- EU離脱後に英国が米国と貿易協定を結んだら「汚い」シチメンチョウのリスク
Risk of 'dirty' turkey after Brexit if UK strikes a US trade deal
17-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/cul-ro121417.php
EUでは使用が認められていないが米国では使える4つの殺菌剤が使われたシチメンチョウが輸入されるようになるかもしれない、という説明資料を3大学の学者が発表した。ペルオキシ酢酸、二酸化塩素、酸性亜塩素酸ナトリウム、リン酸三ナトリウム。殺菌剤を使うことを認めるのではなく、衛生水準向上で病原体を減らすことを続けるべき、と主張。
(アメリカは汚い物に殺菌剤を使うことで誤魔化していると言いたいらしいが、殺菌剤の効果ってそんなに強力ではないと思うけど。普通に鶏肉は加熱して食べよう。
著者はこういう人でhttp://www.sussex.ac.uk/profiles/1836、EFSAがアスパルテームの評価でRamazziniの研究を信頼できないと判断したのに企業がお金を出した研究を採用したのは許せない、と言っちゃうような人なので科学の専門家ではない)
- 研究が殺虫剤のミツバチへの影響を検討する
Study examines insecticide's effects on honey bees
19-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/w-sei121917.php
EPAと協力して行った大規模研究がEnvironmental Toxicology & Chemistryに発表された。チアメトキサム処理種子による花粉や蜜の残留濃度ではミツバチに害はなくコロニーの生存に影響ない。Syngentaの研究。
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新しいデータはジャンクフード、エネルギードリンクが十代に特有のリスクとなるかもしれないことを示す
New data shows junk food, energy drinks may pose unique risks for teens
18-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/ts-nds121117.php
奇形学会Teratology Societyの新しい特集号Birth Defects Research: The Teenage Brainにおいて十代の脳の発達に影響する特有のリスクについて検討している
(雑誌の表紙は生命医学アート専門のイラストレーターThomas Nowackiによるイラスト)
- 公衆衛生と環境のために有毒化合物を規制する:PLOS Biologyコレクション
Regulating toxic chemicals for public and environmental health: A PLOS Biology collection
18-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/p-rtc121217.php
「環境の健康の課題:根拠と規制のギャップを無くす」と題した、NIEHSのLinda Birnbaum所長とPLOS BiologyのLiza Grossによる論文コレクション
(環境活動家Liza Grossの面目躍如といった特集。これまでの規制では子どもの発達の特異的時期にほんの短時間の暴露で出る影響についてはほとんど考慮されていないので有害物質はゼロを目指すべき、子どもの近くで農薬は使うな、と。鉛やラドンのような天然物にも一応言及しているが、ゼロにできない場合どうするかは考えない、らしい)
- 高齢になってからの認知症を予防することが証明されている介入はない
No interventions proven to prevent late-life dementia
18-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/acop-nip121217.php
Annals of Internal Medicine。運動、医薬品、OTCビタミンやサプリメント、認知訓練介入などについての研究をレビューし、ほとんどが効果はみられなかった。
- 我々は調査ではネガティブな感情を過剰に言う、新しい研究が示す
We overstate our negative feelings in surveys, new research shows
18-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/nyu-woo121517.php
PNAS。ネガティブな感情や症状は最初に誇大申告しやがて落ち着く。症状や気分の表現を含む調査の結果を解釈するのにはこのバイアスの程度を理解することが必須である。
- 子宮頸がんの診断と死亡は高齢女性で急増するだろう
Cervical cancer diagnoses and deaths to rocket in older women
18-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/qmuo-ccd121817.php
The Lancet Public Healthに発表されたQueen Mary University of Londonの研究によると、若い女性の子宮頸がんは2040年までに75%減少し死亡はほとんどなくなるだろうが、高齢女性はより大きなリスクに直面するだろう。この研究にはがん検診の受診率の変化やHPVワクチンカバー率の影響を含む。1991年以降に生まれた英国人女性は2008年のHPVワクチン導入の恩恵を受けてほぼ子宮頸がんでの死亡はなくなるだろう。50-54才の女性は50%、60-64才の女性では54%がんが増えるだろう
- 卵アレルギーの人のインフルエンザ予防接種に特別な予防措置は必要ない、とガイドラインは言う
Guidelines say no special precautions needed for flu shots for people allergic to eggs
19-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/acoa-gs121317.php
アレルギーのない人よりリスクが高いことはない
更新ガイドラインを米国アレルギーぜんそく免疫学会(ACAAI)の発行する雑誌Annals of Allergy, Asthma and Immunologyに発表。卵アレルギーのある人も毎年インフルエンザの予防接種を受けるべき。
- 殺虫剤と栄養不良が動物の健康に傷害を与える
Pesticides and poor nutrition damage animal health
19-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/uoc--pap121817.php
ミツバチの生存に複合影響を与えることを示した初めての研究
Proceedings of the Royal Society Bに発表
(普通にanimalという単語を見たときにミツバチを想像するものだろうか。菜食主義業界と動物用医薬品業界ではミツバチはanimalだけれど)
- 加齢を遅らせることにおいて、カロリー制限と制限食はヒト研究の強力な研究ツールになった
In delaying aging, caloric restriction becomes powerful research tool in human studies
19-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/tgso-ida121917.php
The Journals of Gerontology, Series A: Biological Sciences and Medical Sciencesの最新特集号はカロリー制限と制限食。
(アメリカ人は食べ過ぎだからなぁ)
- 虫がよくある作物のカビに恐ろしい毒素を作らせているのかもしれない
Scienceニュース
Bugs may be causing a common crop mold to produce a deadly toxin
By Roni DenglerDec. 19, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/12/bugs-may-be-causing-common-crop-mold-produce-deadly-toxin
食物を汚染するアフラトキシンは子ども達の発育や成長を遅らせ、肝臓がんの原因となり、大量だと致死的である。この毒素はコメやトウモロコシ、ナッツなどの作物につくAspergillus flavusというよく見られるカビが作る。しかしこれらのカビの一部しか毒素を作らない。今回研究者らは昆虫がA. flavusのアフラトキシン合成に拍車をかけることを示し、世界の食糧供給からこの毒を排除する方法を示唆した。
アフラトキシンはヒトの健康影響に加えて家畜にも影響し米国だけで年間2億7000万ドルの農業上の損失の原因と推定されている。途上国ではそのコストはさらに高い。
またこの毒素をつくることはカビにとっても負担になっているようだ。A. flavusの2/3以上がアフラトキシンを作るため、研究者はこの毒素がカビにとって何らかの役にたつ理由があると考えている。
どうして一部のA. flavusだけがアフラトキシンを作るのかを知るため、コーネル大学の植物病理学者Mickey Drottらはショウジョウバエを観察した。このハエとカビは同じ植物を食べて繁殖に使う。ハエの幼虫はしばしばカビも食べる。そこで研究者はカビが昆虫から自分自身と自分の食糧を守るためにアフラトキシンを作るのではないかと考えた。
最初の実験でDrottらはこの毒素がカビを昆虫からまもるらしいことを確認した:幼虫の食べものにアフラトキシンを加えるとウジ虫が死んでカビが繁殖した。しかしカビが生長するのは幼虫がそばにいるときだけで、幼虫がいないとカビは生長しなかった。真菌の有毒系統もまた虫がいないときよりそばにいるときの方がより増殖した。Proceedings of the Royal Society Bに発表した。そして真菌は虫がそばにいないときよりそばにいる時のほうが多くの毒素を作った。これらのことはすべて、虫がいるとアフラトキシンもあることを示唆する。
しかし野外ではショウジョウバエが真菌と相互作用することは希である−アメリカタバコガの幼虫のような害虫のほうがより大きな脅威である。従ってこれらの結果が現実世界にどのくらいあてはまるかは明確ではない、とドイツのブレーメン大学の進化生態学者Marko Rohlfsは言う。「野外条件を模倣したモデル系が緊急に必要である」。
それでもDrottはこの仕事は昆虫との相互作用を探ることが毒素対策のために進むべき方向であることを示唆する、という。現在のカビへのバイオコントロール戦略のひとつは、毒を作らないカビを畑に撒くことで毒性のあるカビの余地をなくすことを目指しているが、Drottらの仕事は昆虫にも注意を払うべきかもしれないことを示す。
(虫くっているとカビが多い、というのはみんな知っていると思う。ただそれは植物が傷ついたせいで病気にかかりやすくなって、みたいな説明だったような。植物を弱らせるだけではなくてカビを元気にする、というのもあるのか。)
- 搾取的雑誌の増加に関係者はどう対応できるか
How stakeholders can respond to the rise of predatory journals
Manoj Mathew Lalu et al.,
Nature Human Behaviour 1, 852–855 (2017)
http://www.nature.com/articles/s41562-017-0257-4
搾取的雑誌は世界的に、全ての科学分野を汚染しますます大きな問題になっている。これらの非正統的雑誌の影響を止めるために、全ての関係者(研究者、研究所、出資者、規制担当者、患者)による協調対応が必要であろう。
(とりあえず日本の場合は機能性表示食品の根拠論文にPubMedにインデックスされていない雑誌は認めない、ということをやらないとダメだと思うよ。もう手遅れだろうけど)
- ISBR刷新提案
A Plea for the Renewal of the ISBR
Giovanni Tagliabue et al.,
Trends in Biotechnology
http://www.cell.com/trends/biotechnology/fulltext/S0167-7799(17)30283-4
国際バイオセーフティ研究学会(ISBR)の最近の会合でいわゆる遺伝子組換え生物が議題になった。何十年にもわたって、ほとんどの規制枠組みにおいて、組換えDNA改変生物はバランスの悪い農業食料規制として間違って注目されてきた。ISBRはそうではなくて化学的に正当化できる、真にリスクに基づいた展望を採択し、誤解を招く疑似分類を止めるべきである。
(規制対象となる「遺伝子組換え」の定義が時代遅れになっている)