-threat
エリー湖で釣りをして藻類中毒になったセミプロ釣り師の事例から始まる米国の藻類の大発生による被害についての記事
(当然魚も汚染されていると考えられるが)

  • 除草剤が抗生物質耐性と関連−専門家の反応

SMC NZ
Herbicides linked to antibiotic resistance – Expert reaction
November 18th, 2017.
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2017/11/18/herbicides-linked-antibiotic-resistance-expert-reaction/
ニュージーランドの研究者らが、よく使われる除草剤の有効成分が細菌の抗生物質感受性を弱める可能性があることを発見した
この研究は2015年に発表されたよく使われる3種類の除草剤が大腸菌サルモネラ抗生物質感受性を弱めるという報告をもとにしている。新しい研究はMicrobiologyに発表されたもので、どの成分が原因なのかを探り、有効成分が原因であることを発見し、規制機関は使用認可の際にはこうした影響も考慮すべきと示唆している。
SMCは専門家の反応を集めた
Massey大学分子生命科学上級講師Heather Hendrickson博士
我々は微生物に溢れた世界に生きていて、我々は世界に影響を与えているがその全体を把握していない。抗生物質は我々を病気にする細菌を殺したり弱めたりするのに使う一連の薬物である。今日、この重要な薬物は世界中で有効性が低下している。
このKurenbachらによる研究はある種の除草剤の土壌中微生物への影響を理解しようとしたものである。この論文は2015年にラストオーサーであるJack Heinemannが報告した仕事をフォローしたものである。一部の除草剤の有効性への影響メカニズムは細菌の流出ポンプというタンパク質にあるようで、除草剤暴露で細菌がこれらのポンプを装備して除草剤を早く排出しようとする。同時に存在すると抗生物質が一緒に捨てられる可能性がある。これらの二つの研究の結果はそれほど単純ではないが、以下の理由で注目に値するだろう。
1.よく使われる除草剤の暴露は微生物に影響し、一部の抗生物質に殺されやすくするが同時に別の抗生物質には殺されにくくする
2.ここで使われた細菌はヒトの病原体になりうる
3.ここで使われた抗生物質は臨床上の意味があるもの
4.ここで使われた除草剤はよく使われているもの
5.抗生物質の有効性に影響したのは製剤に含まれる他の成分ではなくて有効成分
6.使われた除草剤や抗生物質の濃度は細菌が暴露される可能性のある範囲
オークランド大学上級講師で微生物学者Siouxsie Wiles博士
今週は抗生物質啓発週間であるため、この論文はタイムリーである
Heinemann教授の知見は微生物の世界がどれだけ複雑かを示す。ある成分は細菌を抗生物質感受性にし、別のものは感受性を減らす。幸いHeinemann教授らの発見したタイプの耐性はある種の細菌から別の種の細菌に伝達されるようなタイプのものではないが、懸念ではある。
私にとって最も面白かった知見は、界面活性剤が細菌の抗生物質耐性を増したことである。このことは我々が日常家庭や身体に使っている製品が細菌の抗生物質耐性に寄与しているかもしれないことを意味する。

The dangers and potential of ‘natural’ opioid kratom
C. Michael White November 20, 2017
https://theconversation.com/the-dangers-and-potential-of-natural-opioid-kratom-87581
オピオイド依存危機の中、あるオピオイドは米国では合法でコンビニや自動販売機ですら買えるというのはおかしいと思われるだろう。しかしクラトンは普通のオピオイドではない。2016年に麻薬取締局DEAがこのハーブを禁止しようとした。ユーザーと国中の議員51人が強く反対した。そしてDEAは禁止の試みを取り下げている。一部の州では使用が禁止されてはいる。最近ではFDAが36人の死亡を引用して警告を出している。
クラトンはナチュラル製品と薬物濫用の境界線にある。エフェドラからMDMAまでの私の経験から、天然物は必ずしも安全ではないし禁止薬物が実際一部の患者の役にたつことを知っている。
クラトンは非常に弱い鎮痛効果と軽い興奮作用があり、強力なオピオイドの主要リスクである呼吸停止リスクは低い。クラトンの作用は葉に含まれるミトラギニンと7-ヒドロキシミトラギニンによる。主要成分であるミトラギニンのオピオイド作用は弱いが7-ヒドロキシミトラギニンは同じ量ならモルヒネの13倍の作用がある。しかしヘロインやフェンタニルほど危険ではないからといって有害作用がないわけではない。実際これは依存性が非常に高い。そして処方薬と違って規制されていないクラトン製品の有効成分の量は変動し他のものが混入されている可能性がある。そして西洋世界で販売されている製品の7-ヒドロキシミトラギニン含量は天然に由来する可能性のある範囲より相当多い。それはオピオイドに比べてクラトンのほうが安全だという主張を無にする。
以下略
(クラトム、ミトラガイナ)

  • 調理由来の油滴が屋内空気の汚染に寄与することを研究が発見

Oil droplets from cooking contributes to indoor air pollution finds study
November 19, 2017
https://www.news-medical.net/news/20171119/Oil-droplets-from-cooking-contributes-to-indoor-air-pollution-finds-study.aspx
米国物理学会第70回年次会合の流体力学部門の発表「フライパンから外へ:爆発的油滴動態」

Why cooking a stir fry could be bad for health, according to scientists
http://www.telegraph.co.uk/science/2017/11/19/cooking-stir-fry-could-bad-health-according-scientists/
特に中華料理

  • シドニーの市議会がウェブサイトで「無責任な」反ワクチン宣伝をしたことで厳しく批判される

City of Sydney councillors hit out at 'irresponsible' anti-vaccination promotion on website
http://www.abc.net.au/news/2017-11-19/city-of-councillors-hit-out-at-anti-vaccination-promotion-online/9166488
シドニーの公式ウェブサイトで反ワクチン活動で有名なJudy Wilymanのイベントを宣伝した。Clover Moore市長はABCニュースからの警告で気がつき、スタッフに直ちに削除するよう指示した。市長は「これは全く我々の価値観とは逆で、我々は根拠に基づいた政策を支持する」と述べた。
(市のホール等で開催されるイベントの中身をちゃんと見なさいとのこと。)

  • オーストラリア政府はタバコ企業を訴えるよう強く求められる

Aussie govts urged to sue tobacco firms
November 20, 2017
http://www.theaustralian.com.au/news/latest-news/aussie-govts-urged-to-sue-tobacco-firms/news-story/f1f83fcb30fc8d53876572ab412fcc8f
Medical Journal of Australiaに専門家が書いている

  • ヒトの頭(人体への)の移植が中国で死体を使って行われたというメディア報道に対する専門家の反応(論文はない)

UK SMC
expert reaction to media reports* that a human head (/body) transplant has reportedly been carried out on a corpse in China (no published paper yet)
November 17, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-media-reports-that-a-human-head-body-transplant-has-reportedly-been-carried-out-on-a-corpse-in-china-no-published-paper-yet/
UCL神経学研究所神経生理学Sobell部長Roger Lemon教授
マンチェスター大学移植センター主任研究者James Fildes博士
香港シティ大学神経科学教授Jan Schnupp教授
UCL神経変性教授Frances Edwards教授
ブリストル大学医学部教授で部長Stafford Lightman教授
エジンバラ大学脳科学発見センター副所長神経発達教授Catherina Becker教授
(一斉にCanaveroのいつもの戯言、と言っている。しかしこれだけ集めたのはきっちり否定したいという意志だろう。セルジオ・カナベーロで検索すればいろいろ出てくるけれどまともなところは取り合わないので)

  • GMバナナは恐ろしい真菌系統に対して期待できる

Scienceニュース
GM banana shows promise against deadly fungus strain
By Erik StokstadNov. 17, 2017 ,
http://www.sciencemag.org/news/2017/11/gm-banana-shows-promise-against-deadly-fungus-strain
オーストラリアでの野外試験で、遺伝子組換えバナナの木がパナマ病の原因となる恐ろしい真菌に耐性を示した。この組換え植物は5年で一部の農家に提供可能だが消費者が受け容れるかどうかは不明。この仕事は伝統技法を用いて耐性品種を作ることも促進する。