食品安全情報blog過去記事

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論文

UBC Okanagan researchers discover neurotoxin in Lake Winnipeg
29-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uobc-uor112817.php
大量発生時にシアノバクテリアに毒素BMAA(β-N-メチルアミノ-L-アラニン)
湖の水から検出するのは困難だが、シアノバクテリアからは検出され、汚染や農業に影響されている地域から採取したものが最も濃度が高い。Neurotoxicity Research

Antibiotic resistance: An unexpected chronology
29-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/ip-ar112917.php
アンピシリン耐性はヒトが使い始める前から始まっていた−1950年代の農業におけるペニシリンの過剰使用が引き金になった可能性がある
パスツール研究所の研究者らが、歴史的サルモネラ系統のゲノムサンプリングにより抗生物質耐性が英国市場にアンピシリンが発売される前に遡ることを突き止めた。1950年代に家畜の餌に低濃度のペニシリンを混合して与えることが北米とヨーロッパで行われていたことが抗生物質耐性細菌の進化を促進したことを示唆する。The Lancet Infectious Diseases。

  • この動画はハンドサニタイザーについて良くある神話を打ち砕く

Science
This video debunks some of the common myths about hand sanitizers
Nov. 28, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/11/video-debunks-some-common-myths-about-hand-sanitizers
ACS動画シリーズの紹介
は度サニタイザーはばい菌を99.9%殺すと宣伝されているが、その数字はほんの僅かの状況でしかあてはまらない。ほとんどのサニタイザーはアルコールを使って細菌やウイルスの外側のコートを溶かすが、どのくらいよく働くかはアルコールの量とあなたの手がどのくらい汚れているかによる。最も効果を発揮するのは手洗いと一緒に使った場合。

  • 農業のための一掃

Clean sweep for agriculture
27-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/rr-csf112717.php
Rothamsted研究所が英国の新しい産業戦略にコメント
産業戦略が農業部門に焦点をあてたことを歓迎する。クリーンな農業の成長のために質の高い科学で。
Industrial Strategy: building a Britain fit for the future
27 November 2017
https://www.gov.uk/government/publications/industrial-strategy-building-a-britain-fit-for-the-future

  • 妊娠中のビタミンDについて助言するための根拠は不十分

Insufficient evidence to guide recommendations on vitamin D in pregnancy
29-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/b-iet112717.php
BMJ。妊娠中のビタミンDサプリメントの使用についての助言を導く根拠は現時点では不十分である。そして近い将来答えられるということもないだろう。

  • このままの傾向が続けば米国の子どもの半分以上が大人になったときに肥満になるだろう

More than half of US children will have obesity as adults if current trends continue
29-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/htcs-mth112817.php
New England Journal of Medicine

  • HPVワクチンは投与して10年後、有効で安全

HPV vaccine is effective, safe 10 years after it's given
29-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/mcog-hvi112917.php
Pediatrics

  • 厳格な禁煙法をもつコミュニティでは肺がんが少ないことを研究が示す

Study shows lower lung cancer rates in communities with strong smoke-free laws
29-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uok-ssl112917.php
Cancer。50才以上のケンタッキー州住人の肺がん診断について、職場や地域での禁煙状況との関連を検討。
(禁煙でない飲食店ではバイトしないほうがいいよ、という話)

NIAID scientists link cases of unexplained anaphylaxis to red meat allergy
28-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/nioa-nsl112817.php
ダニに刺されると、あまり普通でない、誤診されるアレルギーにつながる
Allergyに発表された論文。70人の原因不明のアナフィラキシー患者のうち6人が牛肉・豚肉・羊肉などの赤肉に含まれる糖分子であるガラクトース-a-1,3-ガラクトースに陽性反応。赤肉を避ける食生活でアナフィラキシーを起こさなくなった。この人達はAmbylomma americanumに刺されたことがある。またこのアレルギー反応は他のアレルギーと違って食べてから3-6時間後におこることがある。これが間違って診断される原因になる。

Making a case for health literacy
28-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/uom-mac112817.php
CDCは米国成人の半分はヘルスリテラシーが十分でない。健康情報を理解し効果的に使うことができないことは入院率の高さ、予防の少なさ、医療費の高さと関連する。ミズーリ大学医学部保健政策センターの新しい報告書は、ヘルスリテラシーが患者と医療提供者の両方にとって利益があることを強調する。この報告書は最近NASEMのヘルスリテラシー円卓会議で発表された。
(ヘルスリテラシーが高まったら嘘情報を売りたいメディアとインチキ健康食品業者が困る)

  • 雪男はもはやこれまで。研究が「イエティ」のDNAはクマのものだと発見

So much for the abominable snowman. Study finds that ‘yeti’ DNA belongs to bears
By Sid PerkinsNov. 28, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/11/so-much-abominable-snowman-study-finds-yeti-dna-belongs-bears
チベットやヒマラヤの登山者はイエティを恐れる必要はない−でもクマよけスプレーは持っていた方がいいかも。「雪男」とされる9つのサンプルのDNA解析の結果、8つはその地域の各種クマ由来であることがわかった。もう一つは犬。
Proceedings of the Royal Society B.

  • 中国で一人っ子であることは肥満リスクが高い:全国を代表する19487人の子どもからの知見

Increased obesity risks for being an only child in China: findings from a nationally representative study of 19,487 children
M.Li et al.,
Public Health, December 2017Volume 153, Pages 44–51
http://www.publichealthjrnl.com/article/S0033-3506(17)30229-9/abstract
中国では、特に都市部で、きょうだいがいる息子より一人っ子の息子の肥満リスクが高い
一人っ子の息子はテレビを見る、インターネット、放課後のスポーツ、家事時間が少ない
一人っ子の娘はきょうだいのいる娘より肥満リスクが高い
田舎の一人っ子の娘はきょうだいのいる娘より家事時間が少ない
(娘のほうはあまり大きな差ではないこと、テレビとインターネットは普通は多いほど肥満に関連することが多いのに逆になっていることなど、文化の問題が示唆される)

  • オピオイド死亡についての最大の研究が誰が最もリスクが高いかを明らかにする

Largest study of opioid deaths reveals who is at most risk
28-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/cumc-lso112217.php
最もリスクが高いのは慢性痛、精神疾患のある人
American Journal of Psychiatryに発表された13000人以上の過剰使用死亡者の研究。
CDCによるとオピオイド関連死は1999年の8048人から2015年の33091人に4倍になっている。

  • Clostridium difficile予防のためのカプセルと結腸内視鏡を使った便移植の比較

Comparison of fecal transplant using capsule vs. colonoscopy to prevent Clostridium difficile infection
28-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/tjnj-cof_1112717.php
JAMA。結論としてどちらも同程度に有効。カプセルのほうが不快感が少ないようだ。
(糞便移植の研究はどんどん進む。プロバイオティクスのほうはマイクロバイオームを前に立ちすくんでいるような状況だが、医療はメカニズムがわからなくてもとにかく効くというエビデンスが最も重要、ということを象徴するような事例でおもしろい。「効果があるというエビデンス」とは何か、を如実に示す。食品に○○が含まれるからどうこう、系の研究はエビデンスにはならないのだよ。)

  • インターネットで販売されているパフォーマンス強化薬物は不正確に表示されている

Performance-enhancing drugs sold via the Internet are inaccurately labeled
28-Nov-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-11/bawh-pds112717.php
選択的アンドロゲン受容体調節剤(SARMs)は表示されていないあるいは表示されている量とは違う
よく使われるタンパク同化ステロイドと比べて、より選択的なSARMsはボディービルダーやアスリートや兵士にとって魅力的に見える。しかしまだ開発途上の薬物でありFDAに認可されていない。オンラインでSARMsを含むと宣伝されている製品は含まないかもしれない。今週JAMAに発表された研究で、インターネットで購入できたSARM製品を調べた。
検索で販売されていたのは210製品だが多くは在庫なしなどの理由で実際に購入できたのは44製品。それらを分析したところ実際には23製品しか入っていない、表示されている成分と量があっていたのは18製品のみ、11製品は表示と量が違う、8製品は表示されている化合物が含まれない、3製品は表示されていない化合物が含まれる、4製品は有効成分はなにひとつ含まれない、など。
(何故開発中のものが買えるのか、使おうとするのか。違法だし危険だし。しかも誰かが違法使用で処分されるとそれがより売れるようになるという。)