食品安全情報blog過去記事

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その他

  • メルケルはグリホサートに賛成した農業大臣に「怒っている」

Merkel ‘angry’ with agriculture minister who voted in favour of glyphosate
‎2017‎年‎11‎月‎29‎日
https://www.euractiv.com/section/agriculture-food/news/merkel-angry-with-agriculture-minister-who-voted-in-favour-of-glyphosate/
Angela Merkelドイツ首相は政府の方針を破ってグリホサートの認可に投票した農業大臣を叱った。
Christian Schmidt農業大臣はメルケルと同じ保守党だが、直ちに社会民主党Barbara Hendricks環境大臣に呼び出されて信頼を裏切ったと非難された。
このことは大連立の更新について話し合いをしようとしていたメルケル保守連合社会民主党の関係を脅かし、近所のフランスにとっても残念だった。
(「3年以内にグリホサートより安全な代用品が使えるようになる」はずもないのだけど)

  • グリホサート:狂信者が真に望んだもの

Glyphosate: What the Zealots Really Wanted
Posted by riskmonger on November 28, 2017
https://risk-monger.com/2017/11/28/glyphosate-what-the-zealots-really-wanted/
EUがグリホサートの認可を5年更新した虚しい勝利を祝おう。科学はこの除草剤が市場にある最も安全なものの一つであることをますます明確にしていた。IARCを除いて全てでの規制機関や研究機関が一致して認めている。40年もの間農家は使ってきて、今は持続可能な農業のための手段として依存している。これを禁止するなんて馬鹿げたことだ。
では何故15年の更新ができなかったのか?科学は明確であるが科学や事実やデータの問題ではない。農家の問題でも、環境や消費者の問題でもない。なにかもっと大きなものである。
欧州委員会は30か月もこの申請に苦しんだ。グリホサートは規制の重大な時期を超えたが、狂信者達にとっては今後の運動の指標になった。彼らは本当は何を望んでいるのか?
EUの規制リスク評価プロセスの破壊
(略、グリホサート関連)
もし彼らがEUの規制リスク評価プロセスの破壊に成功していたら、代わりに何を提案するだろう?
市民科学リスク評価システムの制度化
活動家が要求しているのは全ての企業研究を排除し公的資金による研究を拡大するということである。最終的には市民科学の役割を増す。人々が科学的プロセスに参加すること自体は悪いことではないが市民や専門性のない人が研究を主導するのは困難なことだろう。市民科学は専門家の優れた知見を拒否するとされる。民主主義では人々のほうが専門家よりグリホサートの安全性に詳しいのだ。文字通り正気ではない。飛行機を飛ばすのに、飛行機会社の従業員は飛行機会社とお金の関係があるので信頼できないので無作為に選んだ一般人を信頼することなどしない。
狂信者の世界では、市民科学とは、特定のオーガニックロビー団体などの活動家が主導する。活動家の目的は全ての農業技術を禁止することで、その結果どうなるかについては全く気にしない。
グリホサートに関しては、専門家による明白な根拠、環境へのメリット、農家にとっての圧倒的価値にも関わらず、活動家達が目標達成のために、絶え間ないソーシャルメディアでの恐怖扇動キャンペーン、犠牲者の扇動、科学者や科学コミュニケーターへの個人攻撃、あからさまな捏造、ほのめかし、詐欺を行ってきた。これらは今後も繰り返されるだろう。
(いろいろ略)
私は今週ドイツで内分泌撹乱物質についての会議で話をする予定になっている。そこに活動家もいるだろう。遠慮はしない。戦いは続く。

Gluten intolerance is fake, study says
30th Nov 2017
https://www.thechronicle.com.au/news/gluten-intolerance-fake-study-says/3278445/
もしある人がセリアック病ではないがグルテン不耐だと主張するなら、多分それは間違っている、あたらしい研究が示唆する。新しい研究によると、人々がグルテン過敏症だと考えているものはグルテンとは何の関係もない。犯人はフルクタンかもしれない。59人に6週間、3種類の穀物バーを食べてもらった研究。

  • 科学者がグリッター(ラメ)の禁止を呼びかける、それは世界的ハザードだという

Scientists Call For Ban On Glitter, Say It’s A Global Hazard
November 28, 2017
http://newyork.cbslocal.com/2017/11/28/glitter-hazard-ban-scientists/
ニュージーランドのMassey 大学のTrisia Farrelly博士が主張する。
マイクロビーズと同様の環境汚染物質であり、マイクロビーズを禁止できたのだから、と。
飾りや化粧品、パーソナルケア用品など各種製品に使われている。

  • 科学コミュニティは気候変動デマへのアプローチを検討

Science community considers approaches to climate disinformation
American Institute of Biological Sciences
November 29, 2017
http://www.sciencecodex.com/science-community-considers-approaches-climate-disinformation-617389
人為による地球温暖化には圧倒的な科学的合意があるにも関わらず、一般人の理解との間には大きなギャップがある。BioScienceでオランダ生態学研究所Jeffrey A. Harveyらがその原因を検討している。気候変動否定論者のインターネット上のブログとその中で北極の氷やシロクマなどのトピックをどう使って誤解させているかを取り上げている。
気候変動否定論者のブログ45の解析を行って、その80%は根拠としてたった一人のブログに頼っていること、そしてのたった一人の著者は「独自に調べたりもと論文を読んだりしていない」ことを知った。その手のブログにはこのような専門性と根拠の欠如は普通で、他に研究者に対する個人攻撃や科学的不確実性の程度についての間違った主張もよくある。
これらに対抗するために、科学者は塹壕戦に参戦し、戦略的に戦う必要があると主張。

  • 妊娠中のビタミンDについての研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to research on vitamin D during pregnancy
November 29, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-research-on-vitamin-d-during-pregnancy/
BMJに発表された新しい研究で、妊娠中のビタミンDについての助言を導く根拠は不十分と報告された。
Imperial College Londonの産科臨床准教授Christoph Lees博士
我々は良い根拠無しに数年間、産科でほとんどルーチンにビタミンDを投与してきた。それに価値があるのかどうか立ち止まって考えるべきだ。そしてこの非常に包括的な論文は、価値がないことを示唆する。
ビタミンDが役にたつ可能性があるのは乳児くる病であるが、予防効果はないことがわかった。我々はビタミンDで何を予防しようとしていたのかを慎重に考える時期である。

  • オピエートによる死亡は深刻な対応を要求する

Natureエディトリアル
Opiate deaths demand serious action
29 November 2017
https://www.nature.com/articles/d41586-017-07657-z
米国の鎮痛剤依存と過剰使用の流行は広範な対応を必要とする
(医師の過剰処方を非難するのは簡単だが、患者が欲しいと言うのを拒否するのは難しかっただろう、と。なにしろ「効く」ので。不十分な情報で消費者に判断させて本人が望んだのだという、なんて悪徳商法だと思うんだが。知らない人は自分が知らないということを知らない)

  • マラリア症例の増加が再興の恐怖の口火を切る

Natureニュース
Rise in malaria cases sparks fears of a resurgence
Amy Maxmen 29 November 2017
https://www.nature.com/news/rise-in-malaria-cases-sparks-fears-of-a-resurgence-1.23046
WHOによると、マラリアとの戦いは失速している
11月29日に発表した報告で2016年には多くの国でマラリア患者が増加した。マラリアのデータは多くの国で正確ではないがこの傾向に多くの研究者は懸念している。WHOは資金を原因にあげている。他治療薬に耐性のマラリアの拡大、紛争や自然災害。

  • 統計を修正する5つの方法

Natureコメント
Five ways to fix statistics
28 November 2017
https://www.nature.com/articles/d41586-017-07522-z
科学をより良いものにするために、薦められることを影響力の大きい統計学者に尋ねた。問題があるのは数学ではなく我々自身。
JEFF LEEK:人間の認知を調整する
BLAKELEY B. MCSHANE & ANDREW GELMAN:「統計学的有意」を捨てろ
DAVID COLQUHOUN:偽陽性リスクについても記述する
MICHÈLE B. NUIJTEN:解析計画と結果を共有
STEVEN N. GOODMAN:内側から常識を変えよ

  • 今年の画期的ニュースを選んで

Scienceニュース
Choose your breakthrough of the year!
By Science News StaffNov. 27, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/11/choose-your-breakthrough-year
今年もまたこの季節。“Breakthrough of the Year”に投票を。12月3日まで。