食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 砂糖入り飲料税とアルコールの販売を調べた研究への専門家の反応

SMC UK
expert reaction to study looking at tax on sugary drinks and alcohol sales
January 23, 2018
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-tax-on-sugary-drinks-and-alcohol-sales/
Journal of Epidemiology & Community Healthに発表された経済的解析で、研究者らがソフトドリンクの価格を上げることがアルコールの購入パターンを変化させる可能性を報告した
Sheffield大学Sheffieldアルコール研究グループアルコール政策准教授John Holmes博士
この論文は砂糖入り飲料の価格を上げることがアルコール飲料の販売に影響する可能性を示唆する。これは妥当な結論であるが、ある種のアルコール飲料の販売は増え一方別のもの種類は減ると推定されているので実際の影響を理解するのは困難である。さらに中程度の砂糖入り飲料の価格の増加は砂糖の多いあるいは少ない飲料の価格の増加の影響とは逆のように見える。全体的影響について判断するには現時点で入手できる情報は不十分である。この情報からはプレスリリースの見出しは「ソフトドリンクへの砂糖税は飲酒に影響するかもしれない」だろう。
Glasgow大学代謝医学教授Naveed Sattar教授
この論文には多くの推定が含まれ、他の飲料への支出が変わる可能性があるというのは正しいが、現実に何がおこるのかを予想することはできない。何もしないという選択肢はない。何かをしたらその結果をみてそれをもとにさらに研究する。またスコットランドではアルコールの最低価格も関与するため、境界付近への影響は妥当ではないだろう。
登録栄養士Catherine Collins
これは2012-13年の約32000の英国の家庭の「自宅に持ち帰った飲料」へのKantar World Panel支出情報をもとにモデルを作った予想である。仕事中のお茶や通勤途中でコーヒーショップに寄った時や仕事の後や外食時の飲み物は含まれない。また5年前のデータが将来の購入習慣を予想できるだろうか?
Kantar World Panelデータは収入への割合で飲料購入が表現されている。これは簡単に「低所得の家庭は高所得の家庭より砂糖入り飲料を多く消費している」と間違った解釈をされる。同じ額でも所得が高いと「使ったパーセンテージ」は小さくなる。また使った費用を飲んだ量/カロリーに翻訳することはできない。
(かなり略)

該当論文のプレスリリース
ソフトドリンクの砂糖税はアルコール摂取を増やす可能性
Sugar tax on soft drinks might drive up alcohol consumption
23-Jan-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-01/b-sto012218.php
Journal of Epidemiology & Community Healthに発表された研究。英国の家計支出調査データに基づく。

  • しっかりした研究には多くの系統の根拠が必要

Natureコメント
Robust research needs many lines of evidence
23 January 2018
Marcus R. Munafò & George Davey Smith
https://www.nature.com/articles/d41586-018-01023-3
再現性だけでは十分ではない。三角測量について述べる
多くの分野に渡るいくつかの研究で、発表された論文の約40%程度しか再現性はないだろうと推定されている。多くの出資者やコミュニティが第三者による再現実験を推進している。この努力は称賛すべきだが十分ではない。研究がもともと歪んでいるときにはそれを再確認するのは間違いあるいは偏ったことになる。例えば蛍光タンパク質を使って細胞の活性を調べるよく使われる試験方法で、もし細胞に操作を加える化合物自身に蛍光があれば、結果が再現できてもしっかりした結論にはならない(事例引用有り)。
我々(著者)は科学の確実性を向上させる方法を推進することにキャリアの大部分を使ってきた。M.R.Mは再現性向上戦略にも関わってきた。しかし再現性だけでは足りない。ルーチンの再現では時に事態を悪化させる。一貫した知見は事実を確認したとみなされるので、もし実験デザインや分析法やツールが間違っていたら、逆効果である。
我々は間違った考え方から守るための必須の方法は三角測量だと信じている。これは一つの疑問に対して複数のアプローチを戦略的に使うこと、である。それぞれのアプローチには独自の想定や強みや弱点がある。異なる方法で一貫して結果が出たら、それがアーチファクトである可能性は低くなる。
それこそ科学ではなかったのか?多分そう。でも今日の過当競争に晒されている科学者たちはしばしば異なる方面からの根拠の必要性を見逃す。
この問題を適切に記述するのが2017年5月のがん研究者William Kaelin のコラムである。
(以下略。貧弱な根拠で誇大宣伝するのを躊躇わない大学広報って最早アカデミックではない)

  • Sour Gummies

Deliciously sweet & tangy!
https://iloveincredibles.com/brand/incredibles/gummy/sour-gummy/
昨日のニュースの大麻入りグミキャンディってこれか
こんなの子どもがお菓子と間違えるのは当然
グルテンフリーと宣伝していて何言ってるんだ、感。
医療用、と謳っているが簡単に処方箋が出るアプリがあるらしい

  • 製品レビュー:アップルサイダービネガー(リンゴ酢) ビン入り液体と錠剤

コンシューマーラボ
Product Review: Apple Cider Vinegar -- Bottled Liquids and Pills
Initial Posting: 1/20/18
https://www.consumerlab.com/reviews/apple-cider-vinegars-review/apple-cider-vinegar/
酢酸の量と重金属を調べた。液体は概ね質が高いが値段は相当違う。錠剤は酢酸含量が0.4%から30%以上とばらばらで一部は「毒」

Scienceニュース
Nobel laureate suggests he could resign from leadership post over colleague’s bogus paper
By Dennis NormileJan. 23, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/01/nobel-laureate-suggests-he-could-fall-sword-over-colleague-s-bogus-paper
山中先生の件が報告されている
記者の質問に答えて辞任の可能性を口にしただけで誰も辞めるとは思っていない、と書いてある。

  • 議会科学委員会の共和党員が、トップ環境健康科学者が反ロビー活動法に違反したと示唆する

Republicans on House science panel suggest top environmental health scientist broke antilobbying law
http://www.sciencemag.org/news/2018/01/republicans-house-science-panel-suggest-top-environmental-health-scientist-broke
PLOS Biologyに2017年12月18日、NIEHSのLinda Birnbaum長官が編集者と一緒に、その号で特集された米国の化学物質規制についての論文をまとめて、エディトリアルを書いた。その文章の終わりは「根拠と政治のギャップを埋めるためには、科学者と非科学者の両方からなる、参加する市民が、我々の政府に、最良の科学的根拠に基づく健康を守るための政策を成立させるよう働きかける必要があるだろう」となっている。
この声明が問題だとLamar Smith (R–TX)と Andy Biggs (R–AZ)議員がNIEHSの親組織であるHHS長官代理に1月17日の文書で主張している。Smithは議会の科学委員会議長、Biggsは環境小委員会議長である。Birnbaumが連邦の従業員が議会に対して特定の問題についてロビー活動をすることを禁止した反ロビー活動法Anti-Lobbying Actに違反した可能性があると書いている。
Linda Birnbaumは法違反はないと主張しそれに合意する法律の専門家もいる。

(これの件
Regulating toxic chemicals for public and environmental health: A PLOS Biology collection
18-Dec-2017
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2017-12/p-rtc121217.php
ロビー活動ではないだろうけれど中身はかなり微妙で「最良の科学的根拠」ではなく「疑われたら禁止せよ」、になっている)