食品安全情報blog過去記事

はてなダイアリーにあった食品安全情報blogを移行したものです

意見

  • ケイ素供給源として食品サプリメントに使用される新規食品成分オルトケイ酸-バニリン複合体(OSA-VC)の安全性とその供給源に由来するケイ素の生物学的利用能

Safety of orthosilicic acid-vanillin complex (OSA-VC) as a novel food ingredient to be used in food supplements as a source of silicon and bioavailability of silicon from the source
EFSA Journal 2018;16(1):5086 [19 pp.]. 5 January 2018
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5086
この科学的意見では、食品サプリメントのケイ素(Si)供給源として使用される新規食品成分オルトケイ酸-バニリン複合体(OSA-VC)の安全性とこの供給源に由来するSiの生物学的利用能を扱う。OSA-VCは、低pH値で安定な液体である。OSA-VCに由来するオルトケイ酸(OSA)には、生物学的利用能があり、それはボランティアに経口摂取させると血漿Si濃度が上昇したことにより示されている。現在審査中の申請の根拠として提出された毒性データは「食品添加物評価のための提出物作成ガイダンス」のTier 1要件に準拠していない。だが、OSA-VCがpH 6.8でオルトケイ酸とバニリンに解離することを考慮し、食品添加物及び食品に添加する栄養源に関する科学パネル(ANSパネル)は、この逸脱を正当なものとみなした。申請者が推奨する用量で毎日OSA-VCを摂取すると、サプリメントによるSi摂取量は約10〜18 mg/日となり、推定総Si摂取量は約30〜70 mg/日となる。OSA-VCの摂取に由来するバニリン摂取量は、最大でも、2002年に国連食糧農業機関/世界保健機関合同食品添加物専門家委員会(JECFA)が設定した許容一日摂取量(ADI)である10 mg/kg体重/日の5%に満たない。ANSパネルは、成人向け食品サプリメントのSi供給源としての使用を企図した新規食品成分OSA-VCに関し、提案された使用態様と使用量では安全上の懸念を生じないと結論付けた。ANSパネルは、OSAは、Siとして測定されているが、OSA-VCを摂取した後、生物学的に利用可能となり、その生物学的利用能は、OSA源として実証されている他の供給源に関する文献の報告値と同等であると結論付けた。

  • 七面鳥肥育用Monimax® (モネンシンナトリウムとナイカルバジンの合剤)の安全性と有効性

Safety and efficacy of Monimax® (monensin sodium and nicarbazin) for turkeys for fattening
EFSA Journal 2017;15(12):5094 [3 pp.]. 22 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5094
Monimax®は、最大使用量、すなわち完全飼料1 kg当たりモネンシンナトリウム50 mgおよびナイカルバジン50 mgにおいて、七面鳥肥育用に安全だと考えられている。安全性のマージンはおよそ1.5である。Monimax®と特定の抗生物質(チアムリンなど)との同時使用は禁忌であるナイカルバジン(ジニトロカルバニリド(DNC)と2-ヒドロキシ-4,6-ジメチルピリミジン(HDP)の等モル複合体)には、抗菌作用は無い。Monimax®に含まれる両化合物とも、代謝経路は、ニワトリ、七面鳥、ラットで相同である。Monimax®に遺伝毒性リスクは認められていない。ナイカルバジンに含まれる不純物であるp-ニトロアニリン及びメチル(4-ニトロフェニル)カルバメートも安全上の懸念を生じない。ウサギを用いたモネンシンナトリウムの発生・発達毒性試験における、最も低い無影響量(NOEL)は、母体毒性に関する0.3 mg/kg体重/日であった。DNC + HDPを用いたラットの52週間試験で確認された最も低い無毒性量(NOAEL)は、DNC 20 mg + HDP 8 mg/kg体重/日であった。毒性試験の結果から、モネンシンナトリウムとナイカルバジンは顕著な相互作用を示さないと考えられる。提案される最高用量でMonimax®を使用した場合でも、投与された肥育用七面鳥に由来する製品をヒトが摂取したことでリスクが生じることはない。七面鳥肥育の目的においてMonimax®に休薬期間は求められない。残留データは、モネンシンとDNCに設定された最大残留基準(MRLs)を満たしている。モネンシンナトリウムは、吸入の場合有害性があり、経皮毒性を示す可能性もある。Monimax®に皮膚刺激性は無いが、モネンシンの眼刺激性に関するデータは得られていない。Monimax®は皮膚感作性を示さない。得られたデータからは、動物用飼料に使用する添加物および製剤または物質に関する科学パネル(FEEDAPパネル)は、環境に対するMonimax®の安全性について、結論を導出できなかった。Monimax®は、完全飼料1 kg当たりモネシンナトリウム40 mgとナイカルバジン40 mgという最小濃度で、肥育期の七面鳥のコクシジウム病を抑制する効力を有する。

  • 鳥類、離乳仔豚、マイナー豚種離乳仔用飼料添加物としてのENZY CARBOPLUS® (エンド-1,4-β-キシラナーゼおよびエンド-1,3(4)-β-グルカナーゼの合剤)の安全性と有効性

Safety and efficacy of ENZY CARBOPLUS® (endo-1,4-beta-xylanase and endo-1,3(4)-beta-glucanase) as a feed additive for avian species, weaned piglets and minor weaned porcine species
EFSA-Q-2013-00528 [20 pp.]. 21 December 2017
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5097
ENZY CARBOPLUS®は、エンド-1,4-β-キシラナーゼとエンド-1,3(4)-β-グルカナーゼを含む添加物で、液体および固体の形状で得ることができ、これらの2酵素はKomagataella pastorisの別々の遺伝子組換え株から生産される。動物用飼料に使用する添加物及び製剤又は物質に関するパネル(FEEDAPパネル)は、これらの酵素産生株は安全であり、遺伝子に加えられた修飾も安全上の懸念を生じるものではないと結論付けた。FEEDAPパネルはまた、この添加物は推奨量で対象動物種に対して安全であり、飼料添加物としての使用しても消費者に問題を生じないと結論付けた。この添加物は、液体であっても個体であっても皮膚や眼に刺激性を示さず、皮膚感作性も無いが、呼吸器感作性を示す可能性があると考えられている。これらの菌株および組換えDNAは、添加物中には検出されなかった。さらに、この添加物の有効成分は、動物の消化管を通過する間に、あるいは環境中で、分解/不活性化されるため、FEEDAPパネルはこの添加物が環境への危害を引き起こすことはないと結論付けた。FEEDAPパネルは、この添加物は、肥育期の鶏には飼料1 kg当たり4,000キシラナーゼ単位と375グルカナーゼ単位の用量で、肥育期の七面鳥には飼料1 kg当たり1,400キシラナーゼ単位と120グルカナーゼ単位の用量で、離乳子豚には飼料1 kg当たり700キシラナーゼ単位と60グルカナーゼ単位の用量で、畜産用添加物として有効性を持つと結論付けた。FEEDAPパネルは、これらの結論を、育成期の産卵鶏や交配用に育成する七面鳥に、対応する設定用量を適用して拡大した。キシラナーゼやグルカナーゼの作用機序は、鳥類や各種の豚である程度相同であると考えられるため、FEEDAPパネルは、有効性に関する結論を産卵開始前までの全種類の鳥と全種類の豚に外挿した。データ不足により、産卵期のニワトリに対するこの添加物の有効性については結論を導出することができなかった。