食品安全情報blog過去記事

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その他

  • 砂糖ゲルの研究が米国から資金増加

NZ SMC
Sugar gel study gets US funding boost
May 24th, 2018.
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2018/05/24/sugar-gel-study-gets-us-funding-boost/
ニュージーランドの研究者による、砂糖ゲルが乳児の脳障害を予防できるかどうかの研究が米国から多くの資金を得た
米国NIHからオークランド大学のLiggins研究所の研究に280万ドル
新生児低血糖予防のため、赤ちゃんの頬の内側に砂糖ゲルを塗ることについて研究

グルテン過敏症」の背景にあるのは本当は何?
The war on gluten 
What’s really behind ‘gluten sensitivity’?
By Kelly ServickMay. 23, 2018
http://www.sciencemag.org/news/2018/05/what-s-really-behind-gluten-sensitivity
患者がおかしいのではない−Knut Lundinは確信していた。でも彼らの病気は謎だった。彼らはグルテンが原因だと信じていた。しかし自己免疫疾患のセリアック病ではなく、小麦アレルギー検査も陰性である。彼らは医学的に曖昧な状態だった。
約10年前、オスロ大学のLundinのような胃腸科専門医はこうした謎の症例をますます多く見るようになった。「私は何年もセリアック病とグルテンについて仕事をしてきた。そしてこの流行にでくわした」と彼は言う。「レストランのメニューや食料品店の棚にグルテンフリーが現れるようになった。2014年までには米国だけでセリアック病でない300万人がグルテンを避けていると推定される。自称「グルテン過敏症」の人々を食品に関する一時的流行に囚われているだけだと考えるのは簡単だ。
コロンビア大学の免疫学者Armin Alaediniは「一般的に、胃腸科専門医の反応は、「あなたはセリアック病でも小麦アレルギーでもない。さよなら」というものだった」という。「たくさんの人が多分何か他の食品への過敏症か、あるいは患者の頭の中に問題があると考えた」
しかし少数の研究者達は小麦の成分と患者の症状−通常腹痛、膨満感、下痢、しばしば頭痛、疲労、発赤、関節痛−との関連を探りはじめた。小麦が実際にセリアック病ではない患者を病気にする場合があることは今や広く受け容れられているがそこまでである。データが少しずつ出てくると陣営が分断してきた。一部の研究者は多くの患者は小麦に含まれるグルテンやその他の物質に免疫反応をしていると確信した−非セリアックグルテン過敏症(NCGS)という漠然とした病気である。他の研究者は小麦やその他の食品に存在する多すぎるあるいは吸収不全の炭水化物に反応しているのだと信じている。そのような炭水化物はFODMAPs(発酵可能なオリゴ糖・二糖・単糖およびポリオールの頭文字)と呼ばれお腹の中で発酵すると膨満の原因になる。もしFODMAPsは主犯なら、グルテンフリー食をしているたくさんの人々は正当な根拠がない。
これらの競合する理論が3月にコロンビアで行われたセリアック病シンポジウムの小麦過敏症セッションで開陳された。連続する講演でLundinはFODMAPsを支持しAlaediniは免疫反応説を支持した。しかし皮肉なことに明らかになったのはこの分野がいかに混乱したものになっているか、であった。どちらの研究者も全く異なる何かを信じることから研究を始めている。
既知の小麦関連疾患は明確なメカニズムと指標がある。セリアック病患者は遺伝的に、グルテンの成分であるグリアジンが腸壁に侵入したときに自己傷害性免疫応答をしやすい。小麦アレルギーの人は小麦タンパク質に対して免疫グロブリンEという抗体を大量に作りそれがかゆみや嘔吐や息苦しさをおこす。医師や研究者の両方にとっての謎は、患者は抗体もなく腸に目に見える傷害もないがグルテンを含む食品をカットすると現実に良くなったと感じることである。
医師の中にはグルテンフリーダイエットを認める、あるいは推奨すらする人たちもいる。「結局のところ、我々は科学のためではなく、QOLを良くするためにここにいる」とマサチューセッツ総合病院の小児胃腸科のAlessio Fasanoはいう。彼はNCGSを研究してグルテンフリー生活の本を書いている。「もし誰かを良くするために骨を投げて月を見なければならないとしたら、私にその意味は理解できないとしても私はそれをやるだろう」
他の多くの医師同様、Lundinは、流行のダイエット法に飛びつく人たちと迷信で食べる人たちを除いて、一部の患者は実際に小麦関連の病気であると信じている。彼のグループはNCGSが純粋な心因性であるという意見を否定する援助をしている。彼らは身体症状として精神的苦悩を表現する可能性のある普通でないレベルの精神的苦痛のある患者を調べた。その調査ではセリアック病患者と差はなく、2012年に報告している。それをLundinは「彼らはクレージーではないことを我々は知っている」と表現する。
それでも懐疑派は、この分野は薄っぺらな根拠でグルテンを犯人だと決めつけていることを心配している。結局、グルテンだけを単独で食べる人などいない。「もし我々がセリアック病におけるグルテンの特別な役割について知らなかったら、グルテンが犯人だなんて考えもしなかっただろう」とシカゴ大学医学センターの小児胃腸科Stefano Guandaliniはいう。「何故グルテンのせいなのか?」
(以下グルテン派とFODMAPs派のそれぞれの主張等)
(3月の)会議の後、カナダMcMaster大学の胃腸専門医Elena Verdùはこの分野の極端な対立に困惑した。「何故この問題についてこんなに独善的にならなければならないのか理解できない。」彼女は科学的混乱が、医学的理由でグルテンを避けている人たちを疑う方向に作用することを心配している。セリアック病患者と食事をしたとき、グルテンフリーを求めた際にウェイターがしばしば薄ら笑いや疑問で応えた。一方矛盾したメッセージはセリアック病ではない患者を食品を避ける落とし穴に落とす可能性がある。「患者は最初にグルテンを避け、それから乳糖を避け、そしてFODMAPsを避け−そして本当に貧しい食生活になってしまう」
しかしVerdùは、注意深い研究により最終的には謎が解けると信じる。
(患者の自己申告のみなので患者の同定が一番難しい)

  • グルテンフリーウォーター」が入っていないものを表示する流行のばかばかしさを示す

‘Gluten-free water’ shows absurdity of trend in labeling what’s absent
August 29, 2017  Brandon McFadden
https://theconversation.com/gluten-free-water-shows-absurdity-of-trend-in-labeling-whats-absent-80657
(昨年の記事。焦点はGMO表示。写真はグルテンフリーWiFi