食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

その他

  • 2017年に最も議論された研究は何?

Scienceニュース
What were the most discussed studies of 2017?
By Jon CohenDec. 21, 2017
http://www.sciencemag.org/news/2017/12/what-were-most-discussed-studies-2017
あなたが食べる脂肪の量を制限することが心疾患や死亡リスクを減らさないかもしれないことがわかった。
ロンドンにある今年のトップ100論文を発表している会社Altmetricによると、このLancet論文が最も多く議論されたものだった。Altmetricのランキングはオンラインでどれだけ話題になったかに基づく。
他のエントリーは以下から
https://www.altmetric.com/top100/2017/#list

  • 異例な動きでインドの年次科学会合延期

In an unusual move, organizers postpone India's major annual science conference
By Pallava BaglaDec. 22, 2017 ,
http://www.sciencemag.org/news/2017/12/unusual-move-organizers-postpone-indias-major-annual-science-conference
インドの科学年次会合の主催者が、開始数日前に延期した。これは大学の学生達が開会宣言する予定だったNarendra Modi総理大臣に抗議するだろうという懸念を受けてものである。
1月3日から5日間開催予定だった第105回学会は1万人以上の科学者が参加してHyderabadのOsmania 大学で予定されていた。しかし主催者は12日前に「キャンパスでのある種の問題により」無期限延期を発表した。
主催者は12月27日に新たな予定日について話し合うという。

  • 恐ろしいウイルスが欧州のブタとイノシシを脅かす

Deadly virus threatens European pigs and boar
Erik Stokstad
Science 22 Dec 2017:
Vol. 358, Issue 6370, pp. 1516-1517
2013年にリトアニアベラルーシ国境の監視を強化したとき、心配したのは兵士や戦車ではなく、アフリカブタコレラAfrican swine fever (ASF)であった。リトアニアの国境監視員はトラックに殺菌剤をスプレーし、野生生物研究者は動物の忌避剤や囲いの実験をし、当局は20kmのサーベイランス区域を設けた。しかし無駄だった。2014年1月に国境のリトアニア側にASF陽性のイノシシの死体2頭が発見された。それ以降西の方向に進んできていてEUが警戒を高めている。
ASFはバルト海諸国とポーランドを飲み込み、この夏は突然チェコ共和国の野生イノシシに発見された。11月にはワルシャワに出回り、ドイツやデンマークのようなブタ生産国が警戒を高めている。
ASFは1921年に東アフリカで初めて報告され、ヒトには害はないがブタでは内出血と肺に水がたまって90%を殺す。感染がみつかった群れは屠殺しなければならない。ウイルスは病気の動物の分泌物で感染し、労働者の衣服や靴や干し草で長期間生存する。
20世紀の間にサハラ以南のアフリカではASFはますますよく見られるようになり1957年には欧州に到達した。その後のスペインでのアウトブレイクを収束させるのに35年かかった。
(地図等詳細情報有り)

  • 未来がやってきた今のSF

Natureアートと本
Science fiction when the future is now
20 December 2017
https://www.nature.com/articles/d41586-017-08674-8
アルファ碁、フェイクニュース、サイバー戦争:2017年はSFが現実のものになったかのようだ。この時代にSFはどこへ行く?6人のSF作家(Lauren Beukes, Kim Stanley Robinson, Ken Liu, Hannu Rajaniemi, Alastair Reynolds および Aliette de Bodard)にNatureが尋ねた

  • 2日酔いの薬についての真実

The Truth About Hangover Remedies
December 25, 2017
http://www.berkeleywellness.com/self-care/over-the-counter-products/lists/the-truth-about-hangover-remedies/slideid_4085
人類は長い間2日酔い−アルコールを飲み過ぎた後の各種症状−の対処方法を探してきた。古代ローマのPliny the Elder(プリニウス)は生のフクロウの卵や揚げたカナリアを薬と示唆し、モンゴル人は羊の目玉を食べた。現在でも人々は卵やお茶やバナナやサプリメントから、さらにアルコールを飲むまでのあらゆることをやっている。もちろん、2日酔いにならない最良の方法は飲み過ぎないことだが、たまに飲み過ぎてしまったら、その治療法とされる7つの方法の背景にある科学をここに示そう。
1.カフェイン 飲酒後に試してみるのはいいかもしれないがお酒と混ぜるのは止める
2.炭水化物の多い刺激の少ない食品 2日酔いに伴う低血糖に有効かもしれない
3.迎え酒 しないように
4.鎮痛剤 2日酔いに伴う頭痛などに役にたつかもしれないが消化器症状は悪化させる可能性がある
5.明るい色の飲料 ほどほどに
6.ダイエタリーサプリメント 使わないこと
7.2日酔い対策飲料 使わないこと
注意:2日酔いを止める唯一の証明されている方法はまず飲み過ぎないこと。もし飲み過ぎたら、たくさんの水を飲む。

  • 科学者が発見した反ワクチンのマインドを変える一つのこと

Here's The One Thing Scientists Have Found Will Change Anti-Vaxxers Minds
FIONA MACDONALD
24 DEC 2017
https://www.sciencealert.com/here-s-the-one-thing-that-will-change-anti-vaxxers-minds-according-to-science
予防接種反対派の出会うのはフラストレーションが溜まる。反ワクチンの人がその他のことについては論理的で教育レベルも高いとさらに悪い。ピアレビューのあるエビデンスは彼らの気持ちを変えない。
しかし研究者は方法があるという。しかもそれはワクチンの安全性を主張することではない。実際のところ事実で殴っても彼らはますます信念を強くするだけだ。言い方を変えると、ワクチンに水銀が入っていなくてもたくさんの研究で自閉症MMRに関連がないことがわかっても問題ではない。しかし2015年の315人を対象にした研究では効果のある戦略を示した。反ワクチン派を3群に分け、三つのアプローチを行った。
・CDCのワクチン安全性に関する事実を提示
・鳥の餌についての関係のない文章を読ませる
・ワクチンで予防できる病気になった写真とはしかで息子を亡くしそうになった人の体験談
鳥の餌群は対照群だが、驚くべきことにCDCの文章と同じ効果があった−つまり何の影響もなかった。しかしはしかと天然痘の画像と物語はワクチンの見解を変えた。何故予防接種が必要なのかに集中することが強力な武器になる。反ワクチンの人たちは子どもの安全のために予防接種をしないことを選んでいる、それは子どもの安全のために予防接種をする親と同じである。しかし最近の研究はこの二つのグループの動機付けをする倫理観は相当違うことが示された。反ワクチンの人にとって重視すべきは自由と純粋である。国が人々の人生に関与することを嫌う。
間違った信念を修正しようとするのは忘れて、予防接種のポジティブな面と予防できる病気について集中しよう。

  • 緑の葉物野菜を食べることと記憶や思考力の低下率を調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at eating green leafy vegetables and rate of decline of memory and thinking skills
December 20, 2017
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-eating-green-leafy-vegetables-and-rate-of-decline-of-memory-and-thinking-skills/
Neurologyに発表された研究で緑の葉物野菜を食べることと脳の加齢速度の遅さに関連があるかどうかを調べた
アルツハイマー学会研究部長James Pickett博士
野菜を食べることがあなたの健康によいというのは秘密ではない。この研究は、ほうれん草やケール、アスパラガス、芽キャベツなどのビタミンKの多い食品を食べると、加齢に伴う認知機能の低下速度が遅いように見えることを発見した。研究者らは直接認知症を調べたわけではないのでこの病気への影響はわからない。しかしビタミンKの多い食品を一日1-2回分食べている高齢者は、そうでない人に比べて記憶テストの結果が良かった。彼らの点数は、肥満や高血圧や教育レベルに関係なく11才若い人たちと同程度だった。
心臓に良いことは頭にも良い。必須栄養素を多く含む健康的食生活は、運動と禁煙と組み合わせて、認知症リスクを減らすだろう。だからクリスマスには緑黄色野菜を!
Exeter大学臨床疫学上級研究フェローDavid Llewellyn博士
これもまた食事と認知研究の関連についての研究である。いつでも問題は関連が因果関係と同じではないと言うことだ。しかし「緑の野菜を食べよう」はあなたの健康に良いだろう。
Alzheimer’s Research UK研究部長Sara Imarisio博士
野菜や果物は栄養のあるバランスのとれた食生活の重要成分であるが、統計からは多くの人が1日5単位を食べるのに苦労している。我々の全体的身体的健康をサポートすると同様、この研究は野菜の多い食事の健康な脳との関連についての根拠も加えた。
特定の栄養素や特定の食品が特に記憶に重要かどうかについてはわからない。この研究は緑の葉物野菜が他の野菜より脳の健康に良いことは示していない。
健康的な食事以外に脳の健康によい多数のライフスタイル要因が指摘されている、禁煙、精神的身体的に活動的、血圧とコレステロール維持、そしてほどほど飲酒である。