食品安全情報blog過去記事

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EUへの輸出向け動物由来食品の製造を統括するために運用されている管理システムの評価

http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=3948
欧州委員会 保健・食品安全総局(DG Sante)が2017年10月16〜26日に日本で行った査察の報告。査察の目的は、EUへの輸出向け動物由来食品(豚肉や鶏肉およびそれら由来の製品、鶏卵、卵製品、牛乳、乳製品)の生産に対して現在運用されている管理システムおよび諸証明手続きを評価することであった。それらのシステムが、そうした農産物の生産がEU法令が定める要件を満たして行われていることを十分に保証することができるかどうか、特に、関連のEUの衛生認証体系に盛り込まれている証明項目が満たされるよう支援することができているかどうかが調査された。
査察では全体として、システム運営組織が、公的管理の実施に十分な基盤を提供していると認められた。食品事業の公的管理の責任を負う所轄機関は明確に指定されており、管理および強制執行という観点から見て、その構造、組織および能力は、現行の任務の遂行に適格である。
EUへの製品の輸出に関連した特別な管理項目があり、それに基づいて日本はEUの認定国リストに加えられているが、公的管理のシステムは、現行では国内市場のための要件を第一に満たすためにデザインされており、今回の査察の対象である農産品の輸出に適用されるEUの要件は、今まで対象とされていない。査察団は、日本での実施態様においては管理と強制執行の有効性が不十分で、不備を検出して修正することができていないという、多数の事例を目にした。さらに、査察の時点では、核となる一連のEU要件が、日本の国内法や拘束力のある方策で対処できるようにされておらず、管理の実施が阻害され、効力のある管理や強制執行ができないようになっていた。
したがって、日本は、今回の査察対象の農産品に関するEUへの輸出要件を満たすことを目的としたシステムについて、初期の計画段階にあり、目下のところ、それらの農産品の輸出承認に必要な保証を提供できる段階にはない。
この報告書には、上述の農産品の承認と輸出を可能にする管理システムの開発を支援する日本の所轄機関に向けた助言が含まれている。
(昨日のとは別の査察。あわせて、日本からEUへの動物由来食品の輸出はとうぶんできそうにない。必要な獣医を増やすことは世間も許さないらしいし。)