食品安全情報blog過去記事

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その他

  • Q&A:日本の医師が反ワクチン活動家との戦いで受賞

Scienceニュース
Q&A: Japanese physician snares prize for battling antivaccine campaigners
By Dennis NormileNov. 30, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/11/qa-japanese-physician-snares-prize-battling-antivaccine-campaigners
子宮頸がんワクチンを弁護して反ワクチン団体から批判されている日本の医師でライターのRiko Muranakaが国際賞を受賞した。
ロンドンで本日「公衆の関心であることについて、困難と敵意に直面しながらも科学と根拠を推進した」ことについて2017 John Maddox 賞を受賞し、ScienceInsiderがインタビューした。

John Maddox 賞はsense about scienceがやっているもの。
2017 John Maddox Prize
http://senseaboutscience.org/activities/2017-john-maddox-prize/
科学のために立ち上がるStanding up for Scienceことを推奨する賞
候補者は25ヶ国100人だった。
協賛がNatureなのにScienceがインタビューしているところとか、日本の「反ワクチン運動の成功」が世界的に注目されているかを示す。
日本産婦人科学会長のコメントもある

  • 保健機関は途上国のニセ医薬品の惨状を明らかにする

Natureニュース
Health agency reveals scourge of fake drugs in developing world
Barbara Casassus 29 November 2017
https://www.nature.com/news/health-agency-reveals-scourge-of-fake-drugs-in-developing-world-1.23051
WHOのデータは貧しい国の医薬品の約10%はニセ物あるいは質の悪いものであることを示唆
最も多く報告されているのはマラリアの薬や抗生物質であるが、がんや心臓病、HIV、避妊薬、鎮痛剤にまで及ぶ。
報告されているのは氷山の一角に過ぎないだろう。

  • 中国は安全上の懸念にも関わらず伝統薬の規制を後退させる

China to roll back regulations for traditional medicine despite safety concerns
David Cyranoski 29 November 2017
https://www.nature.com/news/china-to-roll-back-regulations-for-traditional-medicine-despite-safety-concerns-1.23038
科学者は何世紀も前のレメディの臨床試験を止める計画は人々をリスクに晒すと恐れる
習近平国家主席は伝統的中国医薬品を中国の科学的遺産の「宝石」と呼び、西洋薬と代替療法に同等の政府の支援を与えると約束した。今回、研究者の懸念にも関わらず劇的な促進に歩を進めた。
来年早期以降、伝統的中国医薬品(TCM)は中国ではもう人での安全性と有効性に関する試験にパスする必要はない。伝統的組成に従っている限り、そのようなお金と時間のかかる試験をしなくていいことを意味する。当局が認められる処方のリストを作る。
中国政府は高価な西洋薬の代用品としてTCMを強力に薦めてきた。中国伝統医はこの新しい政策を歓迎している。しかし科学者はこの業界には安全上の懸念が蔓延していて、臨床試験を最小限にするということは患者のリスクをさらに高くすると言う。9月23日には中国FDAが二つの注射用TCMのバッチを患者10人が熱と寒気を覚える病気になったためにリコールした。さらに10月18日にはシンガポールと台湾の研究者らが肝臓がんとTCMに広く使われている成分のアリストロキア酸との関連を示す研究をScience Translational Medicineに発表した。アリストロキア酸は尿路とがんと腎障害とも関連する。米国FDAの警告にも関わらず、まだよく使われている。
香港大学中医学部長のLixing Laoは人々が毎日アリストロキア酸を含むレメディを摂っているのを見ているが「病気治療のためにほどほどに摂っていれば」問題をおこすはずはないという。Laoは「西洋薬と違ってこれらのハーブ処方は何千年も使われてきた」のだから安全性を心配しない。
しかしTCMの批判者として有名なHarbin子ども病院の小児外科医Li Qingchenは、細菌のリコール事例は現在の安全性対策が適切ではないことを示す、という。医師は人々にTCMに関連する危険性を伝える必要があるが、多くは言いたくない。TCMを敢えて批判しようとする医師はほとんどいない。政府のプロモーションは科学者の批判を困難にするだろう。
政府が代替療法業界を強力に支持することにしたため、インターネットで有効性に疑問を提示する投稿は速やかに削除されている。10月23日に、医療系ニュースサイトに掲載されたアリストロキア酸のリスクに注意という記事が削除された。これまでも中国ではTCMに関する議論は抑制されてきた。昨年北京のシンクタンクである国務院発展研究センターが、ツキノワグマの胆汁抽出は禁止するよう提案し、有効性に疑問を提示し合成の代用品を示唆した。この報告をTCM支持の中国TCM協会が批判し謝罪を要求した後、報告書が削除された。
TCM規制を緩和するだけではなく、政府はTCM医になって開業することも簡単にする。2017年7月以降伝統医学を学ぶ学生は医師国家試験に合格する必要がなくなった。そして中国FDAからの認可なく開業できる。
中国政府の目標は2020年までに全ての医療機関でTCMを提供することである