食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 検診はオランダの乳がん死亡減少に「ほとんど影響しない」

Screening has had 'little impact' on falling breast cancer deaths in the Netherlands
5-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/b-shh120417.php

オランダのマンモグラフィー検診の有効性と過剰診断:集団ベースの研究
Effectiveness of and overdiagnosis from mammography screening in the Netherlands: population based study
BMJ 2017;359:j5224
http://www.bmj.com/content/359/bmj.j5224
オランダの女性は1989年以降50-69才、1997年以降70-75才に拡大して二年ごとにマンモグラフィ検診に招待される。その計画は、進行性乳がんの疾病負担にはほとんど影響せず、つまり乳がん死亡率にはあるかないかの影響しかないが、検査で検出された乳がんの約半分は過剰診断であろう。
時代とともに徐々に過剰診断が増加していることがオランダの生涯乳がんリスクの増加の主要要因である
(さらっと重要なことを言っているのだが。乳がんの増加って本当なのか、という)

デジタル機器で検出された乳がんは多分過剰診断
Digitally detected breast cancers probably overdiagnosed
Dec 6 2017
http://www.afr.com/business/health/how-new-screening-technology-helps-but-also-harms-women-with-breast-cancer-20171205-gzywq6
Widespread screening for breast cancer didn't do much to save women's lives, study finds
http://www.latimes.com/science/sciencenow/la-sci-sn-breast-cancer-screening-20171205-story.html
(過剰診断についてかなり報道されている)

  • 大気汚染は高齢者の運動の良い健康影響を台無しにする

Air pollution cancels positive health effects of exercise in older adults
5-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/du-apc120417.php
The Lancet。60才以上の高齢者119人に昼間ロンドンの街中二ヶ所、ハイドパークの比較的静かな場所か交通量の多いオックスフォード通りを2時間歩いてもらうという実験をした。散歩の前後に肺機能を測定している。

  • 新しい報告書:欧州科学アカデミーは食糧と栄養の安全保証に緊急対策を呼びかける

New report: European science academies call for urgent action on food and nutrition security
5-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/eas-nre120417.php
欧州は気候変動と健康のために食生活を変える必要がある
130の科学アカデミーによる世界アカデミー間協力の一環として、全欧州の科学者が、食品と栄養と農業と健康の将来について2年間の包括的解析を行った
欧州アカデミーの科学助言評議会(EASAC)が本日報告書を発表した。
全ての国が直面している課題として、あらゆる形の栄養不良−栄養不足から肥満や過体重まで−対策がある。これらの地域的でもあり世界的でもある、分野横断的な相互に関連した問題の解決には研究と革新が中心で、政策は根拠に支えられなければならない。
気候変動はフードシステムに負の影響を与え、干ばつ対応植物の交配などの気候に適応した農業を必要とするだろう。農業同様食生活も持続可能性に寄与する。カロリーや肉の食べ過ぎなどの食生活を変えることは健康と気候の両方に利益があるだろう
家畜部門の温室効果ガス緩和対策が重要問題。
伝統的動物由来タンパク質源の代用品には海産物、人工肉、昆虫が含まれる
欧州はゲノム編集、精密農業、大量データの使用、の導入に立ち止まるべきではない
報告書
https://drive.google.com/file/d/1ZN4iwd-Af3JAGcJ8C2TxAWE-jr1vvQ8a/view
でも農業委員会の技術革新や将来のための政策提案は欧州議会で否決されている、と。
世論調査では研究や技術開発や途上国支援は支持されても、個別課題が政治問題になった時に欧州議会がやっていることはその逆。食生活を変えるというのもなかなか難しいだろうが。)

Consumption of plant food supplements in the Netherlands.
Jeurissen SMF et al.,
Food Funct. 2017 Nov 29. doi: 10.1039/c6fo01174h. [Epub ahead of print]
ハーブやその他植物成分を含む食品サプリメント(PFS)の使用が増加している。PFSは有毒物質を含む可能性があり健康リスクとなる。健康リスクを評価するためには摂取についての情報が必要だがオランダにそのようなデータはない。ここでは子どもを含むいくつかのサブグループで摂取を調べた。最初にオランダ人口集団を代表する75100人のスクリーニング調査を行い、次に8つのサブグループで739人のPFSユーザーでメイン調査を行った。オランダ人のPFS使用者は男性で約10%、女性で17%、子どもで13%であった。多様なPFSが使用されていて345の異なる植物を含む約600のPFSが報告された。最も多かったのはエキナセアイチョウクランベリー、ニンジン、藻類(スピルリナクロレラ)。薬物との相互作用を含めてPFSのリスクを評価することが重要である。