食品安全情報blog過去記事

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論文

  • 規制のための発達神経毒性試験の革新、移行、履行の必要性についてのコンセンサス声明

Consensus statement on the need for innovation, transition and implementation of developmental neurotoxicity (DNT) testing for regulatory purposes
Toxicology and Applied Pharmacology
Available online 12 February 2018
Ellen Fritsche et al
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0041008X18300437
オープンアクセス、欧米規制機関多数
・子ども達の神経発達障害の有病率が増加している
環境化学物質による神経発達毒性(DNT)に関する情報は限られている
・脳の発達をかく乱する可能性のある化合物の評価には新しい枠組みが必要である
・in vitro DNTデータとin silicoアプローチを組み合わせて規制のために使うべきである
(この分野に関しては動物実験は時間もお金もかかるわりに結果が使いにくい)

  • 安いココアを化学でどう改善できるか(動画)

How chemistry can improve bargain hot cocoa (video)
20-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/acs-hcc022018.php
ACS動画シリーズ
安物のココアパウダーはみんなきらい。塊だらけでかすが残る。でもプレミアムホットココアミックスはちょっと高すぎる。幸いReactionsが台所の化学で安いココアを美味しくするコツを教える
(わりと普通のことだった。)

  • 我々の脳については、「正常」というものはない

When it comes to our brains, there's no such thing as normal
20-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/cp-wic021518.php
少し変わっていることは悪いことではない。Trends in Cognitive Sciencesに発表されたレビュー
(そんなに単純に何かの指標で白黒つけられないという話で、病気が存在しないという話ではない)

Low-fat or low-carb? It's a draw, Stanford study finds
20-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/sm-lol021518.php
ダイエットには低脂肪か低炭水化物かの議論について、どちらかが優れているということはない。減量に関してもインスリン濃度についても。JAMA。
18才から50才の609人の男女を低炭水化物か低脂肪食に無作為に割り付け、1年続けてもらった。12ヶ月間体重や体組成、インスリン濃度、1日の脂肪や炭水化物摂取量などを追跡し、研究終了時には平均13ポンドの減量だった。しかし個人差は大きく、60ポンド減った人もいれば増えた人もいる。しかしこの研究の仮説とは異なり、遺伝子のパターンやベースラインのインスリン濃度はどちらかのダイエットの成功と関連はなかった。著者らはマイクロバイオームやエピジェネティクスや遺伝子発現パターンなども検討し続けるが、最も重要な知見は多分減量のための基本は低脂肪でも低炭水化物でも同じであるということだろう、という。どちらの群でも最も減量した人に役立ったのは食品との関係を変えたことで、彼らは食べるものにより思慮深くなった。

Guidelines for fluoride intake -- Are they appropriate?
20-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/iaa-gff022018.php
過去70年、フッ素の適切な使用が口腔の健康を変えてきた。要因の一つがフッ素摂取に関してつくられてきたガイドライン類である。最近、何十年もの間薦められてきた長く使われてきたガイドラインに疑問を提示する研究者達がいる。Journal of Dental Research (JDR)の電子補遺Advances in Dental Researchにこの問題を扱ったシンポジウムの概要が発表された。かつては水だけが重要なフッ素の摂取源だったが、時代とともにたくさんの提供方法が増え虫歯の重症度も変わってきた

  • この種のものでは最大の研究が、認知症の最大のリスク要因は飲酒であることを発見

Largest study of its kind finds alcohol use biggest risk factor for dementia
20-Feb-2018
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-02/cfaa-lso022018.php
The Lancet Public Health。アルコール使用疾患が、全てのタイプの認知症の、特に早期発症の、最も重要な予防可能なリスク要因である。
この研究では特にアルコール使用疾患、アルコールの慢性有害使用が原因と考えられる慢性疾患や精神・行動疾患を含む、の影響を調べた。65才より前の早期認知症発症57000症例のうち、57%が慢性大量飲酒に関連した。WHOの慢性大量飲酒の定義は男性で平均1日60g、女性で40gのアルコール摂取である。
認知症早期発症には相当な性差がある。全体としては認知症患者は女性が多いが、早期発症認知症の64.9%は男性である